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灰色の天才と碧の王子  作者: 灯凪わた
煤色の魔女、始動
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窓越しの訓練


ギルドに戻って無事報告を終えたアーシェは、カイと共に自宅へ戻った。




「お疲れ様でした。今日こそは寝てくださいね」


「いつもちゃんと寝てるんだけど」


「一時間は睡眠とは言いませんよ」



アーシェはギルドからの依頼がない限り、常に部屋にこもって魔法陣の研究をしている。

アーシェ自身は自己管理ができているつもりだが、カイがいないとご飯もろくに食べずに魔法陣の研究をする危険があるから、王都裏の丘の上に二人で暮らしている。


十年もアーシェに付いてるカイが言うのだから、睡眠時間が少ないのは確かなのだろう。


アーシェは「分かった」と言いながら、水魔法でコップに水を注いで手に持ち、自室へと入っていった。


アーシェの部屋は部屋の壁という壁が本棚で覆われ、四方にびっしりと本が並んでいる。

本棚も本がびっしり並べられていて、床にも何ヶ所か本が積まれている。


部屋入口の真正面には窓があり、その前には揺り椅子と丸い机。


部屋の中央には使い込まれた作業用の机が一つ。魔法書や薬草、紙とペンなどが散らばっている。


アーシェは本棚から薬草関連の本を取りだし、揺り椅子に身体を預けて本を開いた。


半分ぐらい読み終わってから休憩のためにふと外を見ると、カイが外で訓練をしていた。


カイは魔法と剣技は人並みで、武術と脚力が非常に優れている。

だから、アーシェは森でカイが走り始めたと同時に魔法陣を展開できたのだ。


でも、カイはアーシェの技を見る度に凄さを痛感し、こうして毎夜一人で訓練をしている。




(あれくらいのアンデット、アーシェ様なら詠唱なしでも倒せただろうに・・・)




側に仕えておきながら主人の足を引っ張ってはいけないという思いと、アーシェの嘘偽りのない真っ直ぐな言葉がカイの心を強く動かす。


人には寝ろなんて言っておきながら、一人で夜遅く訓練するカイの姿に小さく微笑みをこぼすアーシェの横顔が、月明かりに照らされる。


カイには寝ろと注意を受けたが、訓練する彼を見るとじっとしてはいられなかった。


アーシェは持っていた本を閉じて本棚に戻し、光魔法で光玉を浮かばせ、魔法陣の研究を始めた。


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