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第一章 私、転生する

「疲れた〜!」


 斉藤 乃蒼(のあ)、19歳。

 肩まで伸びた黒い髪の毛に、148センチと小柄な見た目をした、とある企業の新人社員である。

 地元にある工業高校に通い、卒業してすぐ就職、というそれなりの人生を送っている。

 家族は両親と5つ下の弟1人の4人家族。私と違って弟は成績優秀、容姿端麗というハイスペック人間である。

 両親も、そんな弟を私よりもすごく手塩にかけて育てている。羨ましい。

 それでも、私だって出世や結婚という夢に向かって頑張っているのである。今日も仕事を終え、歩いて家族の待つ実家へと帰宅する途中なのであった。

 信号が青に変わった横断歩道を歩いている途中、唐突に視界が歪み、平衡感覚も狂い出した。


(あれ……急にめまいが……貧血かな……?)


 私は反射的に目を瞑ってふらつく体を必死に足で支えた。


「……あれ?」


 めまいが収まり、私は恐る恐る目を開けた。そこには、いつも通る街並みの風景はなく、真っ白な空間が広がっているだけだった。


「え、なにこれ……」


 混乱しながら後ろを振り向くと、そこには小さな少女が立っていた。

 それは金髪で緑色の目をした、15、6歳ぐらいの美少女だった。


(これあれだ。神様だ、多分。)


 ライトノベルの読みすぎなのだろうが、直感でそう感じた。


「その通りですよ、乃蒼さん!」


「私の心を読んでる!?」


「それはまぁ……私は神様ですので!」


 神様なら良いってものなのか……


「はいっ!私はシルフィーネといいます。よろしくお願いしますね」


「あ、はい。こちらこそよろしくお願いいたします」


 このハイテンションでどこか幼さのある神様はシルフィーネというらしい。神様なのに、どこか親しみやすい。


「ところでシルフィーネさん。ここは一体……?」


「ここはいわゆる天界、死後の世界です」


「天界!?私、死んじゃったの?」


「はい、残念ながら……。横断歩道の上で貧血を起こし倒れかけたところを、居眠り運転をしていたトラックにはねられてしまい、打ちどころも悪くほぼ即死だったようです……」


 トラックかぁ。ありきたりすぎるって……待てよ?


「シルフィーネさん、私全然轢かれた感触がなかったんですけど……」


「それはですね、乃蒼さんが轢かれる寸前に意識だけをこちらに飛ばしたんです。出来るだけ苦しまないようにと思いまして!」


 神様ってそこまで配慮してくれるのか……


「ところで乃蒼さん!異世界に転生してみるのはどうでしょうか!」


 シルフィーネはやや興奮気味に、そして唐突に提案をしてきた。


「えっ、そんなあっさり?というかいきなり?」


「実はですね、不慮の事故や他殺によってここに来られた方には、いつも転生を勧めているんです!」


 幼い見た目の女の子から出たとは思えない物騒な単語が聞こえたが、どうやら人生を意図しない形で終えてしまった人には、転生する権利が与えられるらしい。


「最近の方は転生を勧められても、天界で暮らすことを望むことが多いんですよ……」


「そんな事情が……」


 神様も大変である。


「それなら……せっかくですし、転生させてもらえますか?」


「わかりました!乃蒼さん、転生するにあたって何か欲しいものはありますか?」


「欲しいもの?」


「そうですね……。特別な才能、能力。いわゆるチートと呼ばれるものですね。それ以外にも体の再構成もできるので見た目も変えられますし、他にもお金、家、装備などなど……、それこそなんでもオッケーです!」


 どうやらチートが貰えるらしい。お金や装備も最初の段階であるのはかなり嬉しい。


「なら、歳を取らない体にして欲しいです。前世ではすぐ死んでしまいましたし……」


「そうですね、わかりました。では、歳を取らない体で転生させますね!」


 よし、これで時間を気にせずにスローライフを送れるぞ!……多分。

 それはさておき、


「シルフィーネさん、転生する前にいくつかお聞きしたいことがあるのですが……」


 いくつかどころか山ほどあるけど。


「もちろんですよ!なんでもお聞きください!」


「ありがとうございます。まず、文明はどれぐらい進んでいますか?」


「文明は元の世界よりもかなり遅れていますね、元の世界での中世ヨーロッパぐらいだと思います!ただ魔法が存在しているので、元の世界と比較すると生活レベルは同じぐらいですね!」


 魔法があるのか。これは期待大だ。


「魔法と言うと、どういった魔法があるんですか?」


「そうですね……。火を放ったり風を生み出したり、それこそ乃蒼さんの想像しているような魔法がたくさんありますよ!」


「おおっ!それはいいですね!次に、人以外に種族があったりしますか?魔物とか魔族とか……」


 これは結構大事だ。もし魔物や魔族がいるなら、そいつらを狩ってお金を手に入れたりできるはずだし。


「良い質問ですね!人族以外にもいくつかの種族が存在しています!」


 シルフィーネの話によると、人族の他に、人族と共生している獣人族(セリアン)耳長族(エルフ)、人族と敵対関係にある魔族、そして魔族側にも人族側にも位置しない魔獣がいるらしい。そして人族たちの中でも、ハンターや冒険者と呼ばれる人々は、魔獣や一部の魔族を狩って生活しているんだとか。私の知っている異世界そのものだった。


「人族と、獣人族や耳長族の違いってなんですか?」


「獣人族は視力や聴力などが人族に比べ発達しています。夜目もききますね。耳長族は長命という特徴があり、様々な学問に置いて人族よりも知識が深いようです」


 と言うことは耳長族は不老の体で転生する予定の自分には無縁だな……。それなら……!


「獣人族として転生させてもらうことって、できますか?」


「全然構いませんよ!ただ、獣人族には人の耳に加えて頭の上に獣人族特有の耳がついているので、最初は慣れないかもしれません……」


 それはつまり、ケモミミが手に入るということか……?


「本当ですか!?大丈夫です、頑張って慣れます!」


 こういった時は気合いが大事なのだ。


「頑張ってください!他にお聞きしたいことはありますか?」


「あ、えっと……。転生した後も、シルフィーネさんに会うことって、できますか?」


 少し恥ずかしかったが聞いてみた。神様なら頼りになるし、いつでも話せる相手が欲しい。


「もちろん大丈夫です!ペンダントをお渡しますので、私に会いたい時に両手でペンダントを包んで念じてください!」


 なんだその仕様……。


「他には質問はございませんか?なければ、体の見た目や所持品、追加の能力などを決めてしまいましょう!」


「それはシルフィーネさんにお任せしようかと……。ダメですかね?」


 正直考えるのが面倒なだけである。


「いえいえそんなことは!それでよろしければ私の好みで決めさせていただきますね。それでは異世界生活、ぜひ楽しんでください!よければたまに会いに来てくださいね!」


 シルフィーネがそう言った瞬間、私の足元に淡く光る魔法陣が現れ、目の前が眩い光で包まれた。

 微かな浮遊感とは反対に、私の意識は深く沈んでいったのだった。


こんにちは、またはこんばんは、猫取です。

素人が書いた小説なので低クオリティだった思いますが、読んでいただきありがとうございます。

今後も一話2000~3000字ぐらいの短い量で投稿してまいりますので、長い目で見ていただけると幸いです。


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