始まりのドア
このお話はフィクションです。
現実世界のものとは一切関係ありません。
すべて私の妄想です。
処女作となりますので、さぐりさぐりやっていきたいと思っています。
基本ファンタジーですが、時々恋愛も入ります。
お手柔らかによろしくお願いします。
さて、俺はなんでこんなところを歩いているんだ?
ふと気付けばビル街のど真ん中を歩いていた。
人並みはまばらだ。
なんだか俺という人間がここにいるってことに誰も気付いてないみたい。
あたりを見回すが、誰とも目は合わない。
でもその行動に悪意は感じられない。
―俺はここにいるけれど、俺しかその事実に気付いていない―
それなのに『孤独を感じる』というのとは少し違った気がした。
不安な気持ちもなかった。
でもそれが一体なんなのか、今の俺には説明できそうになかった。
ふと、とあるビルの前で足が止まる。
もちろん人の気配は感じられない。
だからといって、寂れているわけでもない。
―俺はここに来たかったのかな―
直感的にそう思った。
誘い込まれるようにビルの階段を上り始める。
一歩一歩上っていけばいくほど、なんだか暖かい気持ちになった。
それは『ワクワクする』、そういう気持ちに近い気がした。
階段を上りきった今、目の前にはなんの変哲もないドアがある。
テレビドラマの中にあるような、探偵事務所のドアのようだなと思った。
だけど、そこには看板らしいものは一つもない。
ただドアがある。
それだけだ。
でもそれだけでいい気がした。
ドアがある。
そのことが重要な気がした。
そしてドアがあるなら、やるべきことは一つだろう?
―きっとこのドアを開けたら、楽しいことが待ってんだろうな―
またも直感的にそう思った。
理屈なんかありゃしない。
俺は迷わず、そのドアに手をかけた。
これが俺の物語の始まり。