外に出てみよう。
最初に踏み出したのは、私だった。カーテンをそっと開けて、靴を突っかけて床に降り立つと、同時に樹とエリカのカーテンも開く。
「うーん、これでいいのかな................。」
「................ど、どうだろうか、これで................。」
真ん中に立つ私は、二人に挟まれる形で立つ。そして、樹は私たちのことをキョロキョロと眺めたあと、カメラを構えた。あ、エリカが逃げた。........私も逃げよっと。
「あ、ちょっと................」
「樹、撮らないでー!!」
「いや、いきなりカメラ構えるのはどうかと思うぞ、うん。」
「................えぇ................せっかくの私服だし、みんなで撮ろうと思ったのに................」
「いや、そもそもこれ売り物だし................」
「..................なら、この服を買ってみんなで着ていけばいいだけのコトじゃないか?」
「........うーん、................」
「................あ、あるかなぁ................」
................そう、けっこうノリノリで選んでた私たちだけど................中学生だし、そこまでお小遣いもってないんだよね................。エリカもそれに気づいたらしく、
「................とりあえず、一旦は制服に着替えよう。それからタグを見て買えそうだったら、どこかその辺で着替えることにして................」
「う、うん................それが、無難だね。」
こうして、銘々自分のフィッティングルームに戻るのだった。
「マホーロ、そっちはどうだった?」
「うん................上と下で、合わせて5000円ってとこかな?エリカは?」
「................あー、上下で7000円。とりあえずは買えると思う。さて、イツキは?」
「................わかんない。」
「........................へ?」
樹が差し出した上下を調べてみると、
「うんと、3400円かな?」
樹が指を折り折り数える。
「................ほんとだ。」
「................イツキ、一応聞くが................中学生だよな?」
「算数嫌いなの。」
あっさりと言い切る樹にずっこけそうになる。................まさかとは思うけど、計算がめんどくさいんじゃなくて、出来ないんじゃ................
「あ、磨穂呂。今私のことおバカだと思ったでしょ。」
「そ、そんなこと................」
「図星みたいだな。」
うぐっ................だ、だって、樹だし................ちっちゃいし................
「................ま、いいや。とりあえず私もこれぐらいだったら買えるよ。................で、肝腎の磨穂呂は?」
「................う、うん................ギリギリ、かな?」
「えー、ギリギリじゃこの後遊べないじゃん。」
................遊ぶ気だったんだ、樹。
「........ふむ、マホーロ。スカートとベスト、シャツ、どれが一番高いんだ?」
「うーんと、スカート、かな?」
「そんな長いの穿いてるからだよ。ミニスカートにしたら?」
「ええっ!?」
「................ミニはともかく、まずはスカートがもっと安くならないか探してみるか。................マホーロ、少しの間お人形になってくれ。」
「え、えっと、自分で探すから................」
迫力に気圧されて後ずさりすると、樹も距離を詰めてくる。
「ふふふ、磨穂呂を着せ替え人形................面白そう。」
「ひいっ!?」
い、今すぐここから逃げ出したいんだけどっ!?
「早速見つけてくるね〜。エリカは磨穂呂のこと捕まえてて。」
「Verständnis der!!」(了解!!)
「え、ちょっ、エリカ!?」
エリカに後ろから羽交い締めにされて、フィッティングルームに連れ込まれる。
「ふむふむ、ウェストは私よりも................ほ、細いのか................」
「ショック受けるなら測らないでよ................」
「おまたせっ、持ってきたよ。」
あっという間に戻ってきた樹の手には、10数枚のスカート。
「................さて、どれから試してみる?」
「................もう、好きにして................」
考えるのをやめて、樹とエリカの着せ替え人形に徹することにした........................。
「........................」
「磨穂呂、こういうのもいいね。」
「マホーロ、似合ってるぞ。」
私は、スカートを押さえてふたりを睨む。だってそれは、
(................膝上12cmとか正気!?)
走るだけで中身が見えちゃいそうなスカートを必死に押さえる。
「磨穂呂も足長いから、せっかくだし見せて歩けば?」
「................やだっ。」
浮いたお金で買ったスパッツを上から穿いて、ひとまずは落ち着く。
「................それにしても、私服だとなんか新鮮だな。パジャマとはまた違った意味で。」
「うん、そうだねっ。」
未だにブルーな気持ちから立ち直れない私をよそに、2人はお昼ご飯の計画を立てていた。




