テンプレ9 庶民の使う宿屋でも現代人が寝られるレベルのベッドがある。
大福みたいなおばちゃんにおすすめの宿を聞いてそこへ向かう。
都合よく空いていたので3人分の部屋を取った。ここでも大した差別はなかった。
部屋に入るとディードが神妙な顔で声をかけてきた。
「どうした?」
「あの……」
顔が赤い。
「どうしてこんなに優しくしてくれるの?」
そこ!? 今さら!?
「下心だけど?」
「うそ」
「ホント」
「うん、ヤマト、嘘ゆってない」
フランが肯定する。それはそれで微妙な間の手だ。
「奴隷やら人種やらの考え方はそれなりに論理的に説明できるけど、それは別としてこの際ハッキリ言っておく。逃げてもいいが逃げた先で無事でいられる保証はない。言うまでもないだろうが」
「ううん、そうじゃないの」
「昨日今日知り合った相手に信じろという言うつもりもない。ただし今晩キミたちを抱くのは明言しておく。嫌なら部屋があるうちに言え。別の部屋も取る。ただ野宿してまで我慢するつもりはない」
「そうじゃなくて……」
「なんだよ?」
「おっぱい……」
「おっぱい?」
「ちっちゃいから、わたし……」
よくよく話を聞くとエルフでも人間でも巨乳が好まれるらしい。
これはしかし当然の帰結である。出生率の低い世界では出産できる女・孕ませられる男は非常に重要だ。特に生涯に産める数に限界のある女性がきちんと生殖可能かどうかは男のそれを上回る。そのシグナルとして巨乳はとてもわかり易い。乳腺の発達は女性ホルモンによって決まる。そして女性ホルモンが活発であれば高い確率で出産できるのである。
つまり全体として巨乳ちゃんがモテる。
これはちっぱい愛好家のヤマトとしては実に都合がいい。
なぜなら美女美少女でもちっぱいであればさほどモテないからだ。
公然と差別が存在するのならディードやフランのような娘たちはまだまだいるだろう。
ククク……と内心で笑う。
ちっぱいハーレムはオレのものだ……!!
そういうことを狭いベッドで3人でくんずほぐれつ説明差し上げた。
翌朝の宿のおばちゃんの「昨夜はお楽しみでしたね」はちょっと呆れる響きがあった。
そういえば夕飯を食べていなかった。
女性ホルモン云々は現実だと若干挙動が違うので鵜呑みにしないでくださいネ(^_-)-☆