緑リレー
僕は巨大な葉を持って走る。そうして背中を押す風を全身で受けながら持っていた鮮やかな緑の、僕の体以上もある葉っぱの上に乗った。葉は風を受けてぐんぐんと舞い上がり、右に、左に同じような仲間が見えてくる。風はさらに僕らを大空へと運び、僕は視線の先に見えてきた巨大な樹を指差した。
「世界樹だ!」
僕らは両手を上げてその樹を見た。あまりに大きすぎててっぺんは見えない。葉が覆い茂るその樹は雲に覆われて所々緑をちらつかせていた。
僕らは次々に世界樹というこの世界の命を生み出す樹に慎重に近づくと、ぶら下がる大きな実を掴んだ。右へ、左へ揺さぶって、確かな手応えと共に実が樹を離れる。
僕は爽やかな気持ちでその実を持つと、元の方向へと引き返した。
毎年強い風が吹くこの時期、風に乗ってきた世界樹の葉を捕まえて、それに乗って世界樹を目指す。そうして取ってきた実をこうやってバキバキに乾いた地面に埋めてやるのだ。
大きな実の中に詰まったたくさんの命が芽を出していく。
そうして、少しずつ少しずつ大地は緑を増やしていく。
僕はバキバキに乾いたその土に埋まった実を思い浮かべながら、盛り上がった土の側にしゃがんだ。くすぐったいような、待ちきれないような、なんだかふわふわした気持ち。自然と頬が緩む、そんな暖かい気持ち。
これが僕らの成人の日。毎年次の新成人が緑を増やしていく。
いつか、この砂漠に緑が戻るといいなぁ。
バキバキに乾いて草も生えない砂漠のど真ん中で、僕はこんもりと盛り上がった土に微笑んだ。




