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第一話 「開幕」

僕がはじめて書いた小説です。

色々な改善点など、見受けられると思いますが、どうかご容赦ください。

楽しんでいただけたら光栄です^^

 俺は、神の存在など信じていない――


 神とは、あくまで空想上の存在であり、実際に存在する事は無い。

 今の時代、特に宗教に関心の無い一般の人間ならばそう思っているだろう。

 実際、俺もその一人だった。神サマなんぞ信じちゃいなかったし、いるなんて思ってもいなかった。


 そう―――

 俺があいつと出会うまでは――――……





 天界――


 人間界の上空に位置する、神々の住む世界。

 特殊な魔法で保護されており、人間には確認することが不可能な場所。


 建築物の建築様式は、現代の日本とは大きく異なっている。一つの巨大な王宮を中心として、神殿、聖堂などが随所に見られる。


 そんな天界のほぼ中央に置かれている、巨大な宮殿『神々のやしろ』には、本日、全ての“神”が集結していた。これよりこの宮殿で、ある任命式が行われるためである。


「太陽神、ソレイユ・エスターテ!」


 長く白い立派なひげを生やした、威厳漂う老人が、一人の人物……いや、一人の神の名前を呼び上げた。


「はっ!」


 腰まで伸びた水色の髪と、ルビー色の眸、まだ幼い感じの華奢な体を持った少女……いや、神が、声高く返事をする。


 そして少女……違う、神は、老人の前まで来ると、膝を突き、顔を伏せた。


「そなたにこれより、人間界への駐在任務を命じる!」


 老人の声が、宮殿内に響き渡る――


 運命の、始まりだった――


               



              うちの神さまっ!

          〜The god of sun〜





ジリリリリリリリリ―――


 枕元で、目覚まし時計が鳴り響いている。

 外からは、何やら種類の分からない鳥のさえずりが聞こえる。


 全く、いつも通りの朝である。


 カチッ――


 手馴れたすばやい動作で、目覚まし時計を止める。


「ふぁぁ……」


 ―――朝。

 一日の始まりであり、昨日の終わり。


 まぁ正確には一日の始まりと終わりは午前0時なのだが、午前0時には一日の始まりという実感がわかないのだ。と言うより、寝てしまっていることが多い。


 そして今日の朝は、俺にとっては特別の朝。

 何を隠そう、今日はこの俺、「四季嶋しきしま 涼太りょうた」が通う私立高校の入学式なのだ。ちなみに俺は新一年生。


 本音を言ってしまえば、喜びよりも面倒臭さの方が遥かに大きい。

 しかし、入学早々ダルそうな顔をしているわけにもいかないだろう。


 俺はさっさと制服に着替えると、朝食を取るため一階へと向かった。



 ちなみに俺の両親は今、この家にはいない。

 とは言っても、亡くなった等という深刻なものではなく、ただ単に仕事で海外に出張しているだけだ。必要経費は置いていってもらったし、特に生活に不自由は無い。


 あ……でも、自炊は面倒だ。家の掃除なども結構面倒。洗濯などはかなり面倒。

 ……考えてみれば、色々と不自由があるな。


「とりあえず……飯を……」


 買い置きしてあったパンを一口かじると、(この時点で自炊して無いじゃん等というツッコミは控えていただきたい。)ソファーに座り、テレビのスイッチを入れた。


「ニュース……ニュース……っと……ん?」


 ふと、テレビに表示されている時計に目が行った。

 表示されている時間は、8:25分。

 ちなみに入学式は、8:40分からだ。


 普通に間に合う時間……ではない。


「……え!?な……なんでもうこんな時間なんだ!?」


 学校までは自転車でも約20分ほどかかる。このままでは、普通に遅刻してしまう時間だ。


「おい……ちょっと待て!俺は確かに目覚ましで起きたぞ!」


 そうだ。確かに俺は目覚まし時計の音で目が覚めたはず。ならば、なぜ遅刻の危機に陥っている?


「どういう事だ……ッ!」


 俺は慌てて二回に戻り、目覚まし時計を確認した。


 目覚まし時計に特に異常は無かった。どうやら壊れているわけではなさそうだ。

 ただし、アラーム時刻が8時20分にセットされていたのだが。


「う……嘘だろ……」


 ちなみに8時20分というのは、俺の春休みの起床時間だ。


 あー……春休みボケか?


「やべぇぇぇぇぇぇ!!」


 冷静に状況を把握している場合ではない。このままでは、確実に遅刻してしまう。


「うらぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」


 俺は自転車にまたがると、全速力で学校を目指した。


 ……。

 …………。


 俺の住む町、ひじりさき町。

 大それた名前の割には特に何の変哲も無い、至って普通の町だ。


 だが、敢えて特徴を挙げるとすれば、遺跡がやたらと多いことか。

 ただその遺跡達もほぼ崩壊しているか土に埋まっているかで、何の遺跡だったのかも未だに分かっていないらしい。


 町の面積は広く、さらに商店街や博物館など、様々な施設もあるため、住むにはもってこいの環境を備えている。

 ただ、海からは大分離れているので、海水浴がしたい時などは不便かもしれない。


 覚えてはいないが、俺も小さい時にこの町に引っ越してきたらしい。

 静かで便利なこの町を、俺はすぐに気に入ったという――

 今でも俺は、この町が好きだ――


 ……。

 …………。



 時刻は現在、8時35分。

 前方に小さく学校が見えてきた。御殿のような……とは言い過ぎなものの、他の学校に比べ、幾分か大きめの校舎。ある程度遠くからでも、その広大な校舎は確認できる。


「このまま行けば、間に合うっ!」


 俺は更に自転車のスピードを上げた。時速で言うと……大体……分からない。

 学校まで……残り200メートル。この距離で、このスピードだ。事故でも起こらない限りは間に合うだろう。


 と……油断した、その時。


「きゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」


 横道から、凄まじいスピードの自転車が飛び出してきた。


「え……おい!まさか……」


 ガッシャーン―――


「ぐぁぁぁ!」


「きゃぁぁぁぁ!」


 ジャストタイミングで、その自転車に衝突された俺。もちろん勢い良く吹っ飛んだ。

 ……一方、ぶつかってきた自転車は、何とか持ちこたえたらしい。


「す……すみませんっ!本当にすみませんっ!あ…あの…遅刻しちゃうんで、先に行きますっ!本当にごめんなさいっ!」


 少女はそう言うと、さっさと学校へと自転車を進めた。


 キーンコーンカーンコーン―――


「ち……遅刻だ……。完全に遅刻だ……」


 俺はその場に一人取り残され……鳴り響くチャイムの音と共に遅刻を覚悟した。




「はぁ……」


 教室の机に座り、ため息をつく。

 本当……ツイてないなぁ……。


 ちなみにあの後、俺は入学式が行われているであろう体育館には行かず、まず職員室へと向かった。

 すると職員室に残っていた教員達に「指導室」へと通され、事情を説明。無論そんなことで許してもらえるはずも無く、大目玉!

 ようやく職員による説教から解放され、クラス表を確認の後、このクラスに到着。そして、今に至ると言うわけだ。

 

 しかし放課後、校長から直接説教をくらうことになっている。あぁ……憂鬱だ。


ガラッ――


「ほら!さっさと席に着け〜!」


 絶望感に浸っていると、教室に担任の教師が入ってきた。

 生徒達は慌てて各々の席に着く。


 しかし……いかにもアバウトな女の教師だ。口にはタバコをくわえている。まさか、タバコをくわえながらの登場とは……だがまぁ、こういうタイプの教師は嫌いではない。


「あたしは佐久間 英子。よろしく。出席は面倒だからとんないよ。それと、連絡もショボイもんばっかだからいいや。じゃ、解散」


 ……やはり性格もアバウトだった。

 先生はそう言うと、さっさと教室を出て行ってしまった。


「さて……」


 俺は帰ることができない。なぜならば、放課後、校長室に呼ばれているからだ。


「サイアク……」


 絶望のあまり、俺は机に突っ伏した。そんな俺の肩を、誰かの手がポンッと叩く。


「よ!涼太!久しぶりだな。」


 机から頭を上げた俺の前には、一人の少年が立っていた。二枚目気味の整った顔立ちに、この気安い話し方……。


 コイツは……もしかして……。


「颯人……か?」


「ピンポーン!大正解!」


 風間かざま 颯人はやと――

 俺の小学校時代の同級生だ。

 当時は相当仲が良く、毎日のように一緒に遊んでいた記憶がある。言うなれば「親友」だ。


「ははは!久しぶりだな!元気してたか!ちなみに俺は元気してないぞ。」


 颯人と会えたのは嬉しいのだが……それだけでは、この最悪な気分は消えない。


「はっはっはっは!聞いたぜ涼太!入学式から遅刻したんだってな!相変わらずだなぁ!」


「ぐ……」


 俺だって好きで遅刻したわけではない。


 ピ〜ンポ〜ンパ〜ンポ〜ン――


『――四季嶋 涼太君、直ちに校長室まで来てください。』


 早速お呼びらしい。


「面倒だが、行くしかないか……じゃあ、行ってくる。」


「頑張れよ、涼太。」


 一体何を頑張ればいいのだろうという疑問を頭に抱えつつ、俺は教室を後にした。




       

Another view 「????」


「これが……人間界……」


 天界から見てはいたが……。実際に降りてみると、やはり天界とは全然違う。

 行き交う人々の会話、建築物の建築様式、空気の純度……。全てが天界と異なっている。

 今日から私は、ここで生活するのだ……。果たして私にできるだろうか。少し不安だ。


「ふむ……」


 それよりも、私が住むはずの家に向かわなくては。


 ガサッ――


 私は人間界の地図を取り出し、広げた。そして、目的の家を発見する。


「よし……行くか……」


 私は地図を頼りに、その家へと足を進める。


 私の新しい家――「四季嶋家」へと。


次回予告


この日――

「こりゃ、早く家に帰るに限るな。」

俺の家に――

「空き巣め!覚悟しろ!」

神さまが――

「ぐぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

光臨した――

「私の名は、【ソレイユ・エスターテ】。太陽神だ。」


次回 第二話「光臨」



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