リレー ② 貴様 二太郎
なんだこれ? いったい、どういう状況なんだ?
ヤリチン、おっぱい美少女、怪しすぎるおっさん……そして、声だけ聞こえる女の子。
「なになに? 誰そのオッサン」
『うっきょああああああああ!!』
僕の後ろからキイチが顔を出した瞬間、またあの奇声が聞こえてきた。
それで僕は確信した。この声の主は幽霊だって。
僕の幼馴染み兼悪友兼疫病神のキイチは、ことあるごとに幽霊関係のトラブルに巻き込まれる。ただし本人には霊感の類いなど一切なく、見えない聞こえない微塵も関知できない。なのに巻き込まれる。そして毎回何事もなく生還する。その理由は……
『やあ、お嬢さん。私と一緒にヘブンズドライブしてみない?』
コイツだ。腕を組んでキイチの後ろに浮かんでいる、神々しい金色のオーラを放つ細マッチョのイケメン。自信に満ちた笑みを浮かべ、全裸で股間の巨砲をそびえ立たせ高速で腰を振っているまごうことなき変態。高速すぎてイチモツが残像になってて、ナチュラルなモザイクがかかってる。
でも、いままでコイツが数多の悪霊からキイチを守ってきた。だからたぶん、この変態はキイチの守護霊なんだと思う。たぶん……
『無理無理無理、ご遠慮しますううう! 悪霊退散、破ァァァ!!』
姿は見えないけど、きっと泣いてるんだろうなぁ。御愁傷様。
「ちょうどいいじゃねえか、ミカ。昇天させてくれるってよ」
『バカバカ、天さんのバカぁ~~! あたしがしたいのは成仏なんですぅ』
『心配ご無用だよ、お嬢さん。私に昇天させられた者は例外なく、文字通り昇天するのだから!』
『でも嫌ぁぁぁぁ! 却下ですぅぅぅ!!』
ですよね。うん、アイツを前にした悪霊のみなさんもそう言ってたわ。でもアイツ、悪霊には毎度問答無用で突っ込んで昇天させてたな……
「遠い目しちゃって、どしたの? あのオッサンもひとりごと言っちゃってるし、なんなワケ?」
「あなた、今の女の子の悲鳴聞こえなかったの?」
おっぱいちゃんに呆れ顔を向けられてるってのに、アホのキイチは鼻の下を伸ばすだけ。ほんとアホだな、コイツ。
「キイチの守護霊があのオッサンの守護霊? なんかとにかくあのオッサンに憑いてる女の子の幽霊に嫌がらせしてる」
「なんじゃそりゃ」
何も感知できないキイチは、いつも通り1人首をかしげるばかり。ほんといいよな、おまえ。
「まあ、そこの彼が首をかしげるのもわからなくはない。この状況、何が何やら俺もさっぱりだ。だからここはひとまず、自己紹介でもしないか?」
「はいはい、さんせーい。やっぱ合コンなら、まずは自己紹介からだよな!」
「おまえ……この状況でまだ合コンとか、メンタルどーなってんの?」
僕のイヤミに照れ笑いするキイチ。なんでだよ。誉めてねぇよ、バカ。
「はい、じゃあオレから! オレは三枝黄一、26歳、フリーターやってまーす。あ、気軽にキイチって呼んでくれていいよ~。はい、次タケル!」
「え!? あ……えと、番紅花タケル、です」
いきなりふられたから、しどろもどろになっちゃったじゃないか! ……嘘です。尻すぼみになる声量といい、すごくいつも通りでした。
なんて脳内反省会をしてたら、おっぱいちゃんが一歩進み出てきた。
「わたしは櫻井ちとせ、大学生です。ここへは、サイトに載せるための写真を撮りに来ました」
おっぱいちゃん、ちとせって言うのか。名前もかわいいなぁ。
最後に進み出てきたのは、この中でダントツに1番怪しいオッサン。オッサンはひとつ咳払いをすると、シュバって感じにポーズを決めて――
「どんな霊障もパパっと解決! 超☆霊能力者・鳥船ジパングとはこのワタクシのこと!!」
って、アホみたいな名乗りをあげた。
なんだこれ? いったい、どういう状況なんだ?




