狂人的な観衆
諸注意です。
あらすじでも触れましたが、特定の誰かを指したものではありません。実際の事件とも関係はありません。
風刺的、宗教的な要素が含まれます。読まれて気分を害されるかもしれません。それでも読んでいただければありがたいと思います。
今回は人の生き方について書きなぐってみました。
短い文章ですが、どうぞ。。。
昨日、クラスメイトが自殺した。それは突然の出来事でみんなもショックだったと喚いている。特に仲の良かった奴は顔をめちゃくちゃにして泣いている。なんで、なんでっ、そんな思い詰めた感じもなかったのに、何があったの?って嗚咽を漏らしていた。僕はそれほど仲が良かったわけではないがクラスメイトだから話したことは何回もある。確か、ちょっと前に席替えするまで二つ前に座っていたはずだ。日常に突如非現実的な出来事が起きるとそれが夢か幻じゃないかと勘違いしてしまうような不思議な感覚に陥る。僕だって信じられない。あの子が自殺しただなんて、、、
学校側は対応に追われている。市、県の教育委員会、マスコミ、PTAへの対応に追われ先生は目の下にクマができるほど疲れ切っている。自分たちでさえ何が起こっているのかわからないのに説明しろだの、事実はどうなんだ、だのわかるはずもないだろうに。。。
クラスメイトのほとんどがどこかのマスコミにインタビューを受けていた。そのインタビューで答えた内容が適当に流されている。こんな時に不謹慎極まりないがテレビに映れてちょっと有名人になったかのようでくすぐったい気持ちもある。
ここ何日かはワイドショーや新聞に記事が上がっている。それぞれが勝手に推理合戦をはじめて犯人を割り出そうとしている。いじめはなかったんですか。学校側の対応は適切だったんですか。いき過ぎた人間のいきすぎた発言。事実解明、正しい情報を得る権利を振りまわし切り刻んでいく十字軍、聖地は見つかったかい?
推理合戦の余波に当てられた人間が学内説明会で喚き散らす。きっと、、、そうに、、、違いないと、、、
・そうこうしているうちに事件は一つの決着点を迎える・
遺書が見つかった。。。内容は奇々怪々なものだった。
本人曰く、この世の中は人として生きるには難しすぎる。本能が死んでいる世界なんて生きていても面白くはない。だらだらと消化不良をするぐらいなら、いっそ自分で終わらせたい。
関係各所、世論にとってもちんぷんかんぷんな遺書であった。だが、筆跡鑑定により本人のものと確定。そうして出た答えが、精神に異常をきたしてしまい、自殺という最悪な行動をとってしまったのだろうと、、、勝手に断定した。この後は静かなものだった。ちょっと前の騒がしく慌ただしい時間はなんだったんだろう。急げ急げと急かされ、なぜだ、どうしてだ、なんでだと、すべてをwhyと詰められて。時間が圧縮されたような日々。。。ひどく疲れ、落ち着く暇もなかったが、、、懐かしいとさえ感じている。
時間も経ち、誰も事件のことを話さなくなったが、あの時から僕は自分の本能が何かを探している。。。そして、みんなもきっと、探しているに決まってる。
お読みいただきありがとうございました。
ご気分が悪くなられましたら甘いお菓子などを食べていただくといいかもしれません。
人間として生きるとはって考えると難しいですよね。生存本能から、果ては選別と淘汰と続いていきそうですが、、、現代でそれは直接行使できないですからどうしても本能的とは言い切れず、理性という不確定で不安定な膜に覆われてしまっているような気がします。