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元・滅びの神は世界を謳歌する  作者: 流川 綾
第一章 滅神龍の復活
2/7

日常の終わり



 俺こと"黒羽=葵(クロバ=アオイ)"は平凡である。


 特徴があまりなく、黒髪黒目の平凡な容姿、背丈も高くも低くもない極めて一般的な人間である。


 特にトラックに轢かれたとか神様に会ったとかそう言うことは無く、ある日突然それは起こった。


 そして、この日を境に俺の日常は終わりを迎えた。












「もうすぐ夏か…熱い。風邪引いたのかな?それに何だかものすごく眠く…」


 俺は学校から帰宅し着替えをしていると、いきなり胸が熱く高鳴り段々と鼓動が早くなり、次は強い眠気が襲い身体の自由がきかなくなりその場に倒れた。




《個体名"ウルス=ドラゴン"の権能"滅者の心臓(ルインズ・ハート)"により輪廻転生を発動。》《魂の統合を開始……完了。》……


《輪廻転生の最終フェーズに移行します。》


《全能力を継承します。》《error、error…権能、一部のスキルを除き能力の継承が不可能です。》《権能、原初(オリジン)スキル、固有(ユニーク)スキルの継承が行われます…》《error、error…空気中の魔素が薄いため必要魔力が足りません。》《error、error…継承が出来ません。》《体内の魔力で補います。》《error、error…体内の魔力が足りません。》《"無限"の対象を魔力に設定。》……《継承完了。》《肉体を地球(アース)から"始まりの世界(リアリスフィア)"へ適合させます…》《適合失敗。》《原因の解析を開始します…》《解析完了。権能、スキルの調整が必要です。》《"管理者(アドミネーター)"により権能、スキルの調整を開始…》《調整完了。》《個体名"黒羽=葵"の肉体にステータスを反映…》《反映完了。》

……


《転生完了。》




「ん?あれ?俺いつの間に寝たんだ?」


 体を起こしながら俺は辺りを見渡した。特に変わったことは無かったが、着替えの途中だったため服が散らばっていた。改めて服を着替えながら先程夢の中で聞こえた声を思い出していた。


「さっきのは夢?だよな…」


 無造作に手を握ると体の内からとてつもない力が漲ってくる。不思議に思いながらも、目を凝らすと靄のようなものが身体中から溢れているのが分かった。


「何だこれは?」


A.それは魔力です。


「っ!この声は…誰だ!?」


 俺は声を荒げながら立ち上がり、辺りを見渡して声の主を探しても誰もいない。


A.私は《管理者(アドミネーター)》、マスターの五番目の権能です。


「アドミネーター?権能?何だそれは?」


 その声は頭の中に直接響いていた。声の主である管理者の話を聞くとさらに疑問が増えたが、無理やり自分を落ち着かせベットに腰を掛けながら声の主に質問をした。


A.権能とは世界の理から外れ、己の力を世界に具現化される力。《管理者(アドミネーター)》はあらゆる情報や能力を管理し、人格形成、高速思考、情報隠蔽などが行えることが出来ます。


「ちょ、ちょっと待て!俺は何なんだ突然こんな力が目覚めるなんておかしいだろ!?」


 今まで俺はごく一般的な人間の一人だった筈だ。特に何かあったわけでもないのに、ある日突然、訳も分からないまま、訳の分からない能力が目覚めるなんて…あり得ないだろ。


A.ステータスを見てもらった方がいいでしょう。〈世界眼〉を使えばステータス画面が現れます。


 世界眼?何だそれは?っと言うよりも先に目の前に突然スッと、光の掲示板のような画面が表示された。


ーーーーーーーーーー

名前:黒羽=葵(クロバ=アオイ)【ウルス=ドラゴン】

年齢:15

種族:人族【滅神龍】

レベル:1

HP:100/100

MP:∞

腕力:10

体力:10

魔力:10

敏捷:10

防御:10

抵抗:10

運:100

[権能]:《消滅(ルイン)》《無限(インフィニティ)》《滅者の心臓(ルインズ・ハート)》《世界格納(ワールドストレージ)》《管理者(アドミネーター)

[オリジンスキル]:〈滅神ノ瞳(ルインズ・アイ)〉〈連鎖支配(チェインルーラー)

[ユニークスキル]:〈天賦の才〉

[エクストラスキル]:

[ノーマルスキル]:

[魔法]:

称号:世界神、全種族の天敵、世界最強、転生を繰り返す者

ーーーーーーーーーー


「これがステータスなのか?」


A.はい。マスターはあらゆる世界の中心"始まりの世界(リアリスフィア)"を統べる三柱内の一柱であり、世界に仇なすものを滅ぼす神龍。それがマスターです。ちなみに【】内は前世の情報となります。


 俺は神だとか龍だとか、あまりにも壮大な話についていけず困惑していた。


「まあ、なんだ。納得は出来ないけど、称号のことも気になるし話を進めてくれ」


A.はい。マスターが今に至るまでの経緯を簡単にお話しします。


「ああ、頼む」


 まだ話についていけてないが、自分が何者なのかこの溢れるほどの力は何なのか?不安や困惑などを胸に秘めながらも俺は直ぐにでも知りたいと思ってしまった。


A.まず、世界の母(リアリス)は"全知全能と創造を司る神ゼウス"、"支配と秩序を司る神ルルス=ドラゴン"、"消滅と無限を司る神ウルス=ドラゴン"の世界神を生み出し始まりの世界(リアリスフィア)を創りました。

 その後、神々を創り幾つもの世界を創造しました。それらの世界は始まりの世界(リアリスフィア)のための実験用の世界です。勿論この世界"アース"もそのうちの一つです。


 これが世界な始まりなのか。この世界が一つの世界のために創られた実験台なんて、俺以外にも知ってる奴がいるのか気になる所だな。要約すると、全ての始まりはリアリスという人?神?が起因していたということだな。


A.三柱の神が無限にも等しい悠久の時の中で少しずつ世界を創り管理していきました。しかし始まりの世界(リアリスフィア)の時間で、およそ"五百年"ほど前にマスターは《滅者の心臓(ルインズ・ハート)》を使い転生をなさいました。


始まりの世界(リアリスフィア)とこっちの世界は時間軸が違うのか?」

 

A.少し訂正があります。世界の壁を越えると様々な影響があります。その中の一つに時間軸がずれてしまうことがあります。その為、正確な時間差は分からないのです。


 世界の壁ね。あっちの世界には行けないってことか?行って帰ってきたら数百年、数千年、経っていた何て洒落になら無いからな。少し楽しみだったんだが。


「それじゃあ、あっちには気軽に行けない訳だ」


A.いえ、本来なら世界神でさえも少しは影響を受けてしまいます。が、転生前の世界なら"世界の壁"に一切影響を受けずに世界を渡れることができます。

 マスターは転生する度に能力が強化されています。そして計七回マスターは様々な世界に転生をなさっています。


 七回も?こんな能力があったら、そう簡単に死なないと思うんだけど。神様の力を使って寿命とか伸ばせないのかな?そもそも何で前世の俺は転生したんだろう?


A.それは、「ちょっと待って」…何でしょうか?


「えーっと、管理者さんは俺の心の声聞こえているよね?」


A.はい?勿論です。私はマスターの力の一部であると同時にマスター自身でもありますので。


 やっぱりそうだったか、薄々分かっていたけど声に出さなくてま良かったのか。早めに知れて良かった。人がいるところで独り言をしていたら変な奴だしな。

 ごめん、続きを頼む。


A.かしこまりました。まずマスターの転生の目的は世界を旅することです。

 前世ではその圧倒的な強さのせいで近づくだけでも人や動物達が死んでしまうほどの力を放っていました。それは神々すらも恐れ畏怖なされるほどに強力な力。まさに世界最強と呼ばれるに相応しい存在でした。

 それ故にゼウス様や眷属以外では殆ど交流が無く、遠くから見ているだけでしたのでかなり退屈しておりました。自分が居なくても平気だと判断したマスターは転生を決意なされました。


「なるほど、まあその気持ちも分からないでもない」

 

 俺も人と何年何十年も関わらないと色々と心細いし刺激がなく退屈な日々を送りそうだもんな。しかも、神レベルになると何千年何万年規模だろ?自分以外は遊んで楽しんでるのに自分だけ見てるだけなんて、流石に辛いだろうな。


 転生の理由は分かったけど、転生を繰り返したのは何で?やっぱり何かしらの理由で死んだの?


A.はい、一番最初を除いて他の前世のマスターは亡くなっています。


 やっばり?でも、一番最初の俺は生きてるってこと?


A.《滅者の心臓(ルインズ・ハート)》の"輪廻転生"の発動条件は権能を発動させるか、死亡した場合のみです。一番目のマスターは権能を発動して魂が次の転生体に宿りました。その為、魂がない状態なので実質的には死亡しています。


 ふーん、そうなんだ。やっぱり何処の世界でも色々と大変そうだな。他の前世は権能を使わなかったのか?


A.いえ、そもそもウルス=ドラゴンとしての力、記憶が目覚めていなかった為、権能自体を知りませんでした。


 そりゃあ、そうだな。知らなきゃ使えるものも使えないもんな。そもそも目覚めてないのは何でなの?そういう能力じゃないの?


A.《滅者の心臓(ルインズ・ハート)》の"輪廻転生"が不完全だったのと、初めて使うその権能はただ転生をするだけで能力や記憶の継承がされませんでした。

 しかし、今世では適性が高く七回の転生を経てより強化されたお陰で能力が目覚めました。それでもあちらの世界のステータスやスキルの概念を此方で調整するのに手間取りました。


 今、目覚めたのは偶然だったわけだ。やはり別の世界の法則をこっちに移すのは難しいってことか。

 にしても俺は適性が高かったのか?今まで普通の人間だと思ってたから良く分からないけど。それにしても能力だけでなく記憶も継承されるのか…。


A.今までの転生体に比べると、ずば抜けて適正が高く、ステータスの反映も問題なく成功し、今まで不安定で分離されていた全ての魂が完全に一つになっています。

 記憶の継承はすでに行われています。きっかけがあれば何か思い出していくでしょう。前世の記憶が邪魔をして人格が変わるなどはありませんのでご安心ください。


 良かったー。少し怖かったが、あまり影響が無さそうで安心した。他の前世は皆一般人として一生を終えたのか?もしかしたら、その世界に行ったりできる?


A.世界にもよりますが一般人ではなく特別な存在だったと思われます。転生しても"魂の格"自体は変わらないので、並外れた戦闘能力や治癒力、特殊な能力など身に付けていたと思われます。

 ちなみに権能によって全ての前世の心臓は不滅化し、無限のエネルギーを放出し肉体を再生し続けています。他にも前世の肉体に蘇ったり、前世の心臓を座標に世界を越えて転移したりも出来ます。

 ステータスを見てもらえると能力の詳細が分かります。


 そう言えばそのステータスを見るのに世界眼?と言うのは何だ?そんなスキルはステータスに載っていなかったが。


A.〈滅神ノ瞳(ルインズ・アイ)〉の力の一つです。


 俺は"見る"ことを意識してステータスをもう一度開く。そしてスキルを更に見ようとすると文字が浮かび上がった。

 

滅神ノ瞳(ルインズ・アイ)

ー 一定の知識があれば全ての魔眼・神眼系スキルを習得できる。一つのスキルにつき一人に能力を貸し与える事が出来る。天性的に持つスキルはいくらでも貸し出すことが出来る。世界眼、龍眼ー

〈世界眼〉

ー あらゆるモノを情報として見通す眼。ー

〈龍眼〉

ー あらゆるモノを色や形として捉える眼。ー


 これは結構チート臭い能力な気がする。今表示されてるスキル二つは恐らく天性的なもの…。これを幾らでも貸せるってことだろ?

 俺は試しに机や椅子など家にあるもの見ると、素材や使用目的、値段など見ようとすれば何処までも見ることが出来る〈世界眼〉。

 俺の身体から溢れる魔力を視認することが出来る〈龍眼〉。

 なるほど、かなり使えそうだ。最後に俺はこの権能を見た。


滅者の心臓(ルインズ・ハート)

ー"輪廻転生"→転生、能力継承&強化、死後の不滅化。

 "再臨"→前世の肉体に蘇る。

 "降臨"→前世の心臓を座標に転移。

 "滅者の系譜"→眷属化、念話、能力譲渡。  ー



「今はこの程度でいいや、後々説明してくれ。…最後の質問だ」

 

 俺は目をつぶり数秒考えたあと、大きな深呼吸をした。俺は管理者の話を聞けば聞くほど強くなるこの高揚感を押さえきれず、一番聞きたい質問をした。


A.はい、何でしょうか?










「今から前世の世界へ行けるか?」





ーーーーーーーーーー

名前:黒羽=葵(クロバ=アオイ)【ウルス=ドラゴン】

年齢:15

種族:人族【滅神龍】

レベル:1

HP:100/100

MP:∞

腕力:10

体力:10

魔力:10

敏捷:10

防御:10

抵抗:10

運:100

[権能]:《消滅(ルイン)》《無限(インフィニティ)》《滅者の心臓(ルインズ・ハート)》《世界格納(ワールドストレージ)》《管理者(アドミネーター)

[オリジンスキル]:〈滅神ノ瞳(ルインズ・アイ)〉〈連鎖支配(チェインルーラー)

[ユニークスキル]:〈天賦の才〉

[エクストラスキル]:

[ノーマルスキル]:

[魔法]:

称号:世界神、魔物の天敵、神々の天敵、転生を繰り返す者

ーーーーーーーーーー

滅者の心臓(ルインズ・ハート)

ー"輪廻転生"→転生、能力継承&強化、死後の不滅化。

 "再臨"→前世の肉体に蘇る。

 "降臨"→前世の肉体を座標に転移。

 "滅者の系譜"→眷属化、念話、能力譲渡。  ー


管理者(アドミネーター)

ー あらゆる情報や能力を支配し管理する。ー ※情報隠蔽&改竄、人格形成、高速思考、多重思考、完全記憶、マップ作成など。


滅神ノ瞳(ルインズ・アイ)

ー 一定の知識があれば全ての魔眼・神眼系スキルを習得できる。一つにつき一人に能力を貸し与える事が出来る。天性的に持つスキルはいくらでも貸し出すことが出来る。〈世界眼・龍眼〉ー

〈世界眼〉

ー あらゆるモノを情報として見通す眼。ー

〈龍眼〉

ー あらゆるモノを色や形として捉える眼。ー



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