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登校日

とりあえず話の本筋に入るまでもう少し。

まだ登場人物が揃ってませんから。

今日は珍しい日だ。

いや、本来珍しくあってはいけないのだが。



「おい、あれ…………」


「うわ、本当だ…………」



周囲が騒がしい。

まあ簡単に言うと俺の登校日だ。



「ほとんど欠席してるくせに何食わぬ顔しちゃってさ。」


「大層なご身分だよな。」



うむ、なんか物凄い印象は悪いようだ。

それもそのはず、ほとんど学校に来ていないんだからコミュニティを築けるわ

けもないんだ。

まさに四面楚歌状態。



「この前も不良のチームをボコボコにしたとか……」


「やだ、こわーい。」



前言撤回、学校に来ようが来まいが俺の扱いは大差ないだろう。

言っている噂も俺の過去と照らし合わせれば、当たらずとも遠からずではある

し、昨日のように巻き込まれることも未だに少なくない。

それで学校に来る回数が少ないとか……素行が悪いという結論に至るのはごく

自然な思考回路な気がしてきた。


まぁいいさ、何も嫌がらせを受けたりはしていないし。

さて、授業も無事終わりだ。

役に立っているのかは甚だ疑問だがな。

どうやらバイトのほうが性にあってるらしい。



「ちょっと、仁!来てるでしょ!」



ちょうど教室の後ろのドアから聞こえてくる幼馴染の声。

昨日もこんな感じだったな。



「アンタなんで来るとき言わないのよ。」


「そんなの俺の気まぐれだろ、いちいち報告してらんないよ。」


「あーもう、こっちの気も知らないで……」



ナツは2つ隣のクラスだ。

当然こうしてナツが出向いてこない限り、校内で顔を合わせることはない。



「それよりナツこそどうした?俺が来てるって知って、嬉しくなってついここ

まで足を運んでしまったか。」


「違うわよ。アンタ、なんで私の資料集勝手に持ってくのよ!」



あー、なんで俺が来てるのばれたんだろうと思ったが……

そうか、“これ”のせいか。

今、納得がいった。



「いや、俺めったに来ないから持ってきてないし。」


「私さっきの授業で使うんだったのに、いざ取り出そうと思って見てみたら跡

形もなく消えてるし!」


「あー…………」


「何よ、その“やっちゃったー”みたいな顔は。私は何も悪くないのに先生か

ら注意されたんだからね!大体、なんで鍵がついてるロッカーの中に入れとい

たものが外に出てんのよ!」


「うん、まあただの勘だったんだが。まさか一発で開くとは、俺も思ってなか

ったし。それにしてもなんで4桁の暗証番号が俺の誕生b……」


「わーわー!アンタ何大声で暴露しようとしてくれちゃってんの!?」


「大丈夫、俺の誕生日なんて誰も知らないって。」


「そういう問題じゃない!」



何を怒っているんだ?

ナツが覚えてくれていたことすら驚きなくらいなんだから、接してもいない他

の奴に番号がばれるはずもないのにな。



「まぁ、過ぎたことは気にしない気にしない。」


「いっつもアンタはそうやってふざけた態度で……」



そこでナツの表情が一瞬曇る。

いきなりのことでなんだと思ったが、それも束の間すぐに元に戻っていた。



「ったく、しょうがないんだから。私に言ってくれれば、いつでも貸してあげ

るから直接来なさいよ。」


「お、お得意のツンデ……」


「ツンデレじゃない!」



いつも通りのナツの反応だ。

というか、根が優しいんだよな。



「立花さん、大丈夫?もし、あれなら先生呼んでこようか?」


「いや別に危害加えられたりしてないし、私なら大丈夫よ。」


「そう?気をつけてねー。」



そんな性格だから、こうして別のクラスの生徒とも親しい。

それとは対照的に、完全に俺は悪者のようだが……。

俺がナツを襲っているとでも思われたのか。


しかし、相手がナツだからこそそんなに問題視されないのは確実だ。

別に俺たちが幼馴染だということを言っているんじゃない。

第一、周りがその事実を認知しているかすら怪しい。

ここで重要なのはナツの強さをみんなが知っているということだ。

だからナツだけは俺と話していても騒がれない。



「なんか悪いな。」


「ん?教科書のこと?別に今更いいわよ。」


「いや……」



それだけじゃないんだが、まあいいか。

なんだかんだで結構助けられてんのかもな。



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



「くそ、足りない!」



幼い容姿の少女は今日も夜の街を徘徊する。

目の前には動かなくなった男が数人転がっている。



「こっちの世界がこんなに不便だとは思わなかったなぁ。そこらの奴らから調

達できるとはいっても、やっぱりいくら数をやっても1人1人が弱くちゃ、効

率が悪いし……。なかなか満たされない。」



苦い顔の少女に後ろからまた男が迫る。



「なんだ、こんなところで子どもが何やっている!?」



ギロリ


その鋭い眼光は男を一瞬で動けなくさせた。

対して、少女は獲物を見つけた獣のように舌なめずりをする。



「……ふふっ、お前は少しは足しになってくれるかな?」

仁の立ち位置はこんな感じです。

友達が多いとはいえないですね。

むしろ真逆。

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