おひるごはん。
「お、ここなんかいいんじゃないか?」
「................結局、ファミレスなんだ................。」
「仕方ないでしょ、服買っちゃったから、お財布の中身もそんなに残ってないし。」
エリカが仕方なさそうに言う。................ならさっき見てたオシャレなレストランのホームページは何だったのよ。
「ま、まぁまぁ、とりあえずオーダーしちゃお?」
と、樹がメニューをみんなに配り始める。................むぅ、誤魔化されたし。
「ふむ................このミラノ風ドリアにしようかな、私は。」
「なら私はカルボナーラ。樹はお子様ランチでいいよね?」
「なんでっ!?................磨穂呂、流石に私も怒るよ?子供扱いしないで。」
「あははっ、ごめんごめん。」
................どうも私は、樹のことをつい子供扱いする癖があるみたい。
「................もうっ、とりあえず注文するからねっ。」
樹が呼び鈴を鳴らして注文を告げる。その間に、私とエリカは飲み放題のドリンクバーから飲み物を取りに行くことにした。
「樹は何飲むの?」
「あ、自分で取りに行くから大丈夫。」
................ふーん、まぁいっか。流石にドリンクバーに焙じ茶は無かったのでメロンソーダをグラスに注ぐと、すぐに席に戻る。................お腹空いたなー、そわそわ。
「磨穂呂、さすがにそんなすぐには来ないと思うよ?」
「わ、わかってるよっ。ソワソワしてるのは、樹もでしょ?」
「そ、それはそうだけど................」
「................ん、来たか。」
エリカの声に頭をあげると、まず運ばれてきたのは、
「................やっぱりお子様ランチじゃん。」
「う、うるさい磨穂呂。................好きなんだから、しょうがないでしょ。」
「いや、別に悪いって言ってるわけじゃ................あ、旗立てる?」
「................か、からかってるじゃない................あ、自分で立てるから置いといて。」
そんなやり取りの間に、私のカルボナーラとエリカのミラノ風ドリアも運ばれてくる。
「じゃあ、食べよっか。」
「うむ、食べ物は温かいうちに食べるのが一番おいしいからな。」
「じゃあ、いただきます。」
そう言ってフォークをスパゲッティに突き立てると、スプーンも使ってくるくると巻いて口に運ぶ。................うん、おいしい。
「磨穂呂、食べる前にいちいちいただきますって言うんだ。」
「うん。ちっちゃい頃から『食べる前にはいただきます』って、教えこまれたから。」
「ほう、いい教えだな。それでは私も。Lass uns essen.」
そう言ってエリカもドリアにスプーンを突っ込んで口に運んで、すぐにドリンクを口に含む。................あ、熱かったんだ。
「................油断した。すごく熱かった。」
涙目なエリカとかいう珍しいものを見て、私も樹も笑いをこらえる。それが気に食わなかったのか、エリカまでぶすっとする。
「あれ?樹、ドリンク取ってこないの?」
「あ、忘れてた。」
慌てて樹がグラスを取りに行く。................もう、そんな慌てなくてもいいのに。
「................マホーロ、そのカルボナーラ美味しそう。」
「ん?エリカ、これ食べてみたいの?」
すいっと差し出すと、エリカがお皿と私を少しの間見比べる。
「................い、いいのか?」
「うん、その代わりドリアも少しちょうだい?」
「あ、ああ、構わない。」
エリカの方もドリアの器を差し出してきて、私はスプーンで一口分取るとエリカもカルボナーラを一口分取っていく。同時に口の中に運んで、私もやっぱり熱さでむせる。
「ふふっ、マホーロだって熱いんじゃないか。」
「だ、だって................」
「あー、私のいない所で何か楽しそうなことしてるっ。」
いつの間にか戻ってきた樹が、そんな私たちの様子を見てほっぺたを膨らませる。
「はいはい、樹も交換しよ?」
「................しょうがないなぁ。」
そう言って樹は、私たちにチキンライスを少しずつくれて、代わりに一口分私たちの料理を取っていく。そして樹もドリアの熱さにドリンクを飲む。
「................楽しいね、なんだか。」
思わずぼそっと呟くと、エリカが、
「................ああ。なんか................三姉妹みたいで。」
「三姉妹、ね。」
ほえ?という顔でこっちを見る三女を、長女と共に眺めていた。




