表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
29/36

29話 スキルの弱点

今回は短めです。

12時20分に続きをもう一話投稿します。

レビュー、評価、ブックマークをよろしくお願いします。

 翌日、城の訓練場でユウトは魔術の発動を試みる。

 それを、ノール始め数人の魔術師が見つめるが、一向に成果は出ない。

 ここに来る前に魔力量を測定してもらって、通常よりもやや多いとのことで張り切っていたものの、このざまだ。


「ただ力を込めるのではなく、魔力の流れを感じ取るんだ」


 ノールからアドバイスが投げかけられる。

 しかし、流れと言われても全く分からない。

 この世界の住人のように幼少期から魔術について学んでいると把握できるものなのだろうか。

 特定の言語を外国人が使うのは困難でも、現地の人間は子供含め当然のように扱えるようなものだろうか。

 などと、酸素が欠乏しそうな頭で考える。

 それが30分は続いただろうか、ユウトは地面に倒れ込むように尻餅をついた。

 火も出なければ、水も、雷も出ない。

 ただただ陽に当たり続けたことで、汗が噴き出す。

 座り込んだユウトに、ノールが言う。


「そう簡単に出来るものではないよ。気長にやっていこう」

「……はい」

「で、落ち込んでいるところ悪いが、ひとまず君には魔術ではなくスキルの特訓に注力してもらいたい」

「『兵器創造』ですか?」

「ああ、まずは昨日のように鉄砲を創造してくれ」


 ユウトは指示通り、昨日と同じ銃を創造する。

 名称などはその辺に明るくないので分からないが、様々な媒体で見たものだ。


「しましたけど」

「それで、あそこの的を撃ってみてくれ」


 ノールの指差す先には、恐らくは魔術を当てるための甲冑があって、なけなしの知識を思い出しながら照準を合わせる。

 片手ではなく、両手で握り、腕は真っ直ぐにする、だったと思う。

 引き金を引く。

 バンッと鼓膜を震わせる大きな発砲音と共に弾丸が飛ぶ。

 しかし、甲冑には当たらなかった。


「続けて」


 ノールが決して語気は強くないものの、やや冷たく指示してくる。

 もう一発。

 また外す。

 これは当てるまで続けろと言う事だろうか。

 まるでテストを受けているかのような心持ちで、マガジンに装填された弾丸を全て消費する。

 甲冑には一発も当たらなかった。

 耳は痛いし、腕は痺れるし、肩もズキズキと軋む。

 次の指示、あるいはアドバイスを求めてノールの方をチラリと見る。

 ノールがこちらに向ける顔には覚えがあった。

 優しい教師が出来の悪い生徒に向ける、哀れむような、困ったような、そんな顔だ。

 怒られるよりも辛い。

 落ち込むユウトにノールは無自覚ではあるのだろうが、心を抉るように淡々と指摘した。


「やはり創造は出来ても、扱えるかどうかはまた別なのか。あと何発残ってる?」

「全部使い切りました」

「では、同じものをもう一度造ってくれ」

「……はい」


 ユウトが出来るのは、ノールの指示通りに銃を創造することだけだった。

読んでいただきありがとうございました。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ