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俺を捕まえるなら他のやつも捕まえろよ?

 

 ※第零章は転移前日と転移当日の物語です。

  興味ない方は飛ばしてくださって構いせん。

  愛する女神の為ならば本編は第一章からになります。





 花のような高校生活。

 そんな言葉を簡単に口に出すような奴はきっと高校生活を少しも満喫出来ていない奴だ。


 あんな地雷畑で花見なんて誰がしようと思うのだ。


 俺が学校の怖さを教えてやる。


「せーの」

「「時を遡ること半年前〜」」


「あれ?翔太って半年前はもう既に不登校じゃなかったっけ?」


 ん?あー。そうだわ。


「伊織、よく覚えてたな」


「そりゃ友達のことぐらい覚えてるよ」


「はっ、よく言うわ」



 俺、春野翔太にとって伊織は唯一の友達だ。

 けど、伊織にとって俺はきっと有象無象の中の一人に過ぎないし、俺はそれをちゃんと自覚している。


 クラスの人気者で、誰とでも直ぐに打ち解ける彼とは真逆の道を進む俺は、むしろ友達なんて必要としていなかった。


 それでもこいつに友達だと言われるだけで、こんなにも嬉しくなってしまうものなのだから俺も単純だ。


 それだけ俺は彼を特別に感じ、彼に憧れ、彼を尊敬している。


 まぁ、それはさて置き、

 俺が不登校になったのは確か9ヶ月前。

 高校生活初の夏休み間際のことだった。





─────────────────────────




 春に誕生日を迎え16歳になった俺は喜色満面で授業を受けていた。


 そう。当時は授業を受けることさえ苦痛にならないほど、俺の人生は勝ち組だったのだ。



 俺の席は中央の後ろから2番目、最強の要塞の主として君臨している。


 そして、俺の左には京真琴。学年一可愛いと名高い我らのアイドルである。


 席替えのないこの学園に置いてこのアドバンテージはあまりにも大きいと言えるだろう。


 そして、いよいよ本題だ。

 俺がこんなにもウハウハな理由。


 本日をもって、僕達、私達生徒一同は夏服に衣替えしました。


「ちらり」

 俺はこっそりと左隣を盗み見る。


 うっわ。

 圧倒的な美の暴力。薄着に強調されるボディーライン。

 やばい。幸せ。


 興奮して鼻血が出る。なんてことにはならなくても、体温がもりもり上がっているのは分かる。

 ワキワキと血液も巡ってる。


 激カワ、激アツ!


「幸せだわ〜」


 胸が一杯になった俺は、今まで()()()()()()を再開する。

 男子諸君には語るまでもないだろう。


 そう、()()である。


 女の子は絶対に聞きたくなかった話かもしれないが、あえてここで言とするならば。



 【可愛い女の子はほぼ100%授業中の男子の妄想のオカズにされている】

 


 はい。すみません。でもこれ事実なんです。


 うーん。どこからともなく俺を刺すような視線を感じるけど、ホントのことなんだから仕方ない。


 現役男子高校生の俺が言うんだから間違いない。


 ちなみに今、 俺は【彼女の後ろに立って肩もみをする】妄想をしている。


 執拗いようだが、これは模範的な授業中の男子の構図である。むしろこれをしてない奴こそが不健全だ。ありえない。


 クラスのイケメン君だって、教室の隅で本を読んでる根暗君だって、先生だって、君たちのお父さんだって、政治家だって、医者だって、みーんな、授業中にはそんな妄想をして生きてきたのだ。


 それが男というものだ。


 女の子は皆、授業中にはクラスメイトに肩を揉まれているのだ。


 もし仮にこれが許せないほど潔癖なら、女性陣は男との共存は諦めた方がいい。戦争だ。


 だが、女性諸君。むしろチャンスでもあるんだぞ!

 胸が重いから肩が凝った?

 なら、ぜひ、君が恋をする男子に肩揉みを頼んでくれ。

 今の2倍は恋の成功率が増すと言っていい。



 ただ、京真琴ほど可愛い子ならばどっかの変態にもっと凄いことをされているかもしれない。


 足つぼマッサージとか。


 例え妄想だとしても、チキンな俺は流石に学年のアイドルの足ツボを突くことはできない。


 けれど、真の勇者は多分それくらいのことはやってのけるのではないだろうか。

 きっとくるぶしを撫でる妄想をしてる奴とか、上体起こしの足を抑える担当をする妄想をしてる奴もいると思う。


 ちなみに、昨日の俺は【俺が穿いたゴミを京がちりとりで拾う】妄想をしていた。

 しゃがむ彼女のつむじがとてもセクシーだった。


 確か一昨日は【学校に突撃してきたテロリストから守ってあげた】っけな?俺はヒーローだった。強かったぜ。


 振り返ってみるとたまに自分が変態なのではないかと思うこともあるけれど、あれもこれも全部思春期のせいだ。


 俺は賢者になる時間なんて必要としていない。

 いつだって壮大な愚者でありたいのだ。


 つまり、何が言いたいかと言うと僕は悪くない。だから絶対にごめんなさいは言わない!言うもんか!ということである。


 なんてことを考えつつ、俺は夏服姿の隣人の肩を揉む妄想を再開する。



「凝ってますねぇ」


「うっへ〜京の肩柔けぇ〜マシュマロみたいだぁ」


 ……あれ?今なんか矛盾してなかったかな?

 まぁいい、俺は今だけは天才マッサージ師だ。



  ああ、最高!

 俺はこのために生まれてきたに違いない!





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