第9話
ケイは次なる出会いを求めているようだ。その後も先頭をグイグイ進んでいった。
私はケイの後ろをピッタリくっついているシャロをちょっと呼んでひそひそ話しかけた。
「ねぇあなた、いったいどうしたの?出会った時の態度とは別人じゃない。」
「ケイ様は私を救ってくれた。つまり私の救世主だ。慕わないわけがない。」
「…でもそれって、強い上司が入れ替わっただけに思えるんだけど。根本的には何も変わってないような…。」
「なんだ嫉妬か?」
「…どういう思考回路!?違うわよ、私わあなたの生き方を心配して…」
「余計なおお世話だな♪」
何が♪、だ。
「もういいわ…」
私は急激に諦めたい気持ちになった。
「結構歩いたわね。」
私たちは次の街まで来ていた。
「おいおい~。誰もトラブル起こしてないじゃ~ん。どうした?調子悪いのか?アイギス。」
「私をトラブル探知機扱いしないでください。」
「さすがにいねぇかぁ~。まぁいっか、シャロでも愛でたろ。」
「♪♪」
だから♪て…
「ていうか、私はクエストがしたいんですけど。」
私は2人に割って入るようにして言う。
「あ?好きにしろぉ~。」
「じゃあ行きますよー。」
私は2人を半ば引っ張っていった。
「さて、どれにしようか…。」
私はギルドに着いて早速クエストを選びにかかった。
「これだな。」
さっきまでシャロとイチャついていたケイが後ろからグイっと割り込んできた。
「ど、どうしたんですか急に!」
「いやなんか、…嫁がいるにおいがする。」
「なんですかそれは!?」
全くあきれたものだった。
「ほれ、じゃ、早速行くぞぉ~。」
「はぁーい!」
シャロはノリノリだった。やれやれだ。
しばらくして
「ようやく着きましたね。」
「さぁ~て、嫁はどこだぁ~?」
「違うでしょう?今回の目的は洞窟内のダンジョンの探索でしょ?」
「えぇ~。それはお前1人でやってくれよぉ。さて、行くかあぁ~。」
「いくかぁ~!」
「あ、ちょっ。待って下さいよー。」
こうして3人は洞窟の中へ入っていった。
「おぉ~い、どこだ~、嫁~。」
ケイは敵が来ていても全く動じずにズバズバ倒していき、どんどん進んでいった。シャロはそのあとをピッタリとくっついている。
「ちょっと…待って…下さいよー!」
一方私はそういうわけにはいかず、苦戦していた。敵はどんどん強くなっていく。
そうこうしてしばらく進むと
「お?先客か?」
ケイが誰かを見つけたようだ。そこには1人の女性がいた。