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シャワーのまえで。

カラカラと浴室のドアを開けると、さほど大きくない浴槽が人で溢れていた。

「................うわっ、これじゃ入るのにも一苦労だよぉ................」

「................ん、そこは、Kein problem................問題なし。もうそろそろ、生放送、始まる。」

エリカさんの言った通り、浴槽から上がる人がだんだんと増えていく。小走りな人も多いし、中には前を隠すのも忘れて形のいい胸を見せつけながらダッシュで脱衣場に走る人も。

「................とりあえず、身体洗おっか。」

身体を洗うとこはがらーんとしてて、場所を探したりしなくても3人横に並んで座ることが出来た。並び順は、左からエリカさん、私、そして樹、の背の順。まずはそれぞれボディーソープで自分の身体を洗う。........................樹、石鹸で遊ばない。軽くぺしっと叩いてから、エリカさんの方を向く。

「................なんだ?マホーロも、私の身体、気になる、のか?」

「ああ、いや、そうじゃなくて................背中、洗ってあげようかなって。」

「Ach................『ハダカノツキアイ』ってやつ?」

「................いや、なんか違うような................」

「丁度いい。じゃあ頼めるか?」

エリカさんはそのままくるんと後ろ向きになる。うっすらと筋肉のついた背中は、肌色というよりは白くて。

「................どうした?」

「ああ、うん................じゃあ、始めるね。」

「あ、磨穂呂、私も。」

樹がそう言うと、私の背中にも冷たい感触がくる。小さな声を出しかけたけど、そこはガマンしてエリカさんにタオルを当てる。

「んっ/////」

悩ましい声が聞こえてきて手を一瞬止める。けど、早く終わらせようと思って何も考えないようにしながら背中を撫で下ろしていく。

「................はい、終わり。」

「................ふむ、不思議な、感じだった。」

「................樹、もういいよ。」

そう言うと、私の背中を撫で回していたタオルの動きが止まる。

「................さぁマホーロ、次は私の番だ。早く後ろ向いて。」

「................え、私はもうやってもらったから................」

「イツキの背中がまだ、だろ?」

そうだった。くるんと後ろを向くと、樹はもう準備満たん待ち構えてて、

「じゃあ、行くよっ。」

ちっちゃな樹の背中にタオルを当てると、樹がぴくっと動く。同時に私の背中でもタオルが動いてこそばゆい。「こら樹、動かないで。」

「だ、だってくすぐったいもん................」

もぞもぞ動く樹の背中をなんとか拭き終わって、私はシャワーを浴びる。

「................うむ、いい経験になった。」

「あと、髪の毛は、どうする?」

「................いや、そこまでやってもらうのは、申し訳ない、から」

「磨穂呂、頭洗って。」

さもそれが当然かのように、樹が私のいた椅子にちょこんと座る。思わずエリカさんと顔を見合わせた。

「................これも、日本の伝統、なのか?」

「いや、これは単に、樹が面倒くさがりで、甘えんぼなだけ。」

しょうがないなぁ................と思いつつも、樹の頭にシャワーを浴びせる。

「だって磨穂呂が洗ってくれると、髪の毛ツヤツヤになるし、優しい手つきなんだもん。」

「そ、そんなことっ................」

「................ほう、それなら................私のも洗って、くれないか?」

「エリカさんまで................」

私は理容師さんじゃないんだけどなぁ................と思いつつも、二人の髪でシャンプーを泡立てる。もう少し爪を短くしとけば良かったかな................

「はい、流しますよー」

先に樹の方を流すと、その手にコンディショナーをたっぷりと取って樹の髪に塗り込んでいく。

「................マホーロ、まだ?」

「はいはいそっちも流しますっ」

エリカさんの方は樹よりも短めだから、軽く流した後揉み込むようにコンディショナーを付けていく。

「そろそろ樹はいいかな?」

ざぁっと流すと、樹の黒髪がつやつやに光る。いつもならいじって遊びたいところだけど、今はエリカさんを待たせてるからそのまま放っとく。

「はい、そっちも流しますね。」

こっちは髪質が分からなかったから、丹念に洗い落としていく。黄金の髪が濡れて、更に煌めきが増したように見える。

「ふむ、いい手つきだった。Danken。」

「ね、言ったでしょ?」

「................それじゃ、冷めないうちに入りましょう。」

そろそろ冷えてきた身体をあっためようとそそくさとお風呂に行こうとすると、樹に引き止められる。

「磨穂呂、まだ頭洗ってないじゃない。」

「マホーロ、お礼に私達が、洗ってさしあげる。」

エリカさんがいた椅子に座らされると、上から雑なシャワーが降ってくる。かと思えばたっぷりのシャンプーが頭の上でかき回されて、またシャワーの洪水、その後コンディショナーを塗ったくられてシャワーの滝を浴びる。

「み、見様見真似だったが、どうだった?」

「................い、いいんじゃないかな................?」

「そうか、なら良かった。」

どこか得意げな二人を前にして、私は何とも言えない気分になった。

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