一夜明けて。
今回は書こうかどうか迷った
................結局、布団でゴロゴロと寝返りを打ちまくっている間にいつの間にか寝ちゃったみたい。いつもよりも重く感じる頭を振って、無理やり目を覚ます。................ふぁ、あーあ。寝覚め、悪いなぁ。
当然なことだけど、隣には誰もいない。................昨日は、ちっちゃくてあったかいのが隣にいただけに、きょうも無意識なうちに手で探るけど................そっか、昨日はケンカして................エリカの部屋に置いてきたんだった。
壁の時計を見ると、いつも支度する時間を指していた。................しょうがない、樹のこと、取りに行かなきゃ。................『あの子』、一人でほっといたらいつまでも寝てそうだし。
寝乱れたパジャマを最低限整えて、エリカの部屋に向かう。........んーと、ここ。
「エリカ、入るよ?」
トントンと軽くノックしてからドアを開けると、エリカの焦ったような声が飛んでくる。
「Maholo!?Bitte warte eine Minute!!」
「えっ!?」
だけどタイミングは既に遅くて。私がひょこっと首を突っ込むと、素っ裸で立ち尽くすエリカがいた。
「ご、ごめんなさいっ!?」
慌ててスルリと部屋の中に入り、後ろ手にドアを閉める。そして、壁の方を向いて(私は木私は木私は木)と念じる。
「あー................マホーロ、こっち向いてても、いいから。」
バツが悪そうなエリカの声に恐る恐る目を開けると、上だけ身につけたエリカがショーツに足を通してるところで。慌ててまた後ろを向く。................し、下も栗色だったんだ................
「................イツキ、体温高いんだな。抱きつかれて、振りほどくわけにもいかなくて................汗かいたから、着替えてた。」
「うちの樹が失礼しました................」
深々と頭を下げると、エリカが慌てて顔の前で手を振る。
「いやいや、別に嫌じゃないんだ。................それに、抱きつかれるのには慣れてるからな。................私にも、Schwester、妹が、いたからな。」
エリカが天井を見上げて懐かしむ。
「................甘えんぼだったな。もう8つになるのに一緒のベッドで寝て、................エリカの胸を枕にするのが一番落ち着くとか言ってた。」
「へぇ................エリカは、お姉さん、なんだ。」
心の奥で何かが疼く。
「................まぁ、久しぶりにいい経験をさせてもらったよ。................................その、たまにイツキを貸して欲しいぐらいに。」
「か、貸すって................イツキは、ぬいぐるみじゃない................いや、かわいいけど。」
「ふふっ、確かに。」
................エリカも、樹のこと気に入ったみたい。ふと目線を上げれば、時計の針はギリギリなとこを指していて。
「................って、のんびりしてる場合じゃないよっ、遅刻するよみんな!?」
私が焦ると、エリカがキョトンとする。................って、なんでそんなにのんびりしてるの!?
「................マホーロ、今日は........Samstag、土曜日だぞ。」
「................ふぇっ?」
慌てて携帯を開くと、画面にも確かに土曜日の文字が。
「........................なぁんだ。だったら早起きしなくても、よかったんだ。」
一気に力が抜けてへたりこむ。
「................あ、でも樹はほっといたらずっと寝てると思うから、持って帰るね。」
「そうか?もう少し寝かせといてもいいと思うけど................」
エリカがパジャマを畳みながらそう言う。................ん、あれ?
「................エリカ、ここシミが................」
「ん?................なんだこれ、血か!?」
慌ててエリカが足を調べると、太ももに血のシミが付いていた。........................ん、待って................体温が高くて、血のシミ........................!?
「エリカっ、樹の布団剥がして!!」
「わかった!!」
エリカもすぐに気がついたみたいで、掛け布団を跳ね除ける。
「................Bingo.」
「................やっぱり。」
白のシーツに、赤黒いシミが付いていた。
「................どう?」
「................イツキのパジャマはもうダメっぽいな。シーツは後で洗ってもらうから。................それにしても、イツキは対策してなかったのか?」
「それが........................今、始まったんだと思う。」
「................ほんとか................」
その時、樹がもぞもぞと動き出す。
「................あ、エリカ、磨穂呂、おはよ................。」
「................お、おはよう................イツキ。」
「お、おはよ................」
「................どうしたの、二人共難しい顔して。」
「........................いや、その................」
「........................樹、ちょっと下を向いて?」
「えっ........................えええっ!?わ、わたわたわたわ、た、し................もしかして、........................」
樹が一気に青ざめる。
「................イツキ、まずはシャワー浴びてきな。................マホーロ、イツキの部屋から着替えを................」
「うん................」
いつになくうろたえる樹から鍵を受け取って、私は走り出した。




