表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
13/28

リレー ⑨ LED

『ひぎぃぃぃぃ!! いやぁぁぁぁ!?』


 騒がしく響き渡るは、大方の予想通り、超臆病な幽霊・武智(たけち)ミカの発した悲鳴。


 キイチとタケルを探しに行ったはいいが、少し館の中を歩いたらすぐに、迷子になった。

 それだけならまだしも、館の中には外で見た異形の化け物――ゾンビ?――が侵入していたのだ。


「おまっ、ミカ! ビビリなのはしょーがねーにしても……もうちっと声のトーン落とせねえのかよ!?」


 鳥船(とりふね)も冷や汗をかきつつ、抗議の声を上げる。

 せっかく物陰に隠れても、ミカがギャーギャー喚き散らすせいで、居場所を思いっきり知らせているようなものだからだ。


『だ、だってだってぇ。あんなグロいんですよ!? 気色悪いじゃないですかぁ!』

「つーかお前、曲がりなりにも幽霊だろ? 生身の俺と違って、ゾンビに襲われたってすり抜けてノーダメージじゃねーのか?」

『ちっちっち。甘いですねぇ(たかし)さん。彼らが実際に危害を加えられるかどうかなんて、些細な問題なんです。

 問題は……あたしのメンタル的に怖いと思ったモノは怖いって事です! もう口からエクトプラズム出ちゃうレベルでっ!』

「胸を張って情けねえセリフ言ってんじゃねえっ!? そもそもだな! エクトプラズムなんて迷信なんだよっ!」

『…………ほへ? そーなんですか?』


 キョトンとした顔になり、首を傾げるミカ。鳥船は深々と溜め息をついた。

 数十年ほど前まで、可視化された半霊的物質として持て囃された「エクトプラズム」――だが今やオカルトマニアの間ですら、その用語が聞かれなくなって久しい。


「口から霊魂みたいなのが出てるのが写真に映ってて……ってヤツだろ?

 アレの原因って、昔の写真技術が未発達だったせいで起こる不具合だかんな?

 要するに『アステカの祭壇』と一緒のパターンだ。今やスマホ映像も高画質化してきて、粗悪な現象はほとんど起きなくなっちまってなぁ」

『がーんです……幽霊のあたしが言うのも何ですが、夢のない時代になっちゃったんですねえ……』


 しみじみと頭を垂れるミカ。何というか二人して、緊張感の欠片もない。

 ……というのも、先ほどから辺りを徘徊しているゾンビ(?)たちが、いっこうに鳥船を見つけようとしないからである。

 悲鳴を上げてしまった以上、声を潜める意味もないと思い、普通に会話してしまっているが……彼らはどうした訳か、鳥船の横を通り過ぎて廊下を歩き去っていく。


「? な、何なんだ一体……? マジで俺たちの事、眼中にねえみてーだが……」

『……はッ。これはまさか……あたし、ピーンと来ちゃいましたよ(たかし)さん!』


 ミカはフンスと鼻を鳴らし(息ができるのか?)、何か思い当たったらしく目を光らせた。


「ピーンと来たって……何か分かったのか?」

『ほらぁ、よくある話じゃないですか。ホラー映画とかで真っ先に殺されちゃうのって、大体場所もわきまえず乳繰り合ってるバカップルですよ!』


「え、それはつまり……この館で何かの拍子でカップルが誕生して、ゾンビどもはリア充オーラを感じ取ってそっちに向かってる……って事?」

『いぐざくとりぃ! その通りですよぉ~。いや~襲われちゃうカップルさんは気の毒ですけどぉ』


 ミカの世迷言が万一、正しいとすれば……この館において、急遽カップリングが成立した事になる。


(まさか……あのちとせとかいう女と誰かが……? 会った時からなんか、ヤバイ雰囲気出てたしなぁ……

 特にタケルとかいう奴。目に見えるレベルで童貞オーラ漂ってたし、ちとせのおっぱいガン見してたよな……

 もし何かの拍子で誘惑とかされちゃったりしたら、一発で即オチしちまうんじゃねーの……?)


 困った事に鳥船のアホらしい想像は、もはや妄想レベルだというのに、現時点でおおむね事実だったりするから始末が悪い。

 ともかく嫌な予感しかしなかった鳥船は、廊下に消えたゾンビたちの後を追う事にした。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] ゾンビネタキタアアアア!!と喜ぶゾンビ好きです。 リア充はここに至る伏線でしたか!!! あと、エクトプラズムも初めて聞きました! (新しく知った言葉はとりあえず検索する。なるほど!) 何…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ