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朗報 知り合いに異世界スローライフを目指す悪役令嬢(推し)がいます。  作者: 椿レイ
第一章

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8 一方その頃ディーファルニアでは

「ルーブランシェ公爵令嬢……アイリスが行方不明?」


「ああ、昨日の昼食時に食堂での目撃情報はあったがそれ以降姿を見たものはいないらしい。帰りを心配したユーラス殿が学園側に問い合わせたところ午後はどの授業にも出席していなかったことが判明。現在もルーブランシェ公爵を筆頭とした王宮魔法師達が捜索をしているが結果はあまり芳しくないらしい。」


「そうか……」


 アレス=ディーファルニアは自身の執務室にて友人兼護衛であるカイザック=レジアンより報告を受けていた。

 4大公爵家の令嬢、それも次期王妃候補として今1番の可能性がある令嬢が行方不明とはかなりの大自体だ。


「アイリスの聖霊達からは何も聞き出せていないのかい?」


「どうやらアイリス嬢が消えてから姿を現さないらしい。気配は確かにあるが呼びかけに応じて下さらないようだ。」


「……となると誘拐の可能性は極めて低いと見て問題なさそうだ。アイリスも相当な実力者だしね。何もせずに易々と連れて行かれたりはしないだろう。」


 上位の聖霊であればその分自我も強いものが多い。自分が気に入ったものでなければ絶対に主人とはしないし、主人以外の人間に従うことはごく稀だ。だがその分主人に対する忠誠はかなり深く、誘拐されたり国外に連れて行かれた場合主人を取り戻そうと何かとアクションを取るはずである。それがないということはひとまず無事ではあるのだろう。


「でも困ったね……アイリスが自分の意思で姿を消したとなると捜索は難航するだろうな……」


「……ルーブランシェ公爵家に仕える者にも話を聞いたが誰1人として心当たりがないようだ。公爵夫人は抜け出したくなるほどの悩みがあったのに気づいてあげられなかったと泣き崩れていたぞ。」


 そうなのだ。アリリスが失踪した。ここで大切なのはおそらく「自分の意思で」であろう。彼女を主人として宿る精霊はたくさんいる。彼女が願ったことを止める理由は精霊たちにない。主人のためであればたとえそれが「誰にもバレずに失踪したい」という者であったとしても実行するであろう。


「……あの家系はとにかく愛が重いからね。もっともアイリスはその異常さに気付いてなさそうだったけど」


「肝心なところで気づかないからな。お前がいうと説得力がある」


「カイザックこそ婚約者はまだできないのかい?紹介するけれど」


「謹んで断る。お前のように1人のご令嬢に夢中になって騎士としての誇りが崩れたりしたら困るからな」


「失礼な。こう見えても私、君の主人なんだけどね。」


「その前に1人の友人として扱うように言ったのはお前自身だろう」


「……そうだっけ?まあ私としても婚約者の失踪は困るからね。あとでレクトルに聞いてみるよ。イニティウム同士であれば多少たりとも融通がきくと思うしね」


 イニティウムというのはこの世界で一番最初に現れたといわれる精霊の魂が別れたことによって生まれた何人かの強い力を持つ精霊のことである。初代聖女が契約を結んだ精霊もイニティウムのうちの1人だったといわれている。今はさらに強大な力を得て聖霊となりそれぞれ自由気ままに生きている。

 イニティウムが現在どれだけの数いるのかというとアレスの聖霊であるレクトル曰く7〜10人らしい。ただこちらの世界には来ず、精神世界と呼ばれる場所にて魂だけで存在していたり主人を持たないまま人間に擬態して暮らしているものもいるためなんとも言えず、実際にイニティウム全員が全員お互いを認知しているわけでもないので詳しいことはわからないのだそう。最近は一度魂を新しいものへと入れ替えたりしているものも多いから余計にわからなくなっているとのことだった。

 その中でもレクトルとアイリスを主人とするイニティウムは人間を昔から好んでおり長い間主人を持ち続け、人間界で暮らしているためお互いに存在は認知しているとのことだった。

 彼らは多くの兄弟が1人ずついなくなって行く中でも最後まで残った唯一の仲のいい兄弟的な感じなので、ある程度お互いに顔パスなるものがきくらしい。王族であるアレスからすればかなり感慨深かった。


「……そうだ、それとコルネット伯爵令嬢についてもう少し詳しく調べておいてくれないか?最近彼女がアイリスによく絡んでいたからね。もしかしたら何か原因を握っているのかもしれない。それに……彼女にはイニティウムが宿っているかもしれないからね。」


「……どういうことだ?イニティウムは基本的に高位貴族にしか宿らないだろう。それに彼女が入学してから1年経つが今までそんな様子はなかったように思える。」


「私もあまり信じてはいないんだけどね、レクトルが何か懐かしい気配を感じると言っていた。今まではなかったような気配がするから警戒しろとね。そういわれてしまった以上、調べないわけには行かないだろう。それに彼女は12歳から急に高度な魔法が使えるようになったという異例の持ち主だ。……精霊はある程度成長してからも宿るという説の裏付けになるかもしれない。」


 アレスはリジーを警戒していた。今までの常識では精霊は生まれると共にしか宿らない。魔法はコントロール次第である程度使いこなすことはできるが、精霊の強さによってどれだけ魔法を消費する魔法が使えるかは決まっているため、魔法自体の強さは生まれつきであると言えるだろう。ただそれが覆されるとなったら。精霊を無理矢理にでも自身の身に宿そうとするものが現れるのは目に見えていた。

 それにレクトルが言っていた「懐かしい気配」はイニティウムに関係している可能性が極めて高い。本人はあくまで勘だから詳しいことはわからないと言っていたが長い時間を生きてきた精霊の直感は正しいことが多い。気をつけるに越したことはないだろう。


「……わかった。調査するように伝えておこう。」


「うん、頼むよ。じゃあ私は少し話をしてくる。」


 こうしてアイリスが異世界でスローライフを送ろうと決心したと同時にディーファルニア王国では新たな風が巻き起こりつつあるのであった。

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