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いっつんの悩み。

………………………………むうっ、磨穂呂とエリカのばかっ………………。 私だって、もう13歳で、磨穂呂やエリカよりおねーさんなのに………………

私は自分の部屋でひとり、ぷりぷりと怒っていた。………………なんでみんな、私のことを子供扱いするの?

そりゃあ確かにみんなに比べたら背だってずっとちっちゃいし、オトナなお洋服は似合わない。けど、私だってもう小学生でも、はたまた幼稚園児でもないんだよ? なのに………………『樹はかわいいねぇ』とか、『椎原さん、お手伝いしてあげよっか? 』とか………………みーんな、私のことをちっちゃい子と接するみたいに『扱』って………………

いいや、お風呂行って忘れよっと。

とんとんと階段を降りて、廊下の角を曲がろうとしてふと視線をあげると、窓の向こうにきらーんと光る二つの光。………………なんだろ、じー………………よく見えないや、もうちょっと近くで、じー………………………………あ、ネコさんだ。あ、待って………………。

お風呂セットを抱えたまんま、玄関で靴を履いてネコさんを追いかける。真っ暗闇の中でネコさんを探すのはとても大変で、どこにいるのか全然分かんない。………………あ、おめめあった!!

「ネコさんまってぇ」

茂みの向こうにガサっと消えていく胴体を追いかけて、私も草むらの中に入る。手を伸ばしてネコさんに触ると、そのままこっちを向いて大人しくなった。

「………………えっと、じーしないようにして、頭からなでなでするんだよね。」

そっと手を差し出すと、大人しくアゴをのっけてくる。そのままさわさわと撫でれば、ゴロゴロと喉を鳴らして擦り寄ってきて、

「………………あはは、くすぐったいよぉっ」

ぴょんとお腹に飛び乗ってきて、そのまま私の顔に頭をこすり付ける。私も地べたにごろーんと寝っ転がってネコさんの好きにさせる。真っ暗だから何色のネコさんかは分かんないけど、あったかいし、ふわふわぁ………………あ、毛繕いし始めた。

「………………ネコさんは気楽でいいねぇ。やりたいことはなんでもやれるし、食べたいもの食べてもお腹ごろごろしないし、ダメって怒られることもないし、なでなでされても嫌じゃなさそうだし。」

「………………うにゃ?」

つい、ネコさんに悩みを打ち明ける。

「………………わたしは、ずっと『かわいい』って言われて、なでなでされて、なにかしようと思っても『危ないよ』とか、『まだ早いよ』って止められるし、みんなと違ってお肉食べるとお腹がごろごろするし………………みぃんな、私のことをお人形さんみたいに扱うんだもん………………ひどいよ………………わたしだって、みんなと同じこと、したいのに。」

「うにゃあ………………」

かなしいの? ってネコさんが話しかけてくる。

「………………うん。だってみんな、私よりもオトナっぽいし、それに引き換え私はおちびだからってなんにもさせてもらえないの。 ………………磨穂呂やエリカは、ほんとのわたしを見てくれるかなって思ってたのに、やっぱりみんなと同じように私のことをなでなでして遊ぶだけ。………………2人ともひどいよね、わたしは、対等な友だちだって信じてたのに………………」

言葉と同時にぽろぽろと涙がこぼれてくる。………………………………あーあ、こんなことなら………………ワガママ言わずに、ずっとママのところにいればよかった。

「にゃっ」

ネコさんがほっぺたの涙をぺろぺろとなめてくれる。そして、私のお腹の上にすくっと立ち上がったかと思えば、また丸くなっておやすみモードになる。

「………………ネコさんがうらやましいよ。」

ふかふかの毛皮に手を伸ばしてなでなですると、へっくしっとくしゃみが一つ。………………うぅ、やっぱりお外はまだ寒いやぁ、お風呂入りに行こ………………………………あ、ネコさん行っちゃうの? またねぇっ。

私知らないよっと言うように闇の中に消えていくネコさんにバイバイすると、そこら辺にぽいっとぶん投げっぱなしのお風呂セットを探して大浴場に行く。脱衣場ですっぽんぽんになって、珍しく混んでるお風呂に足を踏み入れる。空いた所に適当に腰掛けて、頭をシャワーで濡らす。………………っとと、お湯が目に入ったぁ………………

「まほろ、タオル………………」

あ、そっか………………磨穂呂は、いないんだった。しょうがないから、自分でタオルを手探りで探して顔を拭く。………………やっぱり、怒って出てきちゃったのは悪かったかなぁ………………お風呂であったまったら、すぐに磨穂呂のお部屋戻ろっと。

お湯の中に足を踏み入れて、肩までつかってほっと一息つく。あぁー、ネコさんよりもあったまるのですー………………

「………………あれ? もー誰よっ、自分の妹連れてきたのっ」

いきなり後ろから声をかけられて振り向くと、そこにはないすばでーなお姉さん達がいて、

「えー、知らないよこんな子っ」

「あたし知ってるよ、3階にいる子だよ。」

なんて、私のことを指さしてなにやら話してて、

「お姉さん達、私になにかご用ですか?」

「えぇっ、流石にこれで中一って………………どう見てもランドセル背負って歩いてる子じゃん」

「へー、こんなチビちゃんいたんだ」

「ちょっと、それは失礼だって!?」

一人のお姉さんが慌てて止めるけど、ほかの2人のお姉さんはしげしげとわたしを見つめてきて。流石に私もぷっちんした。

「わたしはっ!! 13歳のお姉さんだもんっ!!」

バシャアっとお姉さん達にお湯をひっかけて、ぷりぷり怒ったまんまお風呂を出ていく。身体を拭くのすらテキトーにして、服を着替えてお部屋にかけ戻る。そして携帯を開いて、『うち』に電話をかける。………………留守電だった。

「………………ママ、もうイヤ。みんな、私のことを子供扱いするの。」

それだけ言って電話を切ると、私はベッドにごろんと横になる。………………そういえば、ちゃんとご飯食べてないや、なんて思ったけど、すぐに眠くなってきて、そのまま寝ちゃった。

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