次の行先、そして。
今回は................なんか、アレです
お昼ご飯を食べ終わったあと、私達はファミレスの前で作戦会議(?)をする。
「磨穂呂、今何時?」
「うーんと........まだ十二時前ってとこかな。」
時計をはめた腕を差し出すと、エリカが腕を組んで考え込む。
「ふーむ................けっこう時間余ってるな。この後どうしようか?」
「そうだねぇ、ここまで来てこれで帰るってのは、なんかつまんないし。」
樹もエリカの真似をして腕組みして考えるけど、........................どう見てもちびっこな樹がやると、なんかかわいい。
「................でもさ、脱いだ制服もあるし、あんまり動き回れないよ?」
「ならコインロッカー探せばいいんじゃない?」
「こんなに大きいの入るやつ、ある?」
「いや、制服を畳んで平たくすれば、一つの所に3人分収められるんじゃないか?」
「うーん................」
まさかここで広げるわけにもいかないし。................なんかいいテーブルでもあればいいんだけど。
「んむ、マホーロと私のはそんなかさばらないが................イツキのはたたみ直しどころか、まず畳むとこからだな。マホーロ、これ持ってて。」
樹の買い物袋からブレザーを取り出すと私に預ける。そして、スカートを丁寧に折ると、ブレザーとカーディガンを器用にたたむ。
「おおっ、エリカ上手。」
「................まぁ、『向こう』で家の手伝い、してたから。」
「その点樹なんか、脱いだらそのままぐしゃぐしゃぽいっ、だもんね。」
「うぐっ................だって畳むのめんどくさいんだもん。」
「樹、制服シワだらけだとみっともないよ?いくら洗濯物は業者さんがやってくれるとは言え................」
「うぐぐぐぐっ................」
「ほらほら、その話は後にして。................今は、どこに行くかをまず決めよっか。」
「うーん................どこがいいかなぁ。樹は、どこか行きたいところ、ある?」
「わたし?私は、なんか面白いとこならどこだっていいよ?」
「................そう言われると、一番困るんだよねぇ................うーん、遊園地とか?」
「今からか?ちょうど土曜日だし、混んでそうだな。」
「なら................ゲーセンか、デパートかなぁ........」
「あ、ゲーセン行ってみたい。」
樹が目を輝かせる。................確かに去年まで「入っちゃいけません」って言われ続けて来たからね、行ってみたい気もする。
「ゲームセンターか。................実言うと、『こっち』のゲームも、一度やってみたいと思ってた。」
「なら、決まりかな?確かさっきのショッピングモールの中にあったと思うから、行ってみよっか。」
「そういえばコインロッカーもあったな。................そうと決まれば、イツキ、マホーロ、行くぞ。」
妙に意気込んでるエリカに苦笑しながら、またショッピングモールへと舞い戻る。
「ふわぁ................」
ゲームの筐体が見えてくると、樹が走り出す。
「ほらほら、走らないのっ。」
そう言いつつ、私とエリカも小走りになる。................だって、気になるものは気になるし、ね。
さて、樹はと言えばクレーンゲームに張り付いている。
「樹、それは私たちには取れないよ。」
「................やってみたい。」
「破産するよ?」
「................見てるだけにする。」
そう言って、樹は操作してる人のクレーンの動きをじっと眺めてる。................あ、なんか迷惑そう。
「樹、じっと見てるとやりにくいから邪魔しないの。」
そう言って手を引くと、エリカのところに連れていく。そしてエリカはと言うと、プリクラの筐体を眺めていた。
「................撮ってみる?」
「え、いや、その................き、気になっただけで別に................」
「磨穂呂、撮り方わかるの?だったら記念に撮ろうよっ。ほら、エリカも一緒に。」
「わ、私はその................写真写り悪いし、それに................目を大きくしたりするんだろ?そういうのは、あんまり................」
「................あー、やっぱりそういうの抵抗あるよね。でも大丈夫。そういう加工抜きでも撮れるから。」
と、ブースの中にエリカを半ば無理やり、樹は軽く押し込んで三人で入る。
「................懐かしいなぁ。昔お姉ちゃんと一緒に撮ったっきり。」
「ほう、磨穂呂には姉がいるのか。」
「........................................うん。ちょっと、歳が離れてるけど。................あ、二人共レンズの方向いて?」
話を逸らして三人で写真を撮る。........................さてと、これを、こうして、こう!ここをちょこっといじくって................うん、こんなもんかな?
「磨穂呂、すごい................」
「うむぅ................これが、中学生の必須スキル................?」
「いや違うからね?」
確定ボタンを押して外に出る。後は、印刷されて出てくるのを待つだけ。................ん、なに?
「................そこの姉ちゃん達ぃ、俺たちと遊ばない?」
いつの間にか目の前に、背の高い男の人たちが立ちふさがっていて。
「こ、困ります................失礼」
「おっと、つれないねぇ。」
こっちの動きに合わせて進路を塞いでくる。................ど、どうしよ................
「別にそこでお茶するだけだって。ね?」
腕を掴まれそうになって身を引くと、代わりにエリカが立ちふさがる。
「................竹刀持ってくればよかったな。」
そう言いながらエリカが拳を握って身構える。................む、無理だよ、流石に1対3はっ................
「おっと君たち、何してるのかな?」
男の人達の後ろから警備員さんの頭が見え隠れする。
「や、やだなぁ................何もしてませんって。」
「ほんとかぁ?」
疑いの目を向けられて、男の人達の間にスキマができる。今だっ!!
「エリっ、いっつん、走って!!」
その声と同時にスキマを縫って走り出す。焦ったような声が飛んでくるけどそんなのお構い無しに走り抜ける。やっと一息ついたのは、荷物を預けたコインロッカーの前。
「................に、逃げきれた........?」
「................ふぅ、ここまで来れば、大丈夫っ................」
「................まさか、こんな目に、遭うとはなっ................」
................あっ、写真忘れてきた................ど、どうしよっ、取りに戻ると................ま、また................
「ま、まほ、ろっ................これっ」
樹が差し出したのは、ちょっとクシャっとしたプリクラ。
「樹、でかしたっ。」
樹の頭をわしゃわしゃと撫でてあげると、エリカが焦ったような声で言う。
「................と、とにかく一刻も早く
、この場所を離れよう。................あと、ここにはしばらく近づかない、いいな?」
その提案に一も二も無く首を縦に振って、私達はバスに飛び乗った。
................今日は、最悪の日かもしれない。




