お風呂会議、パート2。
急いで着替えを持って大浴場へと走る。................やった、まだ開いてる。
「お、来たかマホーロ。」
先にエリカが待ち構えていて、一緒に脱衣場へと足を踏み入れる。
「エリカは頭洗うだけで終わりだよね。私も、それだけでいいかな。」
「いや?ちゃんとお湯に浸かるぞ。」
「えっ................だ、大丈夫なの................?今日三回目のお風呂だけど................」
「大丈夫大丈夫、頭だけ洗って帰るのもなんか味気ないし、それに................まぁ、マホーロと1体1で話したいこともあるしな。」
「................えっと、それは................」
「おっと、早くしないと怒られそうだな。................先行くぞ、マホーロ。」
「う、うん................」
私も脱ぎかけで止まってた服を全部カゴに入れて、エリカの待つシャワーのとこに歩いていく。
「................ふーむ........」
「な、なに................?」
歩いていく私のことを、エリカが上から下まで眺めてきて、私は思わず身を縮こませる。
「................いや、マホーロもなかなか、いい身体してるなって。」
「っん!?」
思わず身体を腕で覆い隠す。................い、樹にしろエリカにしろ、なんで私の身体のことそんなに気にするの!?
「ああ、いや、別に変な意味はないんだっ................その、イツキがな。『マホロの胸はいい枕になる』って言ってたから................」
「い、樹................そんなこと考えて................」
................もう一緒に寝るの、やめようかなぁ................
シャワーの前に立って、二人で並んでシャワーの雨を浴びる。冷えていた身体に、熱めのお湯が突き刺さる。
「................その................マホーロ。やっぱりイツキは................胸の大きいのが好き、なんだろうか................」
お湯の雨に打たれながらエリカが口を開く。
「ど、どうなんだろ................それは................」
................好きでこんなにおっきくなったわけじゃないのにぃ................プールの時はみんなの視線を集めるから嫌だったし、なんでこんなのが好きなんだろ................
「................あー、でも妹も私の胸は好きだったな................やっぱり、妹とかだと、そうなるのか................?」
「................それは、違うと思う。私も妹だけど........................お姉ちゃんのことは、大嫌い。」
「........................ほう?」
エリカが意味ありげな視線を向けてくる。................あっ、しまった................
「................そ、そういえばさっ」
とりあえず話をずらさないと................私は、この流れを断ち切ろうと話の筋を強引に変える。
「................脱衣場の壁にさ、張り紙が増えてたよね。『浴槽への飛び込み禁止!!高等部で問題になってます。』って。」
「ん、そんなのが貼ってあったのか。................私はそういうの見ないからな。それにしても、高校生でお風呂に飛び込むのがいるのか................」
「................樹なんかは今でもやりそうだけどね。」
「ハハッ、違いない。」
エリカがお湯を止めて、誰もいない浴槽へと足を進める。それを見て私もお湯を止めてあとを追うと、エリカははじっこのぬるめなとこで腰を下ろした。そして、『隣が空いてるよ』と言わんばかりに浴槽のそこを叩く。私もそこに腰を下ろすと、エリカが大きなため息を吐く。
「................やっぱり風呂はいいよなぁ、うん。」
「................そ、そうだね。」
いざ隣同士に座ったのはいいけれど、切り出すチャンスを見つけられなくてそんな会話が続く。その均衡を破ったのは、私の方で。
「あ、あのさ........................樹の、ことなんだけど。」
「な、なんだ........................?」
「................さっきの樹の話、どう思う?................その、私たちと猫を同列に扱ってるみたいなあの発言................」
「................ああ、あれか。」
エリカは天井を見上げる。双丘が水面から顔を出して存在感を主張するのを見て、私もこっそり真似してみる。................うん、エリカの勝ちみたい。
「................いいんじゃないか?」
「えっ................?」
予想外の答えに私は戸惑う。................なんで?
「................そりゃ確かに、ネコと同じ扱いってのはなんか納得行かないけどさ................それがまたイツキらしくていいんじゃないかって、私は思う。................ここから少しずつ、イツキの中で存在を大きくしていけばいいんだ。」
「................エリカはさ、大人だね。」
「ん?................いや、これでもまだ12歳なんだが................」
「そういう、ことじゃなくて。................考え方がさ、大人びてるって言うか................ポジティブ?」
「................何だよ、私が能天気みたいな言い方だな。................でも、悪くない。」
エリカが立ち上がって少しよろける。つられて私も立ち上がると、エリカが私に掴まった。
「................ととっ、流石にちょっとフラつくか................。マホーロ、お互い頑張ろうな。................イツキの中で、私たちへの思いを大きくするぞ。」
「分かった。................ふふっ、あの『お姉ちゃん』はほっとけないもんね。私たちで『お世話』してあげないと。」
「そうだな。................さてと、もうそろそろ上がるか。愛しの『お姉さま』が待ちくたびれてるだろうしな。」
お互いに軽口をたたくと、エリカのことを支えながら脱衣場へと歩いていった。




