お風呂に溶ける。
二人の手でごっちゃごちゃにされた頭にタオルを巻いて、髪を全部まとめる。................うーん、二人には悪いけど、後で部屋でシャワー浴びなおそう................多分リンスとか落ちきってないし。
「磨穂呂、このお湯ぬるい。」
「確かに................Lauge、ぬるめだな。みんなで入ってた、からか。」
エリカさんがお湯の蛇口をひねる。
「................磨穂呂、入らないの?」
「................あ、うん。」
片足をお湯に突っ込んで、慌てて飛び退く。................こ、ここお湯の出口だった................
「ふふ、マホーロは慌て者だな。」
「磨穂呂はまだまだ子供だから。」
ふんすっと胸を張る樹。................でも、無いものは張れないわけで。私とエリカさんを見比べたあと、お湯に顔を半分沈めてブクブクする。
「................ふっ、樹の方が子供みたいだな。」
「これでいて私より歳上なんだから、ほんとに不思議なんですよね。」
今度はお湯の出口を避けて足を突っ込んで、そのまま肩まで浸かる。................あぁ〜、やっぱりお風呂はいいなぁ。
「................マホーロも、湯船、好きか?」
「................うん。シャワーよりも、全身でお湯に浸かるのが、スキ。」
「だよなっ!!」
いきなりエリカさんが立ち上がって、私はモロにお湯をかぶる。
「わっ!?」
「あっ................す、すまない。」
ゆっくりとお湯の中に戻る。
「................『向こう』だと、シャワーしか無かったから、こうやってゆっくりとお湯に浸かるのは、こっちに来てから、初めてのこと。すんごい気持ちよかったから、ここに移ってから部屋のシャワー、まだ使ってない。」
「そっか。」
足を伸ばして手のひらを開く。そして、力を抜いて壁に寄りかかる。
「................こうしていると、疲れがお湯に溶けてく。そんな感じ、しない?」
「................わかる。嫌なことも、全部、無くなっていく。................ニホンの言葉に、『水に流す』って、あるって聞いた。これが、そうなんだな................」
「いやそれは、なんか違うような................」
................まぁ、くつろいでるみたいだし、いいか。
その時、カラカラと脱衣場の扉が開く。................あれ、みんなテレビ見に行ったんじゃ。
「........................あれ?」
その人は、浴槽の中の私達を見て首を傾げる。
「........................ひーちゃん、は?」
「ひーちゃん?」
「................ひーちゃん........................あの、もしかして、こう、ふわふわボブの人ですか?」
「................し、知ってるんですか?」
ちょっとビクビクしながら私達のことを見てくる。
「................はい、さっきそこの扉のとこで、ちょっと................あの人なら、多分テレビ見に行ったのかと。さっきみんな一斉に、お風呂出ていったので、その中に、混ざってたかも................」
「................ほんと、ですか?」
「私達が入ってきた時には何人も残ってなかったし、身体洗ってる間に私たちだけになったから................」
「................ひーちゃんの嘘つき。一緒にお風呂、入ろって誘ってくれたのに................」
その人はトボトボとお風呂を出ていく。................な、何だったんだろ................
「................コホン、とりあえず、そろそろ上がるか?」
「................そう、ですね。」
そういえば樹はどこに................とキョロキョロすると、樹はまだブクブクしてて。
「樹っ、上がるよ。」
腕を引っ張ってお湯から引き上げる。
「................もう、ゆでダコになっちゃうよ?」
「................エリカも磨穂呂も、私よりオトナ................」
「まだ言ってるんだ................」
................このままお風呂に置いてこうかな................




