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バグ・ストーリー ~スキル【虫操作】の俺はパーティーを追放されるも、当然の如く成り上がる~  作者: 石上三年
三章 異世界からの来訪者編

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41話 ユウトの闘い

 震える指先にグッと力を込めて、引き金を引く。

 すると、凄まじい反動が肩を圧迫すると共に、銃口から弾丸が高速で射出される。

 魔物は防御のため、縦に開かれた大口から伸びた無数の舌を振り回して弾こうとする。

 しかし、舌の強度を弾丸が上回ったのか、あっという間にボロボロになって上半身を弾丸が貫く。

 悲鳴を上げて痛みで暴れる魔物からユウトは距離を取りつつ、警戒態勢を解くことはない。

 あの図体の化け物が、今の攻撃で絶命するとはとても思えない。

 追撃として弾を使い切るまで撃った後、それを捨てて、再度ライフルを創造し持ち替える。

 先ほどドアを打ち破った腕の速度はユウトの反応速度を容易に超えているので、十分に距離を空けて置き、躱すのではなく、届かせないようにするしかない。

 痛みが落ち着いたのか、魔物はまたユウトを視界に入れる。

 怒りに満ちた顔はもう山中の面影など微塵もなく、純粋な化け物だった。

 しかし、むしろ良かったのかもしれない。

 もしも、山中の姿のまま襲い掛かって来たとしても果たして引き金を引けたかどうか。

 これほど明確な化け物の方が躊躇いなく反撃できる。

 怖いことが難点だが。

 化け物は距離が空いていては自分が不利になると踏んだのか、その6本の脚を活かした素早い動きでユウトに迫る。

 速い。

 想像の3倍は速い。

 そして、怖い。

 その場にとどまっての反撃などユウトには出来なかった。


「うわぁあああああああああああああ!」


 悲鳴を上げながら逃げつつ、片腕で引き金を引く。

 その様子はまるで、部屋に虫が出て、それが羽ばたき、慌てふためいているようだ。

 しかし、反動で狙いは滅茶苦茶になってしまい、制御も出来ないので、あちらこちらに銃弾が飛ぶ。

 そのいくつかが魔物に命中したようで、またもや動きが止まる。

 その間もユウトは走る。

 本当に長い廊下だ。

 走っても走っても、階段や端に辿り着けない。

 100メートルほどの距離が空いて、またもや銃撃をお見舞いする。

 ズガガガガガガガガッと撃ち続けたことで鼓膜がひどく痛むが、そんなことを気にいしている場合ではない。

 とにかく一発でも攻撃を食らったらこちらは死ぬのだ。

 何としてでも仕留めなくてはならないのだ。

 流石に死んだか、と引き金から指を離す。

 が、魔物は未だにモゾモゾと動いていた。

 殺虫スプレーをかけても、藻掻いてはいるが一向に死ぬ気配のないムカデを見ている気分だ。

 もっとも、ムカデなんかよりよっぽど危険で、恐ろしい化け物である。

 魔物が瀕死のようで、心に余裕が少し生まれる。

 が、念には念をということで、その間にライフルを更に10丁創造して、火炎瓶なども創造してみる。

 ゆっくりと魔物が起き上がった。

 傷がどうなったのかは分からないが、あれだけの銃撃を食らってもまだ生きているのなら再生能力的なものを有しているのかもしれない。

 普通の野生動物と同じ接し方をしていては駄目ということだろう。

 銃口を向けると、魔物に異変が起こっていることに気づく。

 バクンッ、バクンッと拍動するように体が跳ねているのだ。

 その様子をただ黙って観察しているわけにもいかず、ユウトは何度目かの銃撃を開始する。

 しかし、魔物が腕を伸ばしたかと思えば、それが肥大化し、自らの前方で壁のように広がった。

 明らかな防御行動だ。

 銃弾がその壁に防がれる。

 ユウトは恐怖する。

 この化け物はただただ力が強いであるとか、動きが素早いとかではない。

 学習するのだ。

 思えば、最初の行動。

 ユウトのクラスメイトである山中に擬態して捕食の機会を窺っていたのだろうが、あんな知性に満ちた行動をしていたのだからこれくらい出来て不思議はないのだ。

 恐らく、あの魔物はこの世界の人間で言うところのスキル的な能力を有している。

 推測するに、対象の記憶から選び出した存在に姿を変化させる、だろうか。

 肉の壁がどんどん迫ってくる。

 ユウトは先ほど創造したライフルを捨てて、また後ろに退避する。

読んでいただきありがとうございました。

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