第十四話 「解答戦」
よろしく願いします^^
『第一回 休日を涼太と過ごせるのはだ〜れだ!?3本勝負!』
勝負はクライマックス。三回戦のクイズ対決までやってきた。
一回戦、プロ並みの料理で勝ちをおさめた紅葉。
二回戦、まさに神がかりな歌唱力で、紅葉を下したソレイユ。
三回戦のクイズ勝負・・・どちらが勝つか、俺にも全く予測できない。
「え〜・・・三回戦は、俺がインターネット上からランダムで集めた珍問や難問を早押しクイズ形式で答えてもらうぞ。」
何気にノリが良くなってきている俺。
「よし!クイズならもらった!!たかが一般市民が私に勝てるはずはない!」
「私だってクイズには自信があるわ!そう簡単には勝たせないわよ!」
ゴゴゴゴゴゴ・・・・
二人の気迫がぶつかり合う。
す・・・すごい気迫・・・
「そ、それじゃあソレイユ。悪いけど、また魔法で会場を出してくれよ。」
「了解した。@▲☆?$θж・・・」
パァァァァァァ・・・
ソレイユの呪文と共に、俺の家がクイズ会場となる。解答席には早押しボタンが用意され、よくテレビで見るクイズ番組の会場と何ら変わらない立派な会場だ。
「それじゃあ早速だが、クイズ対決を始めるぞ!二人とも準備は良いか!?」
二人に確認を取る。
「ああ!いつでもオーケーだ!」
「こっちもよ!」
既に準備完了か・・・
「泣いても笑っても、コレが最後の勝負だぜ・・・それでは・・・」
「第三回戦、クイズ勝負!開始!」
カ〜ン!!
「さぁ!来い!」
「来なさい!」
二人に促され、俺は第一問を出題する。
『第一問 この漢字はなんと読む?【樹懶】』
むむむ。一問目から難しいな・・・
俺が考えていると・・・
ピンポーン!!
誰かの早押しボタンが押される。
―紅葉だ。
「【なまけもの】ね?」
―!!
「・・・正解っ!」
紅葉が第一問を正解する。しかし、よく読めたもんだな・・・
「む・・・愚民、ナマケモノとは何だ?天界にはそのような生物はいないのだが・・・」
・・・そうなのか。
「なまけものはねぇ〜、涼太みたいな生き物よ。」
紅葉は平然とひどい事を言う。
「おい!なに変なこと教えてんだ!」
「じゃ、第二問いってみよーっ!」
無視か・・・
「第二問、この漢字はなんと読む?【蝦虎魚】」
ピンポーン!
―って早ッ!
ボタンを押したのは・・・また紅葉か・・・
「【はぜ】よ!」
「・・・正解!!」
また正解だ。
紅葉は、漢字が得意なのだろうか?
「・・・なぁ、はぜとはなんだ??」
はぜも天界には生息してないのか・・・
「魚の一種だよ。天界にはいないんだな。」
「ああ。天界には天界には地上界と同じ種の生物は生息していないからな。」
なるほど。
それじゃ分かるわけないか・・・
「つづいて、第三問、この漢字はなんと読む?【莎草】」
ピンポーン!!
はぇぇ!!
「【かやつりぐさ】ね!」
「正解だ!!」
またしても紅葉が正解か。
「かやつりぐさ・・・?初めて聞くな・・・」
ソレイユはまた首をかしげている。
「やっぱり、植物も地上界とは違うのか?」
一応聞いてみることにした。
「ああ。天界では天界特有の植物しか育たない。」
・・・やはり。それじゃ、この漢字クイズはソレイユには不利だったか・・・
「でも、神なのに漢字がわかんなくていいのかよ。」
実際、漢字が分からず混乱することはないのだろうか。
「それほどの問題はない。神は仕事別に何人もおり、それぞれ役目があるのだ。いくら私が「神」だと言っても、一仕事において「神」の座を与えられたのであって、「全知全能」ではない。国民でも間違えるような漢字は分からないといった場合もあるな。ただ、世界中の国の最低限の言語能力は所持しているぞ。」
なるほど。「神」も全員が全知全能というわけではないらしい。
それにしても・・・
「紅葉、漢字得意なんだな?」
「うん。昔から日本が大好きだったから。漢字はたくさん勉強したわ。」
・・・そういえば、紅葉は幼稚園の頃から漢字が書けてたなぁ・・・
得点は現在3対0。紅葉が大きくリードしてるな。
「え〜、次からはジャンルが変わるぞ。次は数学問題だ。」
「数学か・・・」
「・・・望むところ!」
「第四問 ある地面(xy平面)にロープが置いてあるとする。地面は湿っているため,ロープが水を吸って重くなり,おのおのの場所での単位ロープ長当りの重さは,u(x,y)=1/(x2+y2)であるという。いまロープが(1,−1)の位置から(1,1)に直線状に置かれているときの,ロープの重さをもとめよ」
―っておい!!何だこの問題は!!
む・・・難しすぎるって・・・
ピンポーン!!
ソレイユのボタンが押され、インターフォンの音とともにランプが点滅する。
「・・・π/2だな。」
「せ・・・せいかいぃぃぃぃ!!」
オイオイオイ・・・な、なんて速さで計算してるんだ・・・
それに、こんな難問を軽々と・・・
「・・・こんな簡単な問題で良いのか?天界にも数学は存在しているからな。数学はわりと得意だ。」
「もう・・・問題が難しいよぉ。」
確かに・・・難しいよな・・・しかも暗算だし
「第五問 2×2行列Aの固有値が1,2で,それぞれに対応する固有ベクトルが(1,1)T,(1,−1)Tである。ベクトル(2,0)TはAで表される変換によってどこに写るか。「T」は転置(transpose)を表す。」
ま・・・またこんな問題かよ・・・
解けるはずが・・・
ピンポーン!!
はいぃぃぃぃっ!?
またしてもソレイユのボタンが押される。
「【(3,−1)T】だ。」
「せぇぇぇかいぃぃぃぃぃ!!」
すごっ!!はやっ!
解けること自体がすごいけど、正確な計算で、それもあんな速さで解くなんて・・・
俺はあっけに取られっぱなしだった。
「あ〜!!ソレイユはやいよぉ!!」
「簡単な問題だ。さぁ、次の問題に写ってくれ。」
「はいはい・・・」
「第六問 正則な2×2の行列Aの固有値がλ1,λ2で,それぞれに対応する固有ベクトルがv1,v2である。いま,A−1の固有値、固有ベクトルを求めた。Av=λvの両辺にA−1をかけると,Ev=A−1λv∴λ−1v=A−1v(∵正則なので全てのλ≠0)よって,A−1の固有値、固有ベクトルは( )。 さて、()に入る言葉を答えろ」
おいおい。これ、何語ですか?
ピンポーン!!
―ソレイユだ。
「うむ。・・・固有値はAの固有値の逆数で,固有ベクトルはAの固有ベクトルと同じ物を用いることができる。だな」
「せ・・・せーかいです・・・」
マ・・・マジかよ・・・
なんかもうアレだよ。次元が違う。
「ソレイユ・・・すごいわ・・・」
「ふん。これくらいで何を言っているのだ・・・」
そういうソレイユは、少し鼻が高そうだ。
「さて、次からは問題のジャンルが変わります。」
「どんなジャンルだろうが、私が勝つ!」
自信満々のソレイユ。
「私だって!もう一点も取らせない!」
同じく自信満々の紅葉。
得点は3対3の同点!
とんでもない戦いに、俺の頭はパンクしそうである。
さて・・・この勝負、どっちが勝つんだ!?
感想、アドバイスなどいただけたら幸いです。