43話 討伐
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構造物の中は驚くほどに白く、無機質な空間だった。
バグは中に入って、足で蠢いていた大量の虫を今度は偵察用として周囲に放った。
彼らとはある程度の視界共有をしているし、弱めの魔物であれば対処可能なので重宝する。
3人は固まりつつ、廊下を進む。
「どう? 魔物とかいる?」
レイネが聞いてきて、バグは答える。
「今のところはいない。でも本当に不思議な空間だ。何というか、一つの型を基に複製された空間と言うか。そもそも、あのダンジョンがあった場所に突然現れたのもよく分からないし――」
と、話続けていて「いた」と2人に伝える。
「サトウ・ユウトか?」
ウラスキが弾かれたように尋ねてきて「はい」と返す。
「現在、交戦中です。形状からして人とか野生動物ではなく、魔物。それもかなり強力なようです」
「怪我とかはしていない?」
「うん、大丈夫そう。スキルを駆使して戦っている。しかも分は彼にある」
「彼が無事なら良い。すぐに向かうぞ。道案内はお前がしろ」
「はい」
バグを先頭として3人は廊下を駆ける。
この階層に魔物はいないので全速力で走り、異様に長い廊下の果てに階段があった。
バグが昇ろうとした矢先、足を止める。
そして、後ろの2人に動かないよう腕で静止を促す。
バグの内心を察したウラスキが小声で「どうした」と聞く。
「魔物がいます。階段を上って10メートル進んだ先。粘液に覆われていて、指とか長い個体です。人型とは少し違います。どうします?」
「倒せそうか?」
「俺1人でも大丈夫だと思います」
勇ましさをアピールするため、そう宣言する。
「なら任せる。私と副リーダーは後で行く」
「分かりました」
と、残してバグはゆっくりと階段を上る。
魔物に気づかれると先手を打たれる可能性があるし、不意打ちが失敗するかもしれないので、極力気配を消して攻撃準備を整えながら進む。
上の階に到着して、魔物の後姿を捉える。
今【虫操作】で使える虫は致命傷を与えられるほどの攻撃力は無いので、不意打ちには魔術だろう、と『ファイア』を発動して、魔物目掛けて放つ。
振り返るよりも先に、炎が背部分に着弾して「ギィイイ!」と無理やり喉から発せられたような悲鳴が聞こえた。
が、絶命はしていないようなので追撃として『ファイア』を3回ほど発動してさらに炎が魔物を襲う。
火が粘液を蒸発させ、中身が露わになる。
つるりとした体に、指先は枝のように分かれて鋭い。
人型と表現するには歪な形状だ。
計4度の『ファイア』で燃え上がり、黒焦げとなった魔物はその場に倒れた。
それでも死を偽装していたり、微かに生きていたら面倒なのでしばらく遠目に様子を見る。
しかし、動く気配はないので、階段の下の2人に上がるように促す。
レイネとウラスキが上がってくるのと同時に、遠くの方から爆音が数度響いた。
魔物同士の争いなどではなく、サトウ・ユウトが引き起こしたものであると3人はすぐに理解し、廊下を進む。
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