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ゴミ人間



 理沙達に合流して部屋に向かうとベッドの上で裸のお姉さんが煙草を吸っていた。


 当然、俺は脳内スクリーンショットを連発する。


「何の用だ?クソガキ共」


 左肩には刺青がビッシリと入っており真っ赤な口紅が黒髪を映えさせる。


「命が惜しくば有り金全部だしな! そーすりゃ命だけは助けてやるよ!」


 理沙は随分と乗り気だ。もともとこういう性格だったのだろうが、俺が学園で会った時の彼女の面影は微塵も残らず消えていってしまった。少し寂しい。


「笑えねぇ冗談はよしな。あんたらこそ持ちもん全部置いて、さっさと帰るべきさ。ママのおっぱいでも吸ってお昼でもしてな」


 すげぇ余裕だ。俺はチート能力を貰えなかったとはいえ、敵に宇宙人がいて、更には6対1の対面。

 にも関わらずこっちを見向きもしない。


「まぁ、そこの坊やだけは残して貰えると助かるね。外の男はみんな殺しちまったんだろう? 今晩の相手してもらわないとね」


 女はニヤリと笑う。何だこの不吉な予感は。


「……!?」


「おや、気付いたようだね。ふふっ。アタイの能力は魅了。異性を虜にするスキルさ。これでもうこの男はアタイに逆らえない。さぁ、こっちおいで。坊や」


 なんという事だ!

 俺は1歩ずつ女に近づいて行き、そのままベッドに腰掛けた。


「女はさっさと帰りな。でなきゃ、この子の命も保証できないからね。アタイが命令すりゃ、自死させることだって容易いもんさ。アタイはそれでもいいけどね。アンタらはそれで納得できるのかい?」


 そう言って女は俺の頬をベロッと舐める。

 気持ち悪いいいいいい。

 俺は背筋をぞぞぞと這い上がる悪寒に身震いをしながら、両の手で女の胸をがっしりと揉みしだく。


 カロリーヌと比べると少々小さいが柔らかくていい感じに手に収まる。年上のお姉さんもありだな。


「しょーた!しょーきに戻って!」


 ペトラが俺に何か言ってる。

 俺は朧気な意識の中で、ひたすら彼女の胸を揉み続けた。


「どうしよ!? さっきからずっと癒しの魔法を掛けてるのに全然効果がない!」


 聖女の回復を持ってしても俺の洗脳は解けないというのか!?


「どうするっスか!? このままだと主様が!」


「くっ、どうする事もできないのね……」


「上級職に就いて浮かれてた自分が恥ずかしい。こんなにも無力なんて……」


 みんな諦めムード。

 そんな中乳を揉み続けてる俺。どうすりゃいいんだ。


 ……ん? あれ? お姉さん吐息が荒くなってきたなんだろ、ちょっと楽しくなってきたぞ。


 ──むにむにむにむに


「どうやら諦めたようね! 坊や、全員殺してしまいなさい」


 ──むにむにむにむに


「何してるの? 早くアイツらを殺しなさい」


 ──むにむにむにむに


「坊や!」


「痛っ! 何するんですか! 今いい所だったのに!」


 女に頭を叩かれた俺はさすさすしながら頭に回復魔法をかける。おっぱいは一旦休憩だ。


「坊や、早くあなたの仲間を殺しなさい」


「え、嫌ですよ」


「え?」


「「「え?」」」


「どうしてアタイの命令に逆らえるの!?」


「そりゃ、俺だって日本人ですけど嫌な事にはNOと言える日本人ですから」


「…………」


 あれ、そういや俺なんで断れたんだ?魅了されてたらどんな命令にも逆らえないはずなのに。


「なるほど! レベル差だ! しょーた最初から魅了にかかってなかったんだ! だから理沙ちゃんの魔法でも回復しなかったんだ!」


「じゃ、じゃあ翔太先輩が胸を揉んでたのって……」


「しょーたの意思だね!」


 おっと、一気に場の空気が冷めだした。


「あれ? 俺また何かやっちゃいました?」


「翔太先輩、とぼけても無駄です」

 

「くっ、くそっ! オイラを騙したな! 許せない!!!」


 俺は瞬時にお姉さんの方に向き直って魔法袋からロープを取り出し縛る。


「よし、こいつをギルドに突き出してお金を貰うぞ!」


 裸の女性を縄で縛り肩に担ぐ俺。

 ゴミを見るような目で見つめる家族たち。

 ペトラの純粋な眼差しが何よりも痛い。


「しょーたまたおっぱいオチ? げーがないね」


「てっ、撤収!!!!」



 盗賊長の女をギルドに預け賞金を貰った後、再びアジトに戻り色々と部屋を漁り、最終的には2000万円ほど儲かった。

 ただ、道中彼女達の視線は冷たく、俺達の会話はほとんどなかった。


 明日から少しずつ挽回していこう。

 だから、今日は──


「今日は一人で帰ってください! 翔太先輩最近煩悩がエグいです! そろそろ本気で身の危険を感じてきました!」


「は、はぃ〜」


 俺はスラム街に一人取り残されて家に帰ることとなった。



 そうして出会う。

 後に俺の人生を変えた二人の兄妹に。


またおっぱいでごめんなさい。

本当にごめんなさい。嫌わないでください。

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