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怪 談   作者: 冬月 真人
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【挨拶】


北海道にはバスガイド等の業者専用のホテルがある。

そこでは会社の違いや面識の有無は関係無くお互いに挨拶をするのがルール。



21時も過ぎた頃、沢木は階段下の公衆電話から家族に電話をしていた。

その左隣りでは同僚の西田が電話をしていた。

電話の最中に西田は階段を降りて来る女性に気付いた。

何処かの会社のガイドの制服だ。

西田は軽く会釈をして電話を続けた。

数分後、再び誰かが階段を降りて来る気配がして西田は会釈をした。

ふと目線を上げると先程のガイドだった。

(いつ帰って来たのかしら?)

西田は不思議に思いながら電話を切った。

ほぼ同時に沢木の電話も終った。

西田は沢木に聞いた。

「あのガイドさん、いつ戻ったのかしら?」

「は?」

沢木は意味が分からないという表情をする。

「ですから…」

西田はいきさつを説明した。

「1度しか通って無いわよ」

沢木はそう答えた。

西田は『そんなはずはない』と何度も繰り返す。

それもそうだ。

ここを通らなければ宿の出入りと二階への上り下りは出来ないのだから。

「あのぉ…」

そんなふたりに後輩のガイドの桜井が言いにくそうに声を掛けた。

ふたりが振り返った。

「私、ずっと先輩達の後ろのイスに座ってたんですけど…」

やはり続きを言いにくそうにしている。

桜井はふたりに促されて戸惑いながらも続きを話した。

「誰も居ないのに沢木さんは1度、西田さんは2度会釈してたんです」



よく考えてみれば宿に着いてこんな時間まで制服を着ているガイドなんて居る訳がないのだ…




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