ドラッグストアにて。
樹を保健室に連れてって、保険医さんから一通りの話を樹にしてもらった。
「................うーん、よく分かんなかった。」
「これから段々と分かるようになるよ。................とりあえず、買わなきゃいけないものはわかった?」
「うん、まずはドラッグストアだね。」
ちょうど見えてきたドラッグストアの自動ドアをくぐると、樹はきょろきょろとあちこちを眺める。................そっか、説明はされたけど、まだよく分かってないみたいね。
「樹、こっち。」
手招きして、そういうののコーナーに案内する。
「んっと、寝てる時にはこれがいいと思う。普段は................えっと、これがいいかな?」
「あー................私はこっちだな。夜のはマホーロと同じ。」
エリカがもう一個上の棚から別なのを取る。
「うーん、樹は多いか少ないかが分かんないからなぁ................とりあえずはこっちでいいんじゃない?」
「そうか?こっちの方がピンクで可愛さもあっていいと思うんだが................イツキはどれがいい?」
「え、私........?................うーんと、................あ、これパッケージ可愛いから、これで。」
「おっ、いいんじゃないか?マホーロはどうだ?」
「うーん、中身はどれも同じなんだけど................樹がいいなら、それでいいかな?」
................ま、こればっかりは樹との相性もあるしね。
「どうする?鎮痛剤も買っとく?」
「そうだな........................あー、何が起こるか分からないし、一応買っといた方がいいかもな。」
「と、言うわけで樹、次は薬のコーナーね。」
「ま、まだ買うものがあるの........................?」
「大丈夫大丈夫、頭痛くなった時に飲むのとおんなじやつだから。」
「あ、それなら持ってるかも。」
樹は肩から下げていたカバンをごそごそと漁る。................うん、さっきから思ってたけど、樹のカバンの中すごいことになってそう................
「................あった。」
「どれどれ................あー、樹。これはもうダメだよ................粉々じゃん。」
「................買わなきゃ、ダメ?」
「お腹痛いよーってベッドのうえをゴロゴロすることになるかもしれないけど、それでもいい?」
「か、買うっ................えと、これと同じのでいいの?」
「うん、それで大丈夫。」
そう言うと、樹はとてとてと駆け出して薬を取ってくる。そして、私とエリカの顔を確かめるとそのままレジに走っていった。
「とりあえずはこれで大丈夫、だな。」
「いや、一応その時のための、下着も買っといた方が、いいんじゃない?」
「................服、か。」
エリカが自分の制服をつまむ。
「................私が着ると、この制服も、................あー、コスプレ?みたいだな、って。」
「あぁ................」
わかる、ってうなずきそうになって慌てて止める。................あ、エリカがしょげた。
「................ただいま。................ってあれ、どうしたの二人共?」
「な、何でもないよっ................そうだ、次は洋服買いに行こっか、ね?」
慌てて樹の興味をそらすと、樹の顔が曇っていく。
「................ど、どうしたの?」
「................洋服のお買い物に、あんまりいい思い出がないの................?」
「................ど、どういうことだ?」
「...............................しょ、小学生のちっちゃい子が着るようなのばっかり、選んで着せられるんだもん................」
「................な、なるほどね................」
................確かに樹、ちっちゃいもんね................
「................でも、これからは大丈夫。私はオトナになったから。................ふふふ、もうすぐばいんばいんのないすばでーになれるんだ................。」
「い、樹っ!?」
................め、目が怖いよっ.............
「................とりあえず、行くか................その、イツキの服選びは................」
「................む、向こう着いてから、考えよ?」
.......................樹、そんな簡単におっきくはなれないよ、なんてヤボなことを言う勇気は、私もエリカもあいにく持ち合わせてなかった。




