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朗報 知り合いに異世界スローライフを目指す悪役令嬢(推し)がいます。  作者: 椿レイ
第一章

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4 この世界で生きるということ

「ここはアイリスが今まで過ごしてきた場所じゃない。簡単にいうとアイリスは別世界にきちゃったんだよ」


 今の柚子にできることといえば確実にわかっている現状をアイリスに伝えることぐらいである。


「別世界……」


「や、やっぱり困惑するよね!それはそうだよね、で、でも完全に帰れないと決まったわけじゃ」


「素晴らしすぎますわ!!!」


「え?」


「おーほっほっほ!!!きっとこれは神が与えてくださった好機にちがいありませんわ!自由時間が欲しいという願いが通じましたのね!もっとも私は自分の運命は自分で決める派ですので神など信じておりませんでしたが今回ばかりは感謝して差し上げますわ!」


「……神様信じてないなら誰に感謝してんだよ……」


 もうどこに突っ込めばいいのかわからなくなってきた柚子である。一時期お笑いにハマっていた父からコミュニケーションの基本はボケとツッコミだと教わっていた彼女にとって、ツッコミの質が落ちることは死活問題であったためこの後1ヶ月間影でこっそりお笑いをみまくりついにボケも習得する。

 ちなみにこの時天界ではそれぞれの神が小籠包と餃子の皮どっちが美味しいか戦争が繰り広げられており、彼らの部下が困っていたのだが柚子らが噂したことにより餃子の神がくしゃみをし、風邪を警戒した小籠包の神が撤退することにより戦争が終わる。(柚子が信じている神は餃子の神だけなのだ、以後彼女の話に神と出てきたら餃子の神のことである。)

 このことから神の部下たちによって柚子は勝手に神格化されるのだがそれはまた別の話である。


「私今上機嫌ですわ〜!そうですわ、自由に過ごせるのであればスローライフなるものを送るのもいいのでなくて!?」


……返して欲しい。わざわざ深刻な雰囲気を頑張って無理やり作った私の努力を!!!感動的なシーンを無理くり入れ込んだ私の努力を!!!と切実に思う柚子であった。テンションの落差があまりにも激しすぎたのはそのせいである。


「……いいんじゃない」


「現地取りましたわよ!……おーほっほっほ!魔法の研究を思う存分させていただきますわ!おーほっほっほ!」


「そういえばこの世界では魔法使えないよ」


「え゛」


 誇り高き悪役令嬢らしからぬ声である。


「だって精霊なんていないもん」


「……せ、せいれいがいない……?……あ、あの苦痛をもう一度味わえと……?」


 ガックリと項垂れるという表現がここまで適切なことがあるのだろうかというくらい項垂れるアイリスを前に柚子はやっぱりゲームキャラのキャラだったんだなぁと妙なところで納得してしまう。


 乙女ゲーム「しちけん」の世界で魔法は精霊の力を借りなければ使うことができない。精霊を身に宿し彼らの力を借りることにより魔法を使うのである。そして精霊は上位の精霊は聖霊と呼ばれる。身分が高いものは祖先に聖霊を多く持っていることが多く、取り憑いた精霊や自身の守護精霊の他に生まれ持った聖霊の血があるためかなり強い魔法が使える……と言った感じだ。

 あの世界では貴族平民関係なく生まれつき精霊を宿す。しかし魔法の力を貸す代わりに初代聖女が作ったディーファルニア王国中心部にある魔力放出装置の近くに住むことを条件としている。精霊たちは魔力がないと生きることができないのだ。それは上位の聖霊ほど影響を受ける。魔力放出装置の近くにいないと生きていけない彼らはディーファルニア王国外に出ることができない。

 おそらく苦痛というのは隣国であるサルメジオン帝国に行った時のものだろう。ゲーム内でも国外に行って魔法が使えないというハンデをおいつつも現地で魔物を倒す姿が描かれていた。


「……お待ちになさって…!ではどうして貴方たちは魔道具が使えるんですの……?」


 流石の悪役令嬢属性のものが持つオーバーリアクション。悲劇のヒロインもびっくりである。

ここは小説を読んできて培った演技力の見せ所だと判断した柚子はアイリスに負けないくらいのオーバーリアクションで答えることにした。こうして柚子による推しのさまざまな表情を引き出すための演技対決が開かれた。


「ふっふっふ…聞いて驚くなよ、アイリス君。実はこれら魔法陣が組み込まれてないのだよ!」


「ま、魔法陣が使われていないですって……!?ではなぜ光るのです……?」


 いい反応だ。ノリも良いし顔もいい。うちの推し、最高。


「実は…いや、やめておこう。こっから先は国家機密、嫌世界秘密だからな……君に教えるのは少々勿体無い……」


「……ぬうう……ならば私の目で確かめるがまでですわ!」


「待って、やめて!ごめん教える教えるから……!スマホ解体しようとしないで!!!」


 公爵令嬢の口から自分の目で確かめる(物理)なんて言葉が出てくると誰が思うのだろう。

 こうしてあっけなく演技対決は幕を下ろしたのだった。

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