その後。
................つ、疲れた................
私は、自分のベッドに腰を下ろす。................あはは、口の中でコーヒーとミルクの味が混じりあって、もうなんの味だかわかんないや。
「................ふ、ふふ、ふ................」
虚ろな目をしたエリカが、床にしゃがみこんで笑う。................お互いに2人がかりで、もう何回キスしたか覚えてないや................
「................そ、それにしても、樹は元気だね................」
「そう?」
部屋にあった段ボールに腰かける樹を、虚ろな目で眺める。................うぅぅ、あれだけ追いかけ回したのに、なんでまだピンピンしてるの................面白がって一番ちゅーしてたし。
「................あぁ、なんか汗かいたな................もう一回シャワー浴びたい................」
エリカがむくりと身体を起こす。................あ、確かに私も汗かいた................
「あれ、エリカまたお風呂いくの?なら私も行くっ」
樹がひょこっと起き上がってエリカについていく。................私はどうしよっかな................
「磨穂呂はどうする?」
「うーん................もう一回お風呂行く気にはならないかな................もうちょっと休んでる。」
「そうか................なら大浴場に................っと、イツキはダメだったな。それなら........」
「エリカのお部屋のシャワーに一緒に入ればいいじゃない。」
樹がきょとんとして言う。
「いや、あの狭いとこに二人は無理だろ................」
「え?こないだ磨穂呂と一緒に入ったけど、そこまで狭くなかったよ?」
「ちょっ、樹!?」
あっさりとバラす樹に、私はひどく焦る。
「................ほーう?磨穂呂はイツキと一緒にシャワー浴びたことあるのか。」
エリカの目が怪しく光る。
「あ、あれは樹が風邪ひいてたから................あっためてあげようと思って」
「ふむぅ................あっためてあげる、ねぇ................」
................え、エリカ................怖いよ................
「................なら、私もイツキをあっためてあげるとするか。行くぞイツキ」
「うん、行こっ。」
エリカが樹の手を取って部屋を出ていく。................むぅ、二人共仲良いなぁ。
部屋に一人置いていかれた私は、枕を掴んで足をばたばたする。うー、私だって樹やエリカともう一回お風呂入りたいよぉ................。
ふと顔を上げて時計を見れば、まだ8時を回ったばかり。................あ、そういえばご飯食べてないじゃん................。どうしよ、二人共シャワー浴びてるから一人で行くことになるけど................とりあえず伝えとこ。そもそもあの二人を連れてくと、絶対また『あーん』させられるし。
................もう、ヒナじゃないんだから自分で食べてほしいのに................
いくら四月とはいえ、廊下に出ればまだ寒さを感じる。なので私は上着を羽織ってエリカの部屋に向かう。
「................エリカ?」
軽くノックしてからドアを開けると、
「イツキ、大人しくしろっ」
「やーだー」
「................なにしてるの................」
はだかんぼな樹が、バスタオル一枚のエリカに捕まっていた................
「................ってマホーロ!?なんでここに................」
「................いや、そういえば、まだご飯食べてなかったなぁって。................だから、私先に食堂行ってるねって伝えに来たんだけど........................なんでこうなってるの?」
「................そ、それはだな................」
「聞いてよ磨穂呂、ひどいんだよエリカったら!!目ぇつぶってって言わずにいきなり頭からお湯かけたんだよ!?」
「ふ、普通だろっ!?うちの妹の時もそうだったし................だ、だからって暴れて石鹸投げることはないだろっ!!」
................うん、これは樹が悪いね。とりあえず樹にゲンコツ。あと、落っこちてたバスタオルを掛けてあげる。
「................はぁ、もう。................ちゃんとあったまるんだよ?私は先にご飯食べに行くから................」
私は後ろ手にドアを閉めて、エリカの部屋を後にする。
................ほんとにまぁ、どうしてうちの『姉』たちは、こう、子供っぽいんだろ................




