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私が作らなくては。

今回もエリエリ。

……………………………イツキ、タイミング悪すぎるだろ………………慌てて手放したせいで、布団にぐでんと落っこちるマホーロ。………………こ、これが床じゃなくてよかった………………

「と、とりあえず買ってきたけど………………こ、これでいい?」

「ん、とりあえず何を買ってきたのか、見せてくれ。」

イツキにそう言うと、どさどさっとテーブルの上にビニール袋の中身を空けた。

「ふむ、1.5リットルのペットボトルに、冷えピタはあるな………………あー、イツキ。言わなかった私も悪いけど………………………………今晩、マホーロには何を食べさせるんだ?」

「………………………………あっ。」

イツキが目を見開く。………………そう、この状態から食堂に連れてくのも難しいし、何より今日は日曜日ということもあって夕飯は軒並みスタミナ系のものばかり。裏を返せば、弱ってるマホーロにはとても食べさせられないようなものばかり。さて、どうしようか………………

「うう、んっ……………」

「マホーロ、食欲はあるか?」

「………………今は、あんまり、ない………………かな。昼間は、がっつり食べられたんだけど………………」

「………………わかった。なら、簡単に食べられるものがいいな。………………イツキ、すまないけど、少しの間マホーロの様子を見といてくれ。」

「え、エリカ………………どこいくの?」

「………………………………マホーロの夕食を作りに行く。」

「あ、それなら私もっ」

と、腰を浮かせかけたイツキを手で制して、

「………………ダメだ、イツキはここに残れ。」

「な、なんでっ!?私だって磨穂呂のこと………………」

「マホーロのためだ。第一、2人とも料理作りに行ったら誰がマホーロの世話をするんだ? ………………そっちは、イツキに任せるから。なっ?」

いまいち納得がいっていない様子のイツキをそのままにして、私はひとまず共同のキッチンに向かう。野菜は………………くそっ、前に使った人が引っ掻き回したらしく、整理整頓とは程遠いほどにぐっちゃぐちゃにされてる。とりあえず必要なのは、………………確か、Zwiebel、Karotten、Petersilie、あとは、Hühnerfleischがあれば………………うん、なんとか揃えられそうだ。棚にLaurierとGewürznelkeもあったし、これならいけそうだ!!

ひとまず、必要なものをキッチンに置いて私は自分の部屋へと戻る。………………えっと、仕送りのなかに入ってたはずなんだけど………………このダンボールは服だし、こっちは………………あった、Hühnersuppeの素。チキンスープの缶詰を掴んで小走りにキッチンに戻ると、まずはスライサーで人参の皮をむき、玉ねぎも皮をはぐ。鶏はさすがに丸ごと一羽なんて無かったからブロック肉をまるごと鍋にぶちこんで、塩を加えて煮立てる。

………………うん、沸騰してきたな。あとはここにタマネギや人参、パセリ、クローブ、あとはローリエを落として………………しまった、これ一時間ぐらい煮なきゃいけないんだった………………参ったなぁ、マホーロのことを思うあまり、せっかく持ってきた素を見失ってた………………

私は、鍋を前にして途方にくれていた。その時だった。

「………………えっと、エリカ?」

「うわっ!?………………な、なんだ………………イツキか。どうしたんだ、マホーロの様子がおかしいのか?」

「う、ううん、………………私のことはいいから、先にお風呂行ってきなって………………」

「マホーロ………………………………まったく。」

………………あれだけ弱ってると言うのに、人のことを思いやるとか………………まったく、マホーロは優しいんだから。………………………………ん?待てよ………………お風呂、か。

「なぁイツキ、私が先にお風呂行ってもいいか?」

「うん、いいけど………………このお鍋どうするの?」

「ああ、それは時間をかけて煮込まないといけないんだ。………………………………すっかり忘れててな。それで、私が風呂に入っている間、イツキにはこの鍋を見張ってて欲しいんだ。いいか、火は基本的にこのままで、吹きこぼれそうになった時だけ止めるんだ。落ち着いたらまた火をつけて、さっきと同じ強さでぐつぐつする。わかったか?」

「わ、わかった………………………………見張ってればいいんだね?………………じー………………」

「いや、そんなに張り付いて見てなくてもいいからな? トイレに立ってもいいし、何より吹きこぼれなければいいんだから………………」

「わ、わかった、がんばる!!」

妙に気合入ってる様子のイツキをおいて、私は自分の部屋に戻って着替えを用意する。そしてシャワー室に足を踏み入れてはたと止まる。………………一人だと色々考え込んじゃいそうだし、いつも通り大浴場を使おう。そう思って階段に足をかけた途端、そういえばマホーロは大丈夫なんだろうかとふと思い出す。………………………………あんな強がりを言ってたけど、きっと内心寂しいだろうし、それに具合が突然更に悪くなった時に誰も着いてないのは危ない。と、なるとやることは一つしかない。階段を途中で下りて、向かったのはマホーロの部屋。軽くノックしてから足を踏み入れる。

「………………マホーロ、シャワー借りるからな。」

「………………………………ふぇ?なんで?」

案の定起きていたマホーロは、ぽけーっとした様子でこっちを眺めてくる。

「………………マホーロをほっといて自分だけお風呂は、なんか不安だから。いいでしょ?」

「か、構わない、けどっ………………」

「なら、使わせてもらうからな。」

そう言うと、マホーロのバスルームにするりと入り込んだ。

用語解説

Zwiebel:タマネギ

Karotten:ニンジン

Petersilie:パセリ

Hühnerfleisch:鶏の肉

Laurier:ローリエ

Gewürznelke:クローブ

Hühnersuppe:チキンスープ

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