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今度は、磨穂呂を。

いっつん回です。

................さて、と。洗う所は全部洗ったし................磨穂呂の方はどうかな?

「................そっちは、どう?」

振り向いて様子を伺うと、磨穂呂は背中にタオルを回して、まだ身体を洗ってるとこ。

「................背中、やろっか?」

................返事はないけど、小さくコクリとうなづいたように見えたし、いい................よね?

磨穂呂の白い背中に、私のくすんだ白いタオルを当てて恐る恐るなで下ろすと、磨穂呂が小さく跳ねる。

「んっ................/////」

磨穂呂のいつもより小さな声も、ふたりきりのお風呂場ならよく聞こえる。続けて磨穂呂の背中をなで下ろす度に、小さな声がこぼれていく。

「く、くすぐったいの................?」

無言で磨穂呂が頷く。................ふーん................つんつん。

「ひゃっ!?」

................おっ、これは面白い。磨穂呂の背中の色んなとこを撫でたりつついてみると、その度に磨穂呂は跳ねたり声を立てたりする。................なんか、楽しい。

「いつき........................?」

................あ、磨穂呂が怒った。慌ててシャワーのお湯を磨穂呂の背中にかけて、ついでに私も少し浴びる。

「................樹。さっき、私で................遊んでた、でしょ。」

少し涙目で磨穂呂が訊く。

「................私は観察好きだから、これは()められない。」

そう言って背中に手を伸ばそうとすると、磨穂呂がするりと逃げ出す。

「あっ、待って........................その、磨穂呂の髪も、私に洗わせて?」

「........................い、イタズラ、................しない?」

「................しないしない。」

ほんとに?と疑わしげな目を向ける磨穂呂。だけど、それでも私に背を向けてしゃがみこむ。

「................はい、まず目をつぶってて。」

そう言ってから、磨穂呂の髪を濡らしていく。解くと同じぐらいなのに、私の髪の毛よりも柔らかめで。

「................シャンプー、するよ................」

私と同じのを、磨穂呂の髪にも馴染ませていく。リンスも一緒に入ってるから、きっと明日は同じ匂い。........................なんてね。

「................かゆいとこ、ない?」

軽く爪を立てながら泡立てると、磨穂呂は耳の後ろを指さす。................ここね。手を動かしてそこを掻いてあげると、後はもう磨穂呂は黙ったまま。

「........................流すね。」

返事も待たずにお湯をかけると、磨穂呂はちょっと慌てるけど、お構い無しに洗い流してく。

「................はい、終わったよ。」

シャワーを離しても、磨穂呂は俯いたまま。........................あれ................?

「................磨穂呂、どうしたの?」

顔を覗き込むと、途端に磨穂呂が身体を起こす。

「........................ごめ、ん................私、泳げなくて................顔に、水が、つくの................苦手で................」

ちょっと顔を赤くしながら磨穂呂が答える。................なぁんだ、なるほどね。

「................実は私もプール苦手。................足が着かないから。」

特に真ん中なんて、余裕で沈める。

「................そっか、いつきも、なんだ................。」

................あ、なんとなく嬉しそう。

「................じゃ、私は、もう温まった、から、先に、上がるね。」

と、磨穂呂は軽くお湯を浴びてからシャワー室を出ていく。

「あ、待ってよ。」

私も身体に軽くシャワーをかけてからシャワー室を出ると、ちょうど身体を拭き終わった磨穂呂と鉢合わせする。反射的に磨穂呂は身体を覆い隠すけど、................その前に、色々と見ちゃった。

「................これで、おあいこ。」

「........................うん。」

なんとなく気まずい雰囲気のまま、お互いに背を向けて服を着ていく。........................でも、私はその雰囲気に勝てなかった。

「........................磨穂呂。」

くるっと振り向くと、磨穂呂はちょうど下着をつけ終わったところで。

「な、なに................?」

怯えたような視線でこっちを見る。

「................磨穂呂って、好きなもの何?」

「........................えと、お風呂、と、................お蕎麦、と、うどん、と................焙じ茶、と........................................い、いつき................/////」

................うん。最後のは大分迷ってたみたいだけど、私は好きな食べ物について聞ければそれで良かったんだけど........................。

「................お蕎麦とうどんはそこまで栄養あるように見えないから........................うーん、焙じ茶なのかな?」

磨穂呂の『ある部分』に視点を向けるけど、最初から分かってたかのように磨穂呂は腕でガード済。

「................せ、成長は................食べ物、関係、ない、と、思う................産まれた、時期とか................だと、思う。」

「................うそつき。」

私ははっきりと言う。................これだけは、関係ないってこと、私が一番わかってる。

「........................磨穂呂、誕生日は?」

「じゅ、11月1日................」

「........................私はね、4月19日なの。」

磨穂呂が私の言いたいことをようやく理解したようで、みるみる青ざめる。

「................教えて磨穂呂、なんで半年も差があるのに、磨穂呂の方が背もおっぱいもおっきいの?」

「........................そ、それは................」

磨穂呂が答えに詰まってあたふたする。

「........................小学生最後の修学旅行の時、他のみんなは少しだけでも膨らんできてたのに、私は真っ平なままだったし、........................磨穂呂はふさふさなのに、私は................無いわけじゃないけど、まだほんのちょっと、だし。」

............................こんなこと磨穂呂に言ってもしょうがないって分かってるけど、それでも言いたくなる。

「........................私はいつになったらおっきくなれるの?」

「........................ご、ごめん................」

磨穂呂が、バツが悪そうに謝る。

................せめて身長だけでも、................なんて願いは、お風呂場の湯気とともに空に消えた。

求:成長期byいっつん

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