テンプレ18 神様の力とか持ってるのはだいたい女子。国の力は男子。
護衛と言ってもその貴族様は普段通りに過ごしているわけで。
本来なら貴族のルールとかみたいなものをツラツラ書いて背景を描写しないと意味不明なんだけど、この作品はテンプレ展開の追求を旨としているので、子爵程度のお嬢さんはだいたいひきこもり女子と変わらないということにしておいてください。
そういうわけでアリシアお嬢様はハーフアップの清楚系お嬢様である。ちょいちょい見かける主語と述語が同じ語幹である文章は一般的には悪文と呼ばれる文章なので回避したほうがいいですよ(この文章も悪文)。
「よろしくお願いいたします」
ヤマトは貴族でさえも一目置くような綺麗なお辞儀を見せた。
あ、お辞儀がある文化なんですね!
「はい、よろしくお願いいたします」
アリシアも答えてふんわりと笑った。
ディードとフランは別行動である。さすがに亜人は外聞が悪いとのことだった。ようやく差別らしい差別である。
そして2週間が経った。
馬車の護衛と同じく風を使った警戒網をくぐれる人間はいない。
わかったことは王子派と宰相派の政争は表向きのことで裏ではアリシアが持っている神の力を狙っているらしいということと、その黒幕は件のボンクラ(に見せかけた)王子……というのも見せかけで真の黒幕は王子の側近ということだ。
風の力がチートすぎて情報戦では圧勝である。王城を含め王都の範囲内の会話は全て盗聴している。
そういうわけなのでヤマトは神の力を狙う者をこっそりと始末することにした。
ただし死んでしまうと国が回らない者はそのシステムができるまで残すことにした。
殺し方は基本的に脱水だ。ミイラだけが残るというのは実に酷く、それを見た者に恐怖を掻き立てる。
レインを通して作戦を王など主だったものに伝え、決行する頃にはさらに1週間が過ぎていた。
最初にミイラになったのは市民だ。正確には市民に紛れた間諜である。
それから徐々に神の力に深く接触しようとしたものを殺してゆく。
当然、黒幕は裏を探る。そしてミイラ事件と同時期にA級冒険者としてヤマトが王都に入ったことを掴み――
「ようこそ」
――ヤマトから押しかけられた。




