爽やかなよどみのしずく
うつくしいひと。
そう思った瞬間から、彼女の全てを己のものにしたいという欲望が渦巻いた。
***
目が覚めた。その事象が、酷く自分を戸惑わせた。なぜって、眠った記憶なんてないのだから。躰は柔らかい布の海に沈んでいる。身に覚えのない上質さだ。横たわる体躯を起こし周囲をくまなく見渡す。
重厚なドアとは反対の壁にある、自分が眠っていた天蓋つきのベッド。白いレースのカーテンが私を隠すよう四方に垂れ下がっている。ヘッドボート側にはサイドテーブル。丸い机上には細い硝子の花瓶に挿された一輪の赤い薔薇が飾ってある。朝、この上で横になればありったけの日光が降り注ぐであろう縦長の大きな嵌殺しの窓の向こうは夜だ。
やけに広い室内には、ベッドから数歩分離れて鏡台が設置されている。真正面に見据えれば、三面鏡は、差しこむ月光を反射し煌めくシャンデリラの光を浴びる私を映す。服装は昼間に出かけた時のままだ。
いつの間にかの睡眠。見知らぬ場所。
思い返すのは、複数の男が有無を言わさず私の手を引き車に押し込むシーン。
もしかして。
攫われて、しまったのだろうか?
不意に眼前の、ドアノブが廻る音がした。
一万文字を一気に載せるよりは小出しにした方が良いかなと思いまして。
短いですがご了承ください。
予想以上の長さになり、監禁ものをリクエストした部員を恨みます。
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今後の文芸部活動の参考にさせていただきます。