お風呂の磨穂呂。
今回もやっぱりいっつんサイドです。
................ふぅ、やっとお風呂入れそう........。
結局あの後、白峰先輩と墨森先輩のお話を聞いてたらいつの間にか外は暗くなってて、「危ないから」って寮まで送って貰ったけど................。
(................もっとお話してたかったし、それに磨穂呂のこと置いてっちゃった................。)
あの後ちゃんと帰れたのかな................なんてことを気にしながら、脱衣場で服を脱ぐ。成長するのかどうか分からない貧相な身体を眺めてため息をつきつつ、大浴場の扉を開ける。................おや、先客がいる?................しかも、どこか見覚えがあるような................って、
「................あれ?磨穂呂?」
違うかな................と思いつつ言葉をかけると、
「................い、いつ、き................?」
そう返したのは、一糸まとわぬ姿の磨穂呂。慌てて目線を逸らす。
「................もう出るとこ?」
「うう、ん................もう少し、だけ、入って、る................」
磨穂呂は、浮かせた腰をまた下ろして私のことを待つ。................待たせちゃうと悪いし、今日はざっとでいいや。軽く身体を洗い流すと、磨穂呂の待つ浴槽へと歩いていく。
「隣、いい?」
「う、うん................」
磨穂呂の答えを待ってから、私はお湯の中に足を突っ込んでしゃがみこむ。それから磨穂呂の方を向くと、少し怯えたような目線が返ってきて、
「................な、に................?」
「................あれ、また変な目になってた?」
いけないいけない、と何度かまばたきしていつもの目に戻す。
「いや、ごめんごめん。................私、集中するとどうしてもこんな目線になっちゃって................しかも、磨穂呂のことも気になるし。」
「........................ふぇっ!?」
磨穂呂は、慌てて腕で自分の身体を隠す。その拍子に磨穂呂の胸の形が変わって、少しだけ嫉妬する。けど、
「................ああいやっ!?別にそういう意味じゃなくてっ!?」
うっかり『気になる』なんて言っちゃったことを必死に取り繕う。
「................なんて言えばいいんだろ................その、私って色んなことに興味あるから今までにいろんな人を見たんだけど、その中でも磨穂呂はまだ私が見たことないタイプだった、から................その、........................観察、したいなって。」
................はっ、これじゃあただの変な人なんじゃ................?慌てて私は、しどろもどろに理由を話す。
「................うん。実を言うと、初めて教室に入った時からずっと気になってて................ほら、磨穂呂って割と早くから教室に居たでしょ?」
「................そ、そう、言えば................」
「................覚えてないかもだけど、私も割と早くに教室に着いたんだよ。それも3番目ぐらいに。................実言うと、後ろから見ててなんか怪しい動きしてたから少しだけ観察してた。」
ついポロッとバラすと、磨穂呂がぶくぶくとお湯に顔を沈めていく。もう一度顔を上げた時には、すっかりゆでだこみたいな顔色になってて。................つい、その先を続ける。
「................でも、今日一日................いや半日もないけど、眺めてみてて、面白い人だなって思ったの。だから................これからも、観察、.............じゃなかった、一緒に居させて?」
心からのホンネを打ち明けると、磨穂呂はあわあわと挙動不審になる。................いや、私も相当恥ずかしいからアワアワしたいんだけどね。
「あ、あぅ。そ、そ、その................」
................だ、大丈夫?
「................そ、その................いつ、き?」
「................何、磨穂呂?」
「................その................『観察』って................わ、私の、身体とか、じっくり、見る、の................?」
「ち、違うって!?................私はほんなえっちなことはしないよっ!?................ただ、その................一緒に居たいだけ。」
................それが『観察の対象として』でも、『友達として』でもないってことは、薄々感づいてる。なら何なのかは................まだ分かんない。
「そ、その................先、上がる................から。」
と、磨穂呂は勢いよく立ち上がるけど、その足取りはおぼつかなくて................何度も転びそうになる。................て、手を貸しに行こうかな?なんて思ってるうちに、磨穂呂は脱衣場の扉を開けて出ていく。
................私もそろそろ出ようかな................いやでも、今は磨穂呂が居るから................もう少しだけ入ってよう................。
................それにしても、磨穂呂って................なんか、大人っぽい。ホントに、私と同い年、なのかな................。だって胸もあるし、私より身長も高いし................。
熱くなっていく頭の中で、磨穂呂への興味が大きくなっていく。
(................明日も、観察、しよ。)
誰もいないお風呂の中で、私はクスリと笑う。
しっちぃ氏(いっつんの作り手):「うちのこってこんなだっけ................?」
私:「まほろんだから。」