表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
怪 談   作者: 冬月 真人
1/103

【鈴の音】

 


ガイドの沢木と添乗員の吉井はトンネルを歩いていた。

「歩くと長いですね」

沢木の言葉に吉井は頷いた。

「携帯が圏外でなければねぇ」

吉井は右手に持った携帯のストラップをつまんで恨めしそうにブラブラと振った。


ふたりが乗務する観光バスが鹿と衝突したのは今から15分ほど前。

事故の報告と代替バスを要請する為に電話ボックスへ向かっていた。


出口が近付いて来た。

あと200mほどだろうか。

不意に沢木が言った。

「鈴、持ってる?」

吉井は答えなかった。

また少しして沢木が尋ねた。

「ねぇ吉井さん、鈴持ってる?」

吉井はやはり答えなかった。

…が、突然沢木の腕を掴むと来た方向へ、バスに向かって走り出した。

「えっ、ちょっ…どうしたの!?」

吉井は無言で走り続ける。

沢木は訳も分からず引かれるがままに走っていた。


ようやくトンネルを抜けてバスまで辿り着いた。

沢木は息も絶え絶えに聞いた。

「一体どうしたのよ?」

吉井は蒼白な顔で答えた。

「あなたが2度目に聞いてきた時、出口に居たのよ…」

吉井も何度も息継ぎをしながら言葉を続けた。

「托鉢みたいな格好をした人が、杖みたいのをシャンって鳴らして…」



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ