クリエイティブとネイティブ 後編
〜前編のあらすじ〜
俺とリシアとペトラの頭上にそれぞれ1枚ずつ白ブリーフが落ちてきた。
〜以上
「くっ……!!!」
魔法袋を想像している時、何故か俺の頭に雑念が過ぎったのだ。
その結果がこれ、白ブリーフである。
だって四次元〇ケットと似てるじゃん!
不幸中の幸であることに、この世界にはブリーフが普及していないのでなんとか誤魔化せるだろう。
もし降ってきたのがギャルのパンティだったりしたら目も当てられなかった。
いや、ある意味ガン見だったかもしれないけど。
俺は少し項垂れながらも性能を確認する。
うん。性能だけなら理想通りだ。
「──よし。大丈夫そうだな!」
目の前の椅子に集中しながら『入れ!』と念じるとしゅっと袋の中に吸い込まれた。
ははっ! いいなこれ! 楽しい!
俺はクハクにお礼を言ってから、2人に使い方を説明するとリシアの持つ袋の中に入った。
「街に着いたら出してくれ!」
俺は転移ができない。
そして転移魔法で転移できる対象は1人だけ。
なら運んでもらえばいいよな!
袋の中は俺が想像していた通りの暗闇で、自分がふわふわと浮かんでいるのがわかる。
何秒か経つと目の前の空間に亀裂が入った。
そこから除く景色を見るにもう街に着いたみたいだ。
「よっこらせー!」
俺は平泳ぎの要領で亀裂までふわふわ泳ぐとそこから勢いよく飛び出した。
「いやぁ、まさかあんだけ苦労して歩いた道のりが一瞬とはなぁ」
「流石しょーただね! 知力のステータスが高いだけあるよ!うんうん。知力のステータスが……」
「ねぇ、ペトラちゃん? 私キレてもいいかな?」
「んふーごめんね!」
「いいから行くぞ! まずは3人で食料を調達する。その後は別行動しよう。俺は装備を整えるから、2人は日用品を買ってきてくれ。女性陣は必要な物も多いだろうし、こういうのは男がいない方がいいだろ?」
「ペトラ知ってるよ! そーいうの紳士振るって言うんだって! 人によっては引かれちゃうらしいよ!」
「……そうか、すまんかった」
女の子って難しくね?何が正解なんだよ。
「リシア先生模範解答をお願いします」
「んっんぅーん。こほん。では……。おい、お前ら! 金やっから好きなもん買ってこい!」
「男っぽい! なんだそのイケメン!」
「金が嫌いな女はいない」
間違いないな。金が嫌いな男もいないと思う。
まぁ、俺は金の問題でここに来たわけだから嫌いではなくとも憎んではいるけどな。
女性の扱いは女性に聞くのが1番手っ取り早いのかもしれないなぁ。
またひとつ勉強になったわ。
そんな会話をしつつ、俺たち3人はお買い物を楽しむのだった。
保存の効く食べ物を一通り買い終え、香辛料が売っている店を探し始めた頃、リシアがおもむろに口を開いた。
「翔太の言葉少し訛ってるよね?」
「そうか?」
まぁ、俺からしたらいきなり別の世界に来て日本語が通じているほうが驚きなんだけれどね。
それにこの世界には日本人しか宇宙人がいないというのも気になる。
その辺にも何かしらの繋がりがあるのではないだろうか。
「にちじょー会話はふつーなんだけど、食べ物の名詞になると時々変!」
ペトラが言うってことは、リシアの住んでいたところ特有の方言とかではなく、俺の言葉が本格的にズレてるってことになる。
俺は特に違和感を感じたりはしないのだけれど、どうやらみんなからするとそうではないらしい。
「ねぇ、しょーた! これはなんて言うでしょう!」
「たまご」
「やっぱり訛ってるよ!」
そう言ってケラケラと笑うリシアとお腹を抱えてきゃはきゃは笑うペトラ。
俺、そんなに変かな……少し凹む。
「なあ、リシアの発音も聞かせてくれよ」
「いいよ、どれ?」
「ん!」
俺はたまごだと思っていたそれを指さす。
そしてリシアから帰ってきた答えは……
「これはためぃごーうだよ」
「は?」
こいつナメてんの?
「ペトラ、これ」
俺はたまごを指さしてリシアに頼んだように正しい発音を要求する。
「ためぃぐぉーう」
「……」
何それ。なんで日本語を無理やり英語発音にしましたよ、みたいな発音になってんの?
百歩譲ってトマトをトメィトゥとかだったら分かるよ?ためぃごーうってなに?
俺を挑発しているとしか思えん!
「おじさん。これなんですか?」
俺は苛立ちげに近くにあった店まで行き、店員さんに問う。
「何って。こりゃどう見てもためぃぐぉーだろ?」
「そ、そうですよね……」
おいおいどうなってんだよこの世界は。
このふざけた発音がこの世界の常識だってのはわかった。
けど、なんだろうな。みんながみんなちょっとずつ発音違うんだよな。
そこもまたムカっとくるって言うか、なんて言うか……。
俺の心が狭いのか?
まぁ、今回はそういうことにしておこう。
「あんた宇宙人だよな?」
「はい? え、まあ」
「ならためぃぐぉーは毎日食べるんじゃねぇのか?」
「そうですね。基本的には毎日食べますし、料理の中に含まれてることも多いです」
「実はこの世界で鳥の卵が食べられるって広めてくれたのは初代勇者様なんだぜ」
へー。
確かにこの世界では初代勇者=初代宇宙人なんだったっけ。
そいつがこの発音で宣伝していたのだとしたら俺の中での初代勇者の評価は「クソ」である。
確かに世界のために戦ったってのはかっこいいと思うけれど、それ以外はうちの父親といい勝負だ。
元の世界に帰る機会があったら父さんを慰めるためにこの話を聞かせてやろう。きっと元気になるだろう。
それはそうとして、どうやらトマトはとぅめいとぅー、いもはいぃーもぅー、パイナップルはぱいなっぽなど、主に食品に関する訛りがあるらしい。
トマトは普通だった。英語の発音に近いからまぁわかる。
だけどそれならパイナップルもパイナポーでええやん。
なんでパイナッポなの?
全然わからん。
それに発音中のみんなの口の動きも正直腹が立つ 。
リシアが豆腐をとぅうぉうふーと発音した時にはつい頭を叩いてしまった。
ごめん。お前に罪がないことはわかってはいるんだ。
ステータス差が悲しいかな。痛かったのは俺だった。
その後はそれぞれ服や小物などの生活用品を買って帰路についたのだけど、5時間の間にまさか女性陣が転移で世界各国を回っていたとは思いもしなかった。
またブックマーク件数増えてました!
ありがとうございます!
知名度の高くない作品なので、今読んで下さっている方が生命線の僕にとってはとてつもない救いになります!
いつか高評価を貰えるような作品にしたいので、これからも一緒に育ててくれると嬉しいです!




