お風呂上がり。
気がつけば一月放置してたんすねぇ................
「........................あ、あの................」
「................................じー」
................さっきから、樹が私のことをずっと眺めてる。
「........................な、なに................?」
「................いや、磨穂呂のことずっと観察してたら、何か成長のヒントが見つかるかと思って................」
「み、見つかる、わけ、ないよっ........................そ、そんなの................わ、私だって................好きで、こんなに、おっきくなった、わけじゃ、ないん、だから................」
「................なにそれ?私へと当てつけ?」
急に樹が拗ねる。................も、もうっ................お風呂出てから、ずっとこうなんだから。
「................いや、冗談。................だけど................おっきくなりたくなかったの?磨穂呂は。だって背が高いとお姉さんみたいでかっこいいし、お胸おっきいと大人っぽいのに。」
「そ、それは................そう、かも、だけど................」
................あうぅ................こ、答えづらい、................それに、樹はじっと私のことを眺めたままだし................
「........................あっ、ごめん................また、やっちゃった。」
樹が慌てて視線を逸らしてくれたおかげで、私はやっとのことでほっとした。
「........................それで、................なんで、おっきくなりたくないの?」
................それ、まだ聞くつもりなんだ................
「................んっと、ね................。その................おっきくなると、目立つ、から................。」
その答えに、樹は目をまん丸にする。
「................おっきいと、目立つの?」
「................聞かなくても、分かる、でしょ........。背が高いと、人混みに、隠れられない、し................。それに................その、目立ちたく、ないの................だから、一番なんて、嫌、なのに................」
そう答えると、樹は少しの間視線を中へと泳がせる。すぐに気がついたみたいで、すぐに顔を戻すと、
「................誕生日も、クラスも、『1』ばっかりだぁ................」
「そうなのっ!!」
思わず樹の方にガバッと身を乗り出すと、樹はベッドに手をついて後ずさりする。
「あっ................ご、ごめん................」
「................磨穂呂、今の、怖かった................」
「ご、ごめん、ね........................でも、ほんとに、『1』ばっかり、なの................この一年、辛抱すれば、もしかしたらクラスだけは、『1』の呪いから、逃げられる、かも、だけど........................」
パジャマの膝をぎゅっと握る。........................一番になるのは、もう嫌。だって――――、一番になると、................みんなに、嫌われちゃう、から........................。
「................そ、そんなに嫌なんだ、一番........................でも、背が高いのには憧れるなぁ。................お姉ちゃんみたいで。」
お姉ちゃん。その単語に、心がざわつく。........................やめ、てっ................
「................やめ、てっ................お姉ちゃん、やめ........やめ、てっ................」
口の端から言葉がこぼれ出す。
「ど、どう、したの................磨穂呂?」
樹の言葉に、我に返る。
「................ごめ、ん................ちょっと、昔のこと、を........................い、いつかっ、ちゃんと................話す、から........................今は、このことは、ほっといて................。」
「........................わ、分かった................。」
................ま、また................樹に、心配かけちゃった................。
「................そ、それじゃ................私はもう、もどる、から................」
腰掛けていたベッドを降りてそそくさと出ていこうとすると、樹が袖を掴む。
「........................え、えと........................なに?」
「........................も、もう、行っちゃうの................?ほら、まだまだ時間あるし................」
「で、でも、樹は一応、風邪引いてるし................これ以上、悪くなると、いけないから................」
「も、もうちょっとだけ................そ、そうだ、磨穂呂、お腹すいてない?私実家からおやつ持ってきたの、待ってて、今出すからっ。」
........................あ、明らかに樹の様子がおかしい........................その前に、なんでおやつをクローゼットに仕舞ってるの................?
「................あ、あった................ほら、磨穂呂は何がいい?」
「あ、あの................樹................?」
「そ、そうだ、ジュースもあったんだった。................磨穂呂も、飲む?」
「い、樹................やっぱり私、もどる................」
今度こそそそくさと部屋を出ていこうとすると、やっぱり樹が袖口を引っばる。
「................もう、なに?」
「................お、置いてかないで................一人は、ヤダ................」
........................い、樹?
「........................あと................その、トイレ、付いてきて................私、観察癖のせいか、見えちゃいけないモノまで見えちゃうみたいで........................」
................こ、怖かったんだ................。
「................もう、しょうがない、なぁ................」
そっと手を握ると、樹を立たせる。
「................今回だけ、だからね?」




