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【妹の帰宅】
その日の透は二階の自室でドラマの再放送を見ていた。
『あぶない刑事』だ。
16時の半ば。
ドラマも盛り上がって来る頃…
バタンと大きな音がして誰かが帰って来た。
ドタドタドタ!!!
物凄い勢いで階段を駈け登る。
妹の涼子だ。
柴田恭兵のセリフが完全に消えた。
「ウルサいぞ涼子!」
透は苛立ち気味に声を荒げた。
しかし涼子からの返事は無い。
透は涼子の部屋に怒鳴り込んだ。
ドアを開けて名前を叫ぶ…
・・・そこに誰も居なかった。
ゴクリ…
悪寒を感じて生唾を飲む。
居間に降りた。
和室も見た。
涼子はどこにも居なかった。
18時過ぎ、学校から帰って来た涼子に尋ねてみた。
「16時過ぎに1度帰って来たかい?」
「ずっと部活で学校に居たけど…何?」
「いや…、何でもない。」
その晩、透は電気をつけたまま寝た。