日常
いつも通り私は指定席であるカウンターの端の座布団に座る。
するといつものように
「今日は天気いいし散歩気持ち良かった?」
とご主人撫でながら話しかけてくれる。
私はこの時間がとても好きだ。
さっき話しかけられたことなんてもうどうでもいいや。
「にゃー(気持ちよかったよ)」
「やっぱりそうかぁ、僕も後で行こうかな」
とご主人
「ねぇ、いつもおもうんだけどさ優日って猫の言葉分かるの?」
とクスクス楽しそうに美優ちゃんが言う。
「いつか分かるようになりたいな。そしたら雅と話せるし…」
ご主人…あなたは分かってなくても私としてはちゃんと話せてるんだよ?
「でもいつも喋ってるじゃん(笑)」
「あぁ、言葉がわかってるわけじゃないけどさ、雅の顔みてたら何となくわかるよ(笑)
美優もそのうち分かるようになるさ」
そうそう、言い忘れてたけど白石優日というのがご主人の名前。
そしてこのショートカットで明るそうな女の人が麻木美優、ちなみにご主人の彼女。
そんな2人の会話を聞いていると階段から
ドタバタドタバタ…
「お兄ちゃーん!おっはよー可愛い可愛い妹の登場だよー!」
と走ってご主人に抱きついてのご登場。
この子は白石麻由、養子でご主人とは血は繋がっていないけど本当の兄妹のように仲良しだ。
「うっ…おはよう麻由…でもね、走っていきなり抱きつくのはやめて…。」
「えーいいじゃん!私軽いでしょー?
あ!おはよう美優さん!」
「はぁ…そうだね…」
ご主人は少し(?)シスコンが入っている。
あきらかに麻由ちゃんに弱い。
麻由ちゃんもブラコン入ってるけど…(笑)
「おはよー麻由ちゃん。
でもさぁ、私の優日くんに抱きつくのやめようよー?」
今度は麻由ちゃんが美優ちゃんに抱きつく
「美優さんのでもあるけど私のお兄ちゃんだからしょうがないのーっ!」
「たしかにこれはしょうがないなぁ。麻由ちゃん可愛いから許してあげる!
優日!美女達にモテモテだよー(笑)」
チリン
今度は店のドアが開く。
「うわ、またやってるのかよ。
お前らほんと飽きないな(笑)
ほんと俺の大人さを見習って欲しいな…って
うわっ、茜じゃん!」
「朝からうるさいって(笑)太一ちょっと邪魔だよ?これ結構重いんだから…」
店のセット用のケーキの箱で顔がほぼ隠れたまま茜が入ってくる。
「はいはい、茜さんこわいって(笑)
てか、貸せよ、持ってやる。」
「え?どうしたの?太一が優しいなんて…」
「おいおい、失礼だな!?俺はいつも優しいぞ?」
「「太一が優しいなんて明日は雨だねー」」
麻由ちゃんと美優ちゃんがタイミングよく言った
「お前ら仲良すぎだろ?!俺理不尽…」
と叫びながら箱をカウンターに置く。
この茶髪でチャラそうなのが北山太一。
その後ケーキを持って入ってきた黒髪の少しきつそうな人が藤代茜
全然キャラは違う2人だが最近付き合い始めたらしい。
そして2人はご主人の幼なじみ。
「みんな、ここ一応店なんだけど…もう少し静かにできないの…?」
騒がしいこの店内ではご主人の言葉が誰にも聞こえていない。
もちろん今ご主人が楽しそうに笑っていることも私だけの秘密。
私はご主人の笑顔をみてから目をつぶる。
今日は天気がいいから日向ぼっこに最適だ。
そして私はこの騒がしいけど幸せが溢れるこの店の少し前の出来事を思い出していた。