題『出待ち』
タレントがテレビ局から出てくるという体で。後ろを振り返りながら会釈して。
ツッコミ「お疲れしたー、はいどうも、お疲れでーす」
そこに制服を着た警察官が近づいてくる。
ボケ「あー君、ちょっといいかな?」
ツッコミ「ああ、はい?」
ボケ「君、タレントの〇〇(ツッコミの演者さんの名前)さんで間違いないかな?」
ツッコミ「はあ……間違いないですけど」
ボケ「悪いけど、ちょっと聞きたいことがあるんだけどね」
ここで不安そうな顔をしてツッコミは顔だけ後ろを向き、頭に手を当ててつぶやく。
ツッコミ「なんだろう……俺、なんもした覚えないぞ? 車だって普通に駐車場へ止めてるし……」
そこにボケが話しかけ、ツッコミはまた視線をボケのほうに戻す。
ボケ「いいかな? 話」
ツッコミ「あっ、はい」
ボケ「じゃあもう一度だけ確認するけど、キミが本当に〇〇さんで間違いないんだね?」
ツッコミ「はい……間違いないです」
ここでボケは手をそっと伸ばし、握手を求めながら。
ボケ「いつもテレビで見て応援してます」
ツッコミ「ファンだったの!? え、ただのファンだったのっ!?」
ボケ「ほら、握手して。早く」
ツッコミ「いや、なんでそこ命令口調なんだよ……まあしますけど、握手くらい」
ボケ「でね、話っていうのはこれからなんだけど……」
ツッコミ「うわ、やっぱなんかの捜査なのかよ」
ここでボケは手帳を取り出して何か書き込む姿勢になりつつ。
ボケ「じゃあ××(ツッコミの演者さんのニックネーム)にいくつか質問を……」
ツッコミ「いやいや、ちょっと待って? なんで警察の人がそんなフランクな呼び方するの?」
ボケ「それは何かね? 警察官はニックネームで呼んじゃいけないとかそういうことかね?」
ツッコミ「いやそういうことじゃないんですけど……なんか変な感じがするなっていうだけで」
ボケ「じゃあ、話を続けていいかな? ××」
ツッコミ「……はい」
ボケ「あー、ちなみに言っておくけど、ここで虚偽の発言なんかをしたりすると、後々裁判とかになったとき不利になる可能性もあるから、すべて正直にね」
ツッコミ「はい、特に何もやましいこととかないんで、きちんと話します」
ボケ「ではまず、スリーサイズから教えてもらえるかな?」
ツッコミ「聞くことそれ!? それって何か捜査とかに必要なのっ!? ていうか俺、男ですよっっ!?」
ボケ「それは何だね。つまり××は男のスリーサイズは聞いてはいけないとでもいうつもりかね?」
ツッコミ「いや……別にそういうわけじゃないんですけど……」
ボケ「じゃあほら、早く」
ツッコミ「はい……えーと、バストは△△(スリーサイズは演者の方のもの)で、ウエストは△△だったと思います……」
ここで二人、沈黙して、少ししてからボケが手帳とツッコミの顔とを何度か見直しを繰り返してから。
ボケ「ヒップは?」
ツッコミ「だから俺、男ですって! 男でヒップのサイズとかまで知ってる人そういないですよっ!!」
ボケ「困ったなあ……ヒップが一番重要なとこなのに」
ツッコミ「何が!? え、ヒップサイズが何にどう重要なのっ!?」
ボケ「まあ、それについてはまた追々ということにして……じゃあ次は××、身長と体重は?」
ツッコミ「良かった……まだそれなら聞かれる意味わかるし……えーとですね、(ツッコミの演者さんのもの)身長は●●センチで、体重は●●キロです」
ボケ「あー……まいったね、それだと5キロ超過だわ」
ツッコミ「待って、超過って何!? 俺の体重が重いか少ないかとか、医者にならまだ言われんのも分かるけど、警察の人にそこ、なんか言われなきゃいけないことなのっ!?」
ボケ「とはいえ、超過は事実だからねえ。悪いけど、ちょっとこっちの書類にサインしてもらうよ?」
ツッコミ「おいおい、ほんとになんかの罪とかに問われんのかよ……俺の個人的な体重なのに」
ここでツッコミは片手で頭を抱え、その間にボケは色紙とマジックペンを寄越し。
ボケ「はい、じゃあこの書類にサインしてね」
ツッコミ「書類じゃねえじゃん! それ、どう見ても色紙じゃんっ!!」
ボケ「あ、あと記入したら端のほうに▲▲(ボケの演者さんの名前)さんへって書き足してね」
ツッコミ「やっぱりただのサインじゃねえか! 普通に色紙へサインしてもらいたいだけじゃんっ!!」
ボケ「だからさっきからサインをって言ってたじゃないか。聞いてなかったのか? ××」
ツッコミ「そういうことを言ってんじゃねえんだよ! 分かれよっ!!」
ボケ「よし、そういう態度をとるっていうなら……」
ツッコミ「……え? ちょっとまさか、マジでなんか罪に問われんの? 俺」
ここでボケがさらにもう一枚色紙を取り出して。
ボケ「サインはもう一枚、書いてもらおうか」
ツッコミ「ふざけんなバカッッ!!」