表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
64/87

起き抜けの、イタズラ。

朝日がカーテンの隙間から射し込んで、私はそっと目を開ける。隣にあるはずの柔らかで温かな感覚を求めて手を伸ばせば、確かにそこに居て。

「おはよう、2人とも。」

そっと両脇にキスをする。壁の時計を見れば、もうそろそろ7時になるとこ。………………あれ?エリカはそろそろ起きないと不味いんじゃ………………

「エリカ、エリカ………………………………起きて。もう7時だよ………………」

「うぅ、んっ………………マホーロ………………?なんで私の部屋に………………?」

「もうっ、寝ぼけてるの?………………………………ここは、私のお部屋、だよ?」

「………………んっ………………?」

エリカはそっと身体を起こして、目をしょぼしょぼさせる。………………あ、目の焦点が合ってきた。

「………………そっか、そうだったな………………昨日はマホーロの部屋にお泊まりして、イツキと一緒に寝たんだったな………………………………。」

事もなさげにそう言って、エリカは壁の時計を見る。そしてまた布団にもぐる。

「………………え?起きなくていいの?」

「あと30分だけ………………練習は8:30からだし。」

「一時間で支度できるの?………………顔洗って、ご飯食べて、着替えて、集合するのに………………。」

「何とかなる。」

ごろんと寝転がるエリカに、私はちょっと心配になる。………………………………そ、そんなルーズでいいの………………?

「ダメだよ、遅刻したら怒られるから。」

ゆさゆさとエリカを揺すると、エリカはますます布団の中に潜り込む。………………ひゃっ!?どこ潜ってるのエッチ!!

「………………………………お、起きてくれたら、おでこに………………ちゅー、してあげよっかな………………」

ボソッと呟くと、エリカが目から上だけ出して呟く。

「………………………………おでこじゃなくて、唇がいい。」

「えぇっ!?………………………………さ、さっきほっぺたにしてあげたから………………」

「やだ。唇にしてくれないと起きない。」

エリカが駄々をこねる。………………………………あ、これ絶対楽しんでるやつだ………………

でも、起きてくれなきゃしょうがないし、諦めて私はエリカの布団を少しめくる。………………………………わ、私がしたいんじゃなくて、これはエリカを起こすため、だから………………………………

「………………んっ、ちゅっ………………」

「ちゅっ………………」

エリカの柔らかな唇に、そっと私の下手っぴなキスを重ねる。…………………そう言うエリカだって、緊張してるくせに…………………………顔がプルプルしてるの、バレバレだよ。

「………………………………さ、キスしたんだから、早く起きて………………」

「………………しょうがないなぁ。」

んっ、と力を込めてエリカが身体を起こす。そうだ、樹も起こさないと。

「樹、樹、朝だよ。」

「うぅん………………キジトラが一匹………………アメショーが二匹………………三毛が三匹………………」

「………………うなされてるな。」

「………………………………どうする?ほっとく?」

「………………でもなぁ、このままほっとくのも………………」

「なら、樹の部屋まで担いでいく?」

「それも人目がなぁ………………」

「………………………………よし、やっぱり起こそう。」

今度はさっきより強めに樹をゆさゆさする。

「いーつーきー、あーさーだーよー」

耳元で叫んでみるけど、樹はすやすや夢の中。

「………………だーめだこりゃ。」

エリカがバンザイする。これは私もお手上げだね………………

「………………しかし、よく寝てるなほんと。」

エリカが樹のほっぺたをつんつんぷにぷにする。あ、それ私もやりたい。ぷにぷに。むにむに。

「………………………………そうだマホーロ、いいこと思いついた。水性ペンあるか?」

私はぎょっとする。

「え、エリカ………………………………まさか………………」

「………………ふふふ、この国には修学旅行というものがあって、そこでの恒例の儀式だと聞いたぞ?一度やってみたかったんだ。………………お、これ使っていいか?」

私の返事も待たずに、エリカは机の上から水性マーカーを持ってきて樹のほっぺたに三本ヒゲを書く。

「ぷっ………………………………え、エリカっ、や、やめたげてっ、ぷぷぷっ、」

「ふ、ふふふっ、やってみると面白いなっ………………」

悪いとは思いつつも、思わず吹き出しちゃう。

「わ、私にも、やらせて?」

エリカからペンを受け取ると、私も樹の顔にラクガキする。た、楽しい、これっ………………ぷ、ぷぷ………………。すかさずエリカがカメラを構えて一枚パシャリ。後で写真ちょうだいねっ。

「あっはっは、楽しんだらお腹空いちゃった。エリカ、ご飯食べに行こ?」

「そうだな。………………あ、でもその前にイツキのラクガキを落とさないと。もしこのまま起きてきたら………………」

「よし、落とそう。」

私は慌てて、お風呂用のタオルを手にシャワー室に入る。軽く濡らしてから樹のとこに戻って顔を軽く拭く。………………あれ?キレイに落ちないっ!?

「エリカ、もしかしてそれ油性じゃっ!?」

「い、いや、水性だから………………」

エリカからペンをひったくって見る。………………うん、水性だね。ってことは、なんで………………?

「………………う、うっすらと残ってるけど、もう大丈夫じゃないか………………?」

「………………だ、だよね………………?」

一応、もうちょっと強めに拭いてから部屋を出る。

………………………………私たちが戻ってくるまで樹が起きてこないことを、こっそり二人で願っていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ