第2話
「は?何を言っているんです?」
私は意味が分からずそう言った。
「ま、そうなるよなぁ…。冗談冗談。でもこれで貸しはなくなったろ?」
男は飄々とそう言う。
「感謝はしています。でもあなたはどうしてそこまで強いのに、そんな振る舞いをしているのです?」
「それはまぁ…いろいろあんだよ。脈ないみたいだし、俺は行くわ。」
男は振り返って去ろうとした。
「ちょっと待って下さい!私と、仲間になってくれませんか?」
「あ?見る目は養った方がいいぜぇ~?こんな奴に構うのは時間の無駄だ。」
「もったいないです!あなたほどの人が落ちぶれてるなんて。…それに見る目はある方です。」
「…真面目すぎるなぁ。」
「え?」
「いや、何でもない。しゃーないなぁ。ま、俺もやることねぇし。いいぜ?付き合ってやるよ。」
「はい!…ところで、お名前は?」
「ん?あぁ、ケイだ。よろしくな。」
こうして私とケイは仲間になった。
私たちは街に来た。
「とりあえず食事にでもしますか?」
私は切り出した。
「それはまずいなぁ。ここら辺では大体やらかしてる。」
「はぁ!?いったいどこまで荒れ果ててたんですか?」
私は飽きれてそう言った。
「じゃあどうするんです?」
「テイクアウトしてきてくんない?」
「はぁ~、しょうがないですねぇ…。ていうか、テイクアウトなんてやってるんですかねぇ?」
私は何とか店の人と交渉して二人分の食事を持ち帰ってきた。
私たちは食事を終えて早速次の冒険に出ようとした。ところが、
「なぁ、お前の目的って何なんだい?」
ケイがおもむろに私に聞いてきた。
「何…って、それはもちろん魔王を討伐することです!」
「やめとけよぉ、なぁ?悪いことは言わないからよぉ。」
「どうしてです?私はあなたの強さがわかります。だから、あなたとなら魔王を討伐することももしかしたら…って思うんです!」
「一つアドバイスしてやる。真っ直ぐすぎると折れちまうぞぉ~?」
ケイはすべてを知っているかのような口ぶりでそう言った。
「あなたな何がわかるんですか?確かに強いですが、あんなに落ちぶれてた人間が。」
「俺だっていつかは何かを目指してたこともあった。だから言えるのかもなぁ。」
ケイは急に悟ったような目をして言った。その目にはどこか説得力があった。
「と、とりあえず行きますよ?」
「ま、付き合うって言っちまったしな。へいへい。行きますよぉ~。」
こうして二人の冒険は本格的に始まった。