おでかけ、すこし。
................ふぅ、やっと、終わった................
さっきからグーグー泣きっぱなしのお腹をなんとかなだめすかして、最後の授業をやり過ごす。................すっかりお腹空いちゃった。
「あ、あの、磨穂呂................?」
「な、なに、樹................?」
お互いに目線が逸れまくってるのはご愛嬌として、樹に呼び止められる。
「そ、その................この後、ヒマ?」
「う、うん........................まぁ、空いてる、けど................」
「そ、そう................な、なら、良かった................」
................ぎ、ぎこちない................何だろ、一昨日よりもぎこちない気が................
「................その、磨穂呂って、甘いもの、好き?」
「べ、別に嫌いじゃ、ないけど................」
「そ、そう?な、なら................白峰先輩から、美味しいトコ、教えてもらったから................」
「ほ、ほんと................あ、でも私、そんなにお金、持ってないから................」
「い、いいのいいのっ。................私が、全部出してあげるから................」
「え、マジ?全部樹のおごり!?」
「わっ!?」
「ちょっ、八千流、................何も八千流にまで全部奢るってわけじゃ................」
「ふっふっふ、冗談冗談。あたしはこれから練習なんだよねー、残念なことに。また今度誘ってよ、ね?」
そう言って八千流はスポーツバッグを片手に教室から短距離走................いや、長距離走?する。
「................八千流、ほんとに地獄耳なんだから。」
樹がむすっとする。
「................磨穂呂と二人で行きたいのに。」
「................い、樹?今何か言った?」
「な、なんでもない........................は、早く行こっ。」
私の袖を掴んで、樹がずんずん進んでいく。
「ま、待って................引っ張らなくても、歩けるからっ................」
「だ、だって、磨穂呂が迷っちゃうかもしれないし................」
「................もうっ、迷わないよ。................そ、そんなに一緒に歩きたい、なら................んっ、はい................」
掴まれてない方の左手を、樹の目の前に差し出す。恐る恐る手を伸ばした樹は、そっと右手を重ねた。
「................えへへ、磨穂呂の手、おっきい。」
「................そ、そう?................い、樹の手は、ちっちゃくいね。」
あ、怒った。
「................ち、ちっちゃくないもん................磨穂呂がおっきいだけだもん。ほら、歩くのも遅くないし。」
ちょこまかと歩く樹に、私も自然と歩幅が狭くなる。 ................っとと、つまずきそう。
「い、樹................無理しないで。」
「む、無理なんかしてないよっとと!?」
あ、コケた。
「................もう、無理してちょこちよこ、歩くからだよ................」
横にしゃがみこんで樹に手を差し伸べる。
「................うー、磨穂呂みたいになれると思ったのにぃ................」
顔を上げた樹がちょっと涙目になる。
「無理して、背伸びは、ダメ。そのままの樹で、いいんじゃない?」
ぽんぽんと頭を撫でる。
「うー................ん?」
樹の目線が不意に止まる。あ、いつもの『じーっと観察モード』だ。その視線の先は........................っ!?慌てて立ち上がってスカートをしっかりと押さえる。
「........................へ、へんた、いつき、」
「ご、誤解だよ磨穂呂っ。白黒の水玉なんて見てな」
「い、い、つ、きっ................」
ワナワナと震えてるのが自分でもわかる。
「................こ、のっ、へんたいつきっ!!」
樹の頭にゲンコツ。................い、樹って石頭だぁ................。




