珍しいメンバー
「がっつき童貞先輩!カロリーヌさんが呼んでます!」
「今なんつった?」
コタツでゴロゴロぬくぬくしていた俺の耳に何か酷い言葉が刺さった気がする。
「がっつき童貞先輩ですよ!昨日の話、リシアさんから聞きましたよ〜。先輩、私たちの事見ていやらしい気持ちになるらしいじゃないですか!キャー犯される〜」
どうしよ、めちゃくちゃぶん殴りたい。
そんな事したら今度はDVだなんだと騒ぎ出すだろうからしないけど……理沙が男だったら確実に殺ってたわ。
「いいか?俺にだって選ぶ権利はあるんだぜ?中坊相手に欲情するわけがないだろ?執拗いようだがもう一度言う。俺はロリコンじゃねぇ!」
「確かに私の実年齢は14歳ですけど、今は16歳ボディですよ?」
「だとしても、だ。俺はお前を性的な目で見たりしない」
「あーあー、おっぱいが重いなぁ。誰か半分持ってくれないかなぁ」
「辛い時支え合うのが家族だよな!半分持つよ!」
「この人やっぱり変態だ!」
「くそっ!またオイラを騙したな!」
「私、翔太先輩みたいな大人にはなりたくないです」
酷い言われようだな……。
俺ってもしかして、嫌われてる?
「とにかく、カロリーヌさんのとこ、行ってあげてください」
「はいよー。で、カロは何処にいんだ?」
「あそこです」
俺はコタツからヌルりと上半身を這い出し、上体を起こす。すると俺の対面で紅茶を飲むカロリーヌの姿があった。
このコタツは大勢入れるようにかなり大きく作ってある。
しかし、それでも俺とカロリーヌの直線距離は10mもない。最早行く距離でさえない。
え、なんでこの距離、自分で声掛けなかったの?
「カロリーヌさんは王女様ですから。大きな声も出しませんし、人と会う時は来てもらう側の立場です」
いや、そんな解説を求めたいわけじゃなくてだな……。
「で?なんだ?カロ」
俺はジト目でカロリーヌを見るが、彼女はこちらに見向きもせず、もう一度紅茶を啜る。
「ふぅ……」
暖かいため息を吐いたところで、ようやくこちらを見て口を開いた。
「わた──」
「あー、ごめんね。カロリーヌってば、義妹ちゃんが来てから、自分が王女様だった事意識するようになっちゃってさ。ほら、今だって背筋伸ばして優雅に紅茶飲んでるでしょ?この子お姫様だった頃に未練たらたらだからさ〜」
「……そうか」
カロリーヌはまるで気にかけていないように振る舞いながら紅茶を啜り続けるが、顔は真っ赤。
「カロ、ちょっと恥ずかしくなってきたんだろ?」
「はじゅかしくありましぇん!」
あ、噛んだ。
まぁいいや、話進まないし聞いてないふりしてやるか。
「……んふふふ。カロリーヌったら動揺し過ぎなんだから〜」
あんまりいじめてやるなよ……。
「どこかのダンジョンに冒険に行きませんか?」
「カロが自ら進んで家から出ようとしてるだと?」
こんなに驚いたのは3日ぶりだ。
「……せめてリーヌと呼んで貰えませんか?悪意を感じます」
「わかったわかった。リーヌなリーヌ。で?カロは何でダンジョンに?」
こいつがそう言うくらいなのだから何かしら目的があるのだろう。
「貴方って、頭悪いんですか?……はぁ。実はそろそろ新しい従魔が欲しいと思いまして」
「カロ……リーヌは蠱毒虫従魔士だったよな」
「はい。そっちは覚えていてくれたんですね」
「むしろ忘れられねぇよ……」
蠱毒虫従魔士とは従魔士の上級職である。
この職業の面白いところ、というか怖いところは呪い、毒、虫に関する魔物や動物を従魔にした時のみ大幅に能力を上げることが可能になるのだ。
カロリーヌのように、口調丁寧で誤魔化した腹黒女にはピッタリな職業だ。
「ったく、何でこんな物騒な職業選んだんだ?」
「何でって、翔太さんがこれにすれば毎日美味しい紅茶が飲めるって言ったんですよね?」
あー、思い出してみれば言ったような気がする。
「確か俺の淹れる紅茶が美味しかったから、だっけ?」
「そ、そうです。それで蜂を養殖するためにこの職業を選びました。まさか、そっちは忘れてたんですか?」
「いやー?そんな事ないぞ」
蜂蜜欲しさに王女という職業を手放すとか、ちょっと面白いよな。って思った記憶がある。
まあ、『称号:王女』のお陰でステータスはかなり高いんだけど。
「白々しいですね。準備ができたらお声掛けください」
「早く着替えて〜」
「お?ペトラも行くのか?」
「そだよー、王女に頼まれちゃったら断れないよね〜」
お前は王そのものだろうに。
まぁいい。ペトラが言うように、準備なんて、着替えくらいのものだ。
んじゃ!レッツゴー!!!
会話だけで終わってしまいました。。。。




