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転移前日夜のひととき
「んで、まあ生まれて初めて牡蠣を食べたんだけどさ、運悪く当たっちゃってな! 入院生活を余儀なくされたんだけど、その時のグータラ生活が余りにも楽しくてさ!それ以来不登校になっちまったってわけよ」
「なるほどなぁ、それで?その前半の話と後半の話になんの関係があるの?」
「んー。特にないな」
うん。特にない。ただの俺の高校生活の思い出だ。
「それで?明日から2年になるわけだけど?学校には来んの?」
あ、もうスルーするスタイルなのね。伊織が呆れているサインだ。
「ああ!そうだったな!行こうと思う!」
学校をサボりすぎて、高校生活ってものにちょっとした憧れのようなものが再燃してきたのだ。いい機会だし、ちゃんと学生としての本分を全うしようと思う。
「そっか、翔太がやる気になってくれて良かったよ」
「おうよ!待っとけ」
俺はその後、少し雑談した後、電話を切ると明日に向けて少し早めに眠りについた。