1/1

DenKiss

　「エー怪しいよ絶対。やめときなって」

　彼女は目の前でアイスコーヒーを飲みながら言った。

そして、タバコに火をつけようとする。

「おい」

彼女は少しびくっとなり、慌ててタバコを鞄にしまった。

「ごめん」

「ああ」

俺は大のタバコ嫌いだ。

「で、でもさ怪しくない？ネットの関係でさ。しかも、遠距離とか大変だよ。かっきー優しいし、絶対他によい子いるよ。」

「そうかもなー」

「てかかっきー告白されたの何回目？」

「四回目」

「ほんともてるよね・・・。男で真剣に告白される人ってなかなかいないよね」

「そうか？けっこういるだろ」

「かっきーのそのサバサバして余裕たっぷりなところにみんなほれるんだよねー」

「お前もだろ」

「げ・・・」

「タバコと酒やめたら、少しは見直してヤる」

「ぐぬぬぬ・・・。てかなんでわかったの」

「見てればわかるさ。そのメイクとか服装とか返信の早さとかな。えりか隠したり無理なタイプなんだから素直に愛を伝えればいい男がつかまるよ」

「かっきーのその全部見透かされたところが好き」

「俺はお前の誘惑に弱いところが嫌い」

「ほんと、はっきり言うね。落ち込む通り越して大好き」

「ありがとよ」

「ね。うちきてよ」

「あの家にか。いいよ」

「ほんと！じゃすぐ行こう！」

えりかは残りの飲み物をあっという間に飲み、レシートをもってさっさと動き出した。

俺は会計には目もくれず、外の駐車場に止めてあった車に向かった。

周りの席からの視線を感じたが、とくに気にならなかった。しかし、一人、成功者の視線を感じた。

おそらく、俺の隣に止めてあったジャガーの持ち主だろう。