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怪 談   作者: 冬月 真人
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【UFO】

1996年1月。

新年早々に落下した隕石はとてつもない爆音を轟かせた。

その日、埼玉の親戚の家に透は居た。

家屋にトラックでも突っ込んだかのような轟音。

窓や壁、あらゆるものが揺れた。

夕方、茨城に落ちた隕石のニュースを見たが、そんなに離れた場所に落ちたとはとうてい思えないほどの音だった。

そしてそれが僅か800g程度の質量だったと知った時の驚きは今でも覚えている。


数年後、出張先に向かう途中で休憩をした。

車から降りた透は大きく伸びをして天を仰いでそのままの姿勢で止まった。

空に見たことの無い物が静止していた。

それは糸を引くように白い雲のような物を棚引かせていた。

「あれ…」

透が空を指差すと同じく車から降りていた同僚達が「なんだあれ?」と口々に言った。

「隕石とか?」

「いいや、違うよ。隕石が落ちて来た時の音はハンパ無いから」

透はあの日の爆音を思い出していた。

「もしもあれが隕石なら地球の外側を通過している事になるけれど、あれは明らかに大気圏内。それもここからそう遠くない場所にあるよ」

透はそう続けた。

「じゃぁUFO?」

「定義としてはUFOだよなぁ」

別な同僚がそう答えた。

「円盤的な意味のUFOだと嬉しいね」

透はワクワクしながら言う。

「きっと夕方のニュースでやるんじゃない?他に見ている人がテレビ局に問い合わせたりしてさ」

なるほど。

その言葉に透達は納得して車に戻った。


その晩、謎の飛行物体のニュースはどこの局でも扱ってはいなかった。

翌朝のニュースも同じだった。



それから10年。

トラックを運転していた透は、のどかな田園風景に目をった。

遠くの山の麓にまで繋がるような広大な農地。

ふと空に目を向けると、白い雲を棚引かせた物が空にあった。

「嘘……だろ」

我が目を疑った。

だがそれは確かにそこにあった。

トラックは針路を変えてそれに背を向けて走る。

透はミラーでそれを見ながら呟いた。

「どうせ報道はされないんだろうな」

その夜、やはりニュースでは扱われる事はなかった。






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