出会い
彼女、朝木夏菜との出会いはあまりにも衝撃的なものだった。
私はいつも通り街を散歩する。
見慣れたいつも通りの街。
あ、あれは麻由ちゃんだ。
制服をきて全速力で走っている。
いつもご主人が
「麻由?麻由?そろそろ起きないと遅刻するよ?」
と優しく起こしている…。
正直あれで起きれる人なんていないと思う…。
だから麻由ちゃんは
「お兄ちゃん!!なんで起こしてくれないの?!」
と怒りながら起きてくるのは日課なのだが
今日はいつも以上に急いでいるようだ。
「にゃー(いってらっしゃい)」
みえてもいないし、聞こえないことはわかっいるが私は見送る。
そして、いつも通り…にはならなかった。
ある1人の女性が
「あーっ!猫ちゃんだ!かわいい!!」
ここまではまぁ、いつも通りだ。
でもここからが違った。
その女性は全速力で私を追いかけてきた。
「猫ちゃーん!まてーーー!」
いやいや、そんな全速力でこられて
逃げないわけないんだけど?!
とりあえずご主人のところにいこう…
店の前でやっとまけたかなと少しほっとする。
「はぁ…はぁ…猫ちゃん…どこいったの…
あっ!猫ちゃん!!」
うそ…あの人まだおいかけてたの…
でも、私はもう店の前にげきれることは分かっている。
店の私専用のドアをあけ、ご主人の所まで走る。
「雅?そんなに急いでどうしたんだい?」
「にゃーにゃー(知らない人に追いかけられた)」
「怖いことでもあったんだね」
と私の頭を撫でてくれる。
ふぅ。これで一安心…
チリンチリン!バン!
勢いよく店のドアが開く。
ご主人は一瞬あっけにとられていたが
「いらっしゃいませ」
と、彼女を猫を追いかけてきた変人ではなく
お客としてむかいいれた。
「へっ?あっ、はい!ありがとうございます?」
彼女の方もまさか猫をおいかけてドアを開けたら喫茶店とは予想していなかったようだ。
にしても…ご主人と同じくらいの歳にみえるのにやってる事は小学生…いや、体力があるだけタチが悪い…。
ご主人はクスッと笑いながら
「こちらへどうぞ」
とカウンターへ誘導する。
いや、ご主人待って、私いるんだけど…
彼女はさすがに恥ずかしかったようで
顔を赤くして
「すいません…」
と言った。
「いえいえ、とんでもないですよ(笑)
元気があっていいじゃないですか」
ご主人はそう宥める。
彼女と目があった。
はぁ…みつかった…
「あっ!猫ちゃん!!」
さきほどの恥ずかしさもどこかへいったのか
私の方へ走ってきた。
選択肢1 諦めて捕まる
選択肢2 逃げる
選択肢は2つに1つ
逃げる。
「あ…どっかいっちゃった…」
彼女はつぶやいた。
「まぁ、とりあえずコーヒーでもどうですか?」
「いや、すみません(笑)私コーヒー飲めなくて…」
ほんとに私の事おいかけてきただけなのか…
「そうですか…じゃあメニューには
ないんですけど紅茶でもいれましょうか?」
「え!いいんですかっ?私紅茶好きなんですよ!」
「はい、もちろんです」
とご主人はほほえむ。
「おまたせしました。」
ご主人はそういって彼女に紅茶をだす。
「見慣れないお顔ですが、お知り合いがこちらに住んでいるとかですか?」
と、ご主人。
まぁ、この街は観光にもむいていないし
近所付き合いが深いため知らない顔はほとんどない。
たしかに彼女はなんできたんだろう。
「いえ(笑)
引っ越してきたんですよ!ちょうどここの隣に(笑)
1人でも生きていける術をみにつけようと思って!といいながら料理もできないんですけど…」
「そうだったんですか(笑)
お隣さんですか
なら、ご飯はここで食べるのはどうでしょう?」
「えっ!いいんですか…って…鬱陶しいですよね(笑)」
「いえ(笑)
うるさい妹もいますし、2人分って余ってもなかなか面倒で(笑)」
彼女は目を輝かせながら言った
「ほんとですかっ!
私、朝木夏菜と申します!
ちなみに21です!お店の手伝いでも雑用でもなんでもするのでご飯お願いします!」
クスッとご主人は笑いながらいう
「あ、僕より一つ上ですか(笑)
敬語じゃなくていいですよ(笑)
僕は白石優日といいます
じゃあ、どんどん使わせてもらいますね」
「じゃあ優日も敬語やめてね!
私は夏菜でいいから!」
「うん」
ご主人は答えた
本当に嵐のような人だ(笑)